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第二章はこれにて終了です。
次回からは第三章に移ります。
……何だか終わりが早いなぁ。
第二章 幻想殺し A_Bad_Omen 4
「うめぇ!お前、料理もうまいんだな!!」

上条は、珍しく屋上で昼食をとっていた。
先ほど追っかけてきた男子生徒達を何とか振り払い、春菜と二人、屋上で昼食をとっていた。
もちろん、屋上へ入る為の唯一の扉には、鍵をしっかりとかけている。

「そ、そうですか?ありがとうございます……」

恥ずかしそうに顔を少し赤くしながら、春菜は答えた。

「……なぁ、一つ聞きたいことがあるんだけどよ」

春菜特製の弁当に舌鼓しながら、上条は春菜にそう話を切り出した。

「何ですか?」
「……相原直行って奴、知ってるか?」

その名前を聞いた瞬間。
春菜の顔に、驚きの色が見え隠れしていた。

「ん?どうしたんだ?」
「あ、いえ。なんでもないんです……ただ」
「ただ?」

春菜は、言葉をこう続けた。

「相原直行は、危険です」
「どうしてだ?確かに、あいつは何か、危険なやつって感じはしたけど、それほどなのか?」
「……知らないんですか?上条さんは」
「へ?知らないけど」

上条は、何も知らなかったので、正直に答えた。
春菜は、そんな上条の反応を確認すると、説明を始めた。

「まず、相原直行の能力名……というよりは、通称ですけど」
「能力名?そういえば、あいつの能力って、一体何なんだ?」
「一般的には、レベル2の水使いウォーターエンプロイヤーですけど、実は、これが間違いなんです」
「間違い……?」
「はい。彼の能力名は、複数回路プライラルサーキット
「プライラル、サーキット?何だそりゃ?どこかの競技場の名前か?」

上条は、さっぱり理解出来ていなかった。
その説明を込めて、更に春菜は説明をする。

「本来、人間の脳には、一つ分の思考回路、つまりは考える場所が一つしか存在しません」
「ああ。それは当たり前の話だよな」
「故に、演算する場所も一つしか存在しない。よって、人間は、一人に一つしか超能力を扱うことが出来ない」

学園都市では、未だに多重能力者デュアルスキルという存在は、いない。
何故なら、能力は一人につき一つまでという制約が存在するからだ。
春菜の説明によると、それは、人が演算出来る限界にあるのだという。
人の演算能力が、複数の能力を使用する際に、邪魔になるのだという。
よって、学習装置テスタメントを用いての『頭の開発』の際も、一つしか能力は開花しない。

「それと、相原の能力と、どう関係があるって言うんだ?」
「はい。不確定情報ではあるのですが、相原直行の能力、複数回路は、多重能力を可能にすることが出来るかもしれないのです」
「何!?」

これには上条は驚いた。
それもそのはずで、能力の複数使用なんてされたら、並の能力者相手では、連戦連勝だろう。
ヘタすると、8人目のレベル5になり兼ねない物だ。
だが、ここで疑問が湧いてくる。
何故そんな可能性を持つ能力者が、レベル2でとどまっているのだろうか?

「それは、彼の持つ複数の思考回路にあります」
「複数の、思考回路?」
「はい。彼は、一つの脳で、何人分もの演算能力を秘めているのです」
「そんなことが可能なのか?」
「それは分かりません。ですが、少なくとも、彼はそれをやってのけています。ただし、どうやらそれには制限があるようで、
 何個もの能力を使ってしまうと、頭がパンクしてしまうそうなのです」
「頭が、パンク……」
「けど、分割思考を持っている彼は、その思考一つにつき一つずつ、能力を備えている可能性もなくはありません」
「故に、その能力名を、複数回路ってしてるのか」
「……そうみたいです。ちなみに、彼の能力自体は、身体検査システムスキャンでは計測不能なので、レベル2に留まっているらしいです」

