Exist 00(3/6)縦書き表示RDF


Exist 00
作:サファイア



杉本 蛍


あの日からもうすぐで一年かぁ・・・。
もうすぐで彰輔君と会える。
今日は12月24日・・・クリスマス・イブ・・・。
でも、楽しみな気持ちとは裏腹に、悲しい日でもあった。
・・・“利菜の命日”・・・。
利菜とは、少しの間だったけど一緒にいられて、とても楽しかった。
私は、利菜のおかげで彰輔君とまた会えたし、利菜のおかげで私の居場所を見つけられた。
だから、何があっても利菜のことは、絶対に忘れない・・・。

ここは“大嶺高校”の正門前。
まだ“約束”の日ではないけれど、どうしてもまた来たかったから。
やっぱり、あの世界と全く変わらない。
あの時と変わらない景色だ。
ここにいると、楽しい想い出ばかりが頭に浮かんできて、とても安心できる。
彰輔君と利菜と一緒に、夕日の絵を見た。
綺麗だったな・・・利菜の絵・・・。
思い出すと、だんだん目に悲しみの雫が溜まっていく。
溢れてきそう・・・。
「・・・利菜・・・」
目から一滴の涙が、ポツリと落ちた。
すると、突然声をかけられた。
「蛍?」
私はその声に振り向いた。
すると、そこには茶髪でロングヘアーの、見覚えのある美しい少女が立っていた。
「蛍よね!?あたしよ!あたし!!」
「・・・り・・利菜・・・?」
「当たり前じゃない!!」
涙が突然、ワッと流れ出てきた。
「・・・り・・利菜ぁぁぁ〜・・・」
「ちょ、そんなに泣かないでよ!!」
利菜は私のことを抱きしめて、よしよしと、子供をあやすように介抱してくれた。
それは、彰輔君が抱きしめてくれた時みたいに、とても暖かかった。

しばらく、私は利菜と散歩をしていた。
「・・・ねぇ・・利菜・・・」
「うん?どうしたの?」
蛍は、利菜の横顔をのぞき込むように尋ねた。
「・・・もう・・大丈夫なの・・・?」
「えぇ・・・とても辛かったわ・・・でも、もう大丈夫!!」
利菜は力強く拳を握って、私に笑いかけた。
それを見たら、とても安心した気持ちになった。
でも、私のせいで利菜に“辛い”思いをさせてしまった。
「・・・ごめんなさい・・・」
「え?」
「・・・私のせいで・・辛い思いさせちゃったから・・・本当にごめんなさい・・・」
すると、利菜は笑顔で答えた。
「何言ってるのよ!だからもう元気に・・・」
「ちがうの!!・・・それだけじゃないの・・・」
私は、胸のうちに秘めてる気持ちを、抑えることができなくなった。
「・・・実はね・・・私・・ずっと前から・・利菜のこと知ってたの・・・」
「ど、どういうこと・・・?」
「・・・利菜はいつも元気で・・クラスでも人気者で・・私の目標だった・・・」
利菜はすっかり混乱していた。
彼女の記憶も一部が無いからだ。
「・・・実はね・・私と利菜と彰輔君・・同級生だったんだよ・・・」
歩きながら話していたはずなのに、気づくと二人とも足は止まっていた。
「・・・私も・・利菜も・・彰輔君も・・お互い話したことはなかったけど・・・一緒のクラスだったんだよ・・・」
利菜は唖然としていた。
知らなかったのだから、当然の反応だったけれど、私だけ知ってたことを隠し続けてきた私が、許せなくなり、悔しくて、俯き涙を流した。
「・・・利菜は・・私の目標だったけど・・・いつからか妬むようになっていたの・・・だから・・私は堕天使(ヴァンパイア)なんて能力を得ちゃったんだと思う・・・」
利菜は私の涙を見た途端、それを見るのが辛くなり、涙を流しだした。
「もういいよ・・・蛍・・・」
「・・・だから・・私・・利菜のそばには・・・」
「もういいよ!蛍!!」
利菜は私を怒鳴りあげた。
「もういいから・・・今があればいいじゃない・・・」
私は、ゆっくりと顔を上げた。
「昔なんて、私もいい事なんて何一つなかったわ。だから、前を向いて、今をがんばるって、私は決めたの。だから、私は今、ここにいれるの。だから、ね?」
「・・・利菜・・・ありがとう・・・」
利菜は、満面の笑みを浮かべて、私に力強く言ってくれた。
すると、利菜は突然、手をポンッと叩いて、私に質問してきた。
「そういえばさ、蛍、萩宮とはどこまで行ったの?キスした?」
「し、してないよ!!そ、それに・・・最近・・あまり会ってないし・・・」
すると、利菜は、はぁーと小さくため息をついた。
「いつか、会う予定はあるの?」
「・・・く・・クリスマスに・・・その・・・」
利菜は、へぇーと言って、何か納得した様子で、手をグーにして、反対の手のひらにびしっと当てた。

その後、私は利菜に別れ挨拶をして、手を振り、それぞれの行くべき場所へ行った。
最後に利菜が・・・。
「―――萩宮、覚悟しときなさいよ!!」
って、言ってたから、彰輔君がちょっと心配だったけど、多分大丈夫な気がした・・・。
それに、利菜も彰輔君も、私の大切な人だから、きっと大丈夫。
そんな気がした。
・・・明日はついにクリスマス・・・彰輔君、来てくれるかな・・・。
・・・大丈夫だよね・・・“約束”したから・・・。
いつまでも、彰輔君のこと、待ち続けてるね・・・。







http://ncode.syosetu.com/n8327d/novel.html





ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう