ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
とりかへばや姫君外伝〜お正月編〜
作者:美湖都
いつも「とりかへばや姫君」を読んでいただいて、ありがとうございます。今年もよろしくお願いします。
雪がしんしんと降り積もっている。

ここが宮中の一角であるとは思えないほどの静けさ。

白銀の世界には、自分たち以外には誰もいないような気分にさせられる。

芙蓉と東宮は、二人きりで雪の梨壺を堪能中である。

正月も三が日を過ぎて、騒がしかった宮中もようやく落ち着きを取り戻した。

数々の儀式で、特に東宮は目の回りそうな忙しさだった。

こんなふうにのんびり過ごすのは久しぶりである。

すっぽりと庭の木々を綿帽子のように覆っている白雪は見ていて飽きない。

人払いをしてあるし、御簾は一応垂らしているから、人目はない。

キラキラした目で雪を眺めている芙蓉。

中将の御方が見たら怒りそうなくらい端近にいる。

戸を開け放っているので、冷たい風が芙蓉の頬を赤くする。

「もう少し火鉢によらないと、風邪をひいてしまうよ?」

火鉢のそばに座っている東宮が、芙蓉を引き寄せる。

「ほら、こんなに冷えてる」

そう言って、火鉢にあたっていた自分の手を芙蓉の頬をふわっと包み込む。

芙蓉は、そんな東宮の手にすっと頬をすりよせる。

「あったかい・・・」

二人とも、何かをしゃべるわけでもない。

そっと、寄り添っているだけ。

何をしているわけでもないのに。

「幸せだな」

芙蓉の口から、そんな声がぽろっと漏れる。

「何か言った?」

東宮が、わざとらしく聞き返す。

芙蓉は、頬を真っ赤に染めてぶんぶんと首を振った。

そんな言葉、恥ずかしすぎてもう一度言えるわけがない。

真っ赤に染まったままの頬を隠すようにして、東宮の肩に顔をうずめた。

いつにない芙蓉のそんな行動に、東宮の顔がほころぶ。

こうして二人の甘い時間は過ぎていった。
評価
ポイントを選んで「評価する」ボタンを押してください。

▼この作品の書き方はどうでしたか?(文法・文章評価)
1pt 2pt 3pt 4pt 5pt
▼物語(ストーリー)はどうでしたか?満足しましたか?(ストーリー評価)
1pt 2pt 3pt 4pt 5pt
  ※評価するにはログインしてください。
ついったーで読了宣言!
ついったー
― 感想を書く ―
⇒感想一覧を見る
※感想を書く場合はログインしてください。
▼良い点
▼悪い点
▼一言

1項目の入力から送信できます。
感想を書く場合の注意事項を必ずお読みください。
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。