上条は、分かったような、分からないような顔をして、更に一つ尋ねた。

「んで、どうして宇津木は、そいつのことを詳しく知ってるんだよ」
「私、前の学校で彼と同じ学校に通ってたんです。それで、先生から彼の話を聞きました」
「なるほどな……」
「そして、これは単なる噂にしか過ぎないのですけど……」

春菜は、ここでまた新たな情報を、上条に伝えた。

「相原直行は、何かの組織に属している可能性があるとの話です」
「何かの組織に属している……?」
「はい。それで、その組織というのが、何でも反学園都市組の能力者達が集結した組織で、学園都市の壊滅を図っているとか……」
「学園都市の壊滅だと?それじゃあ、この学園都市をぶっ壊そうと思ってるってことか!」

思わず上条は声を荒げてしまう。

「ですから、これは単なる噂に過ぎないんです。組織の目的が何なのか。そもそもそんな組織なんて存在するのか。
 いろいろ目測は立てられてますけど、恐らくはすべて虚実でしょう」

春菜はまた、こうも続けた。

「しかし、彼らは、目をつけた能力者達を痛めつけているというのは、確かなようです」
「んな……!それ、まじかよ」
「はい。目撃証言も出ているようです」

春菜は、それ以上この話を続けなかった。
上条も、こんな話は聞きたくなかったので、引き続き春菜の弁当を食べ始めた。

「それにしても、本当においしいな、この弁当。毎日食べても飽きないと思うな、これ」
「そ、そうですか?」
「ああ。出来れば毎日作って来て欲しい物だけど……さすがにそれは迷惑かけるだろうから、やめとくわ」
「い、いえ、そんなことないです!!」
「…………はい?」

自分から言い出したこととはいえ、そんな反応されるなど、上条は思ってもいなかったらしい。

「こ、これから毎日、お弁当作って来ても、いいですよ!」
「いや、それじゃあ宇津木に迷惑が……それに、クラスからの反応も痛いだろ……」
「そうですか?」
「いや、そこは気づいてくれよ」

どうやら春菜は天然系らしい。

「それならさ、たまに作って来て欲しい時に、俺からお願いするってのはどうだ?それならいいだろ?」
「……そうですね」

笑顔で春菜は答えた。


























「はぁ」

帰り道を、上条は一人で歩いていた。
理由は特になく、成り行きであった。

「それにしても、アイツってそんなにヤバい奴だったとは。本当に、アクセラレータといい、まともな奴と知りあわないな、ほんと」

改めて言おう。
上条当麻は、不幸な人間である。

「ま、今日は早々と家に帰って、インデックスに夕飯でも作りますか」

と、決意表明を示した時だった。















「おや?君は上条当麻じゃないか」















「……あれ?お前、ステイル!どうしてここに……?」
「どうしても何も。どうやらこの学園都市に、魔術師が侵入する可能性があるって見られているから、監視目的で来たんだよ」

面倒くさそうに、ステイルは答えた。

「そうか。また魔術師がここに……」
「まだ不確定情報だ。出来ればこのままイギリスに帰れれば一番平和なこと何だけどね」

頭を掻きながら、上条はステイルに言った。

「ところでさ、ステイル。魔術の世界にも、分割思考が出来る奴っているのか?」
「は?何を言っているんだ?君は」

ステイルは、おかしい人を見る目で、上条を見ていた。

「だから、頭の中に、複数の思考回路を持ってるとか、魔術だけじゃなく、超能力も普通に使用可能な奴とかっているのか?」
「何を言っているんだ、君は。そんなの無理に決まってるじゃないか。仮にそういう人がいた としても、それは僕達の領域じゃないね」

それだけを言うと、ステイルは立ち去ろうとする。
その去り際に、

「ひょっとしたら、近々君の力を借りるかもしれないから、覚悟しておくんだね」
「……ああ」

そして、ステイルはこの場を去って行った。






























最後の方に登場したステイルは、ハッキリ言って、この小説での出番はもうありません(え)。
ここで登場した理由は、後ほど明らかになりますので。


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