挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
楽土創世のグリモア 作者:しらたぬき

Chapter3

117/161

ホシを確保するであります!

 目配せをする2人にパンネは手のひらを上に向けながら提案、というか挑戦的な態度をとった。

「だが見て分かる通り、我々は猫の手も借りたい状況だ。それに、ボーンザの行先を特定するのは我々よりそこのお嬢さんのほうが向いている。

なぁに、恐れることはない。ボーンザはあまり腕っ節が強くないんだ。数人で当たれば確保できないこともないはずだ。”シーポス”のお手並み拝見といこうかな」

 そんな言い方をされたら手伝わないというわけには行かなくなってくる。彼はそう言うとまたもやトンガリ帽子をクイッとあげて、通りに出て行った。そして人払いの準備をし始めながら話した。

「残りの爆弾だが、郊外は丘犬殿が潰してくれているはずだ。私達もそれなりに回収したから、君たちの分も含めて既に全体の爆弾の70%くらいは回収できているはず。つまり、爆弾まで成長したのは残り30%、この一発だけということになる。だから残りの爆弾には気を取られる必要はない」

 クラッカスは準備が出来たとばかりにパンネの方を向いた。それを見て彼も了解のうなづきをして、最後に一言告げ郵便局前を出発した。

「ボーンザもさぞかしご立腹だろう。取り乱している可能性も高い。そこを突いて奴の確保を試みてくれたまえ。 では!!」

 とても一人では動かせないようなパルム鉱の大岩をクラッカスは引きずって移動させていった。

 アシェリィは公園までは間に合わないのではと内心思っていたが、驚くべきことに彼は小走り程度のスピードで大岩を引いている。またもや彼の実力を見せつけられてアシェリィはただただ驚くだけだった。

「残りの爆発物への警戒はしなくていいとパンネさんは言っていたね。そして僕たちにはボーンザを追って、可能ならば確保してほしい……と?」

 そうつぶやくとウェイストは考えこむように自分の髪を神経質に撫でていたが、すぐにアシェリィの方を向いて聞いてきた。

「パンネさんは君の方がボーンザの捕捉に長けている……。そう言っていたね。なにか心当たりはあるのかい?」

 そう聞かれたアシェリィは顎に指を添えて考え始めた。

「う~ん、ボーンザが爆発物の元となる切手を持っていれば、察知は可能です。細かい爆発属性が融合せずにひとまとまりに移動していればそれは目立ちます。ですが……」

「……ですが?」

 ウェイストは覗きこむようにアシェリィの表情をうかがった。

「相手はウィールネールで移動してますよね? あれだけ速いとなかなか捕捉するのは難しいんですよ。少なくとも地上からでは……あ!」

 ウェイストとアシェリィはお互い閃いたと指さし合って確認し合った。

「シェアラねえだ!!」「シェアラねえ!!」

 彼はさっそくシェアラねえへ向けて緊急帰還の指令を送った。それと同時にカレンヌの方にも緊急帰還の指令を送った。

「よし、アシェリィとシェアラねえは空中からボーンザの位置を特定、そしてカレンヌとガッツ君の地上部隊は彼の確保を担当してもらうことにしよう!! カレンヌのテクニックとガッツ君の馬鹿力があればきっとなんとかなるはず!!」

 それを聞いていたアシェリィは思っていた疑問をウェイストにぶつけた。

「でも……私、シェアラねえがゴンドラに誰か乗せてるの見たことないですよ? ……もしかして一人乗りなんじゃあ……?」

 彼は話を聞くなり渋い顔をした。やはり本人以外に誰か乗せるのは難しい事なのだろうか。

「う~ん、厳しいかもしれない。でも結構重い荷物を運んでることもあるから、君の体重くらいならなんとかなると思う。本人に聞いてみないとなんとも言えないけど……」

 そうこうしているうちにカレンヌとガッツ君が人並みかき分け通りを走ってきて滑りこむように合流した。

「おーっす。見てみて。こんなに切手集めたんだよ」

 まだ作戦が伝わっていなかったので改めてウェイストは彼女に現状と、これから行う作戦を説明した。カレンヌは興味深そうに聞いていたが、自分が取り押さえ役を担当するとわかると俄然やる気になった。

「ほぉ~。まるで熱血デカみたいでいいじゃん!! ホシを追うのがアタシの使命ってか!!」

 それを見た2人は果たして大丈夫だろうかと額に手のひらを当てたり、脱力したりした。そんな2人は足元に影が落ちたのに気づいて上空を見た。

「お~い。緊急招集~?」

 シェアラねえがふわふわとゴンドラを漂わせながらやってきた。重りを下ろすとゴンドラが地上に近づいてきた。それと同時に手早くウェイストは要点を彼女に伝え、作戦の説明をした。

「えぇ? このゴンドラにアシェリィちゃんを……? うん、ううん。出来なくはないの。ただ、いつもより重いものを乗せて、しかも逃げまわる対象を追跡したりするとなるとそれほど長くは持たないわ。持って数分ってところね」

 一同は考えこんでしまったが、唯一大して考えても居ない人物から意外な提案があった。

「なんだ、簡単な事じゃない。シェアラねえは浮力だけに力を集中して、アタシとガッツくんでゴンドラを引っ張ればよくね?」

「カレンヌ!!」
「カレンヌちゃん!!」
「カレンヌ先輩!!」

3人は声を揃えて彼女に声をかけた。あまりの勢いに彼女はたじろいだ。

「な、なんだよぉ3人揃って。冗談だよ冗談。だからそんな大声あげなくても……」

 そうやって煙たがる彼女を3人は笑顔で褒め称えた。

「ナイスアイディアだよカレンヌ!!」

 予想外の反応に彼女は恥ずかしげに照れていたが、こんな茶番をしているヒマではないとばかりに我に返った。

「と、ともかく、その作戦で!! 早くしないとボーンザ逃げちゃうよ!! えっと、まずはアシェリィが気配を察知した方にガッツ君を走らせればいいんだね? ほら二人とも、早く準備!!」

 アシェリィはそれを聞いて慌ててシェアラねえのゴンドラに乗り込んだ。ゴンドラは二人乗りでは無かったのでとても狭かった。

 彼女と体が密着するとアシェリィにとてもやわらかい胸が触れた。これは自分には無いものだなと少しみじめに思いながらなんとか2人は収まりきった。

「ほんじゃホシの確保に行くぞぉ~~~!!」

「待った!! G・ゲッコーズも連れて行くといい。カレンヌとアシェリィが連れていればアシェリィが指を差した方向にゲッコーズが向いてくれるように指示しておいたよ。ほら」

 そう言うとウェイストはカレンヌとアシェリィに金ピカのヤモリを手渡した。

 2人を乗せたゴンドラが浮き上がるのを確認するとそれを牽引してガッツくんが走り始めた。ゲッコーズはボーンザが居ると予測される方角に向いてベロを伸ばした。

+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