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それいけ正義の創世神話
作者:鉄槻 緋色
この作品は、間違いなく二次創作です。
が、原作名がそのままネタバレになってしまうタイプの作品ですので、原作名は後書きにて公表致します
 夜闇を煌々と照らす炎の赤は、この山の中腹からでもとても良く見えた。
 もっとも、噴き上がる黒煙は夜空の黒に紛れて見えやしないが、ところどころ星の瞬きを阻み足下を暗闇に隠してしまう。
 なぜ少女がこんな森深い山奥でそんな赤を見下ろしているのかと言えば。
 そこが彼女の故郷の村だったから。
「…………。」
 少女はきつく唇を噛みしめて、己の村が燃やされる様を睨み付けていた。
 身体の大部分を薄桃色のなめらかな表皮に包まれ、顔の一部と頭頂にのみ体毛を生やしたその身体的特徴は「妖精族」のもの。
 特に頭頂より生やした栗色の体毛は背後へと長く延びその細い腰にまで垂れ下がって揺れている。
 少女は己の身に纏う短衣の裾を握りしめ、襲いかかった理不尽に顔を歪めていつまでも燃え盛る炎を睨み付けていた。

 「山の向こうには「悪魔」どもが住む」などと言うのはほんの数年前まではこの地に住む誰にとってもおとぎ話の中のことでしかなかった。
 そのおとぎ話の悪魔が現出したのだ。
 奴らは『バクテリアン』。
 四肢五体を持つ多くの種族と同様の外観ながらその屈強な体躯は漆黒の外皮に覆われ、鏃のような凶悪な形状の先端を持つ角と尻尾を持つ様はまさしく「悪魔」と呼ぶにふさわしい。
 突如現れたバクテリアンの大群は、辺境の地方から順に、そこに暮らす者たちを一切の区別なく蹂躙し滅ぼして回った。
 その勢いはまさに怒濤。布に落とした茶の染みのごとく大地を迅速に浸食していった。
 少女の村には、その知らせが来たのと同時に奴らは現れた。
 妖精族の村人は荒れ狂う暴力に為す術なく、右往左往した挙げ句ただただ蹂躙されるのみだった。
 命辛々逃げきったが、災厄を逃れた者は他に何人いただろう。途中ではぐれて一人になってしまった身としては皆の無事を知る術はない。
「…………」
 もっとも、事の惨状に飽和していた少女にとっては今それどころではない。
 遠くで燃え盛る炎の中に、鋭角の人影が翼をはためかせて浮かび上がったのを見て少女は恐怖に顔をひきつらせ、そこから逃げ出していった。

 別に他の集落に危機を伝えようだなんて使命感があった訳ではない。
 少女はただ死にたくなくてひたすら山道を走り、夜を徹して山ふたつ向こうの別の妖精族の村へとやって来た。
 決して疎ましがられた訳でもないが、商隊から噂を聞いたこの村では既に避難の準備が進められており、慌ただしく村人が行き交う中、突如転がり込んできた少女はひとつの空き屋をあてがわれた。
「…………」
 だが少女には突然の災厄に浮き足立つ村人の素っ気ない態度にも何も感じる所もなく、おとなしく小屋のすみでうずくまっていた。
 その小屋に先客がいたことについても、少女は特に意識しなかった。
 例えそれが「首がない男」であっても。

 「首無し族」と呼ばれる種族がある。
 実に稀少な種族で「バクテリアン」並にその実在を疑われる種族であった。
 胴体と腕脚を持つ身体自体は妖精族などとほぼ同じ形状だったが、彼らには唯一、他種族では頭部に相当する部位が首の付け根から存在しなかった。
 その生態は生来のもので、「首無し族」にとってはそれで生命体として十全なのだ。
 ただ、やはり他の種族に比べて知覚力に乏しく、体格の割にとても非力で妖精族の少女にすら負けるほど腕力もないが、どういう訳か生命力だけは尋常でなく強力であったと言われている。
 深い深い山奥に住み、自然の中でじっと身を潜めて暮らしているらしい彼らと会うことなど滅多にないことである。
 そんな「首無し族」がなぜこんなところにいるのか。
 あいにくと自失した今の少女にとっては関心の埒外であったが。

「奴らが来たぞー!」
 そんな村人の怒号と共に、小屋の外の喧噪は一気に激しさを増した。
 地を駆ける足音と荷車の音が一斉に一方へと走り始める。
 やがて、村の反対端のほうから家屋が破砕される音が聞こえてきた。村人の悲鳴も。
 だが、少女はそれを聞いても身動きしようとしなかった。
 あれから一睡もしていない少女の疲労はさほど回復していない。
 さらにそれより重い心労が少女の腰を地に縫い止めていた。
「……あの」
 その時、向かいから話しかけられて少女はようやく「首無し族」の少年の存在に気付いた。
 頭がない者に呼びかけられたことはそれなりに驚いたが、少女の心はもはやそんなことにまともに反応することすらしなかった。
「……なに」
 だから少女はただ、問いかけに返事をした。
「ええと、逃げないの?」
「……どこへ?」
 諦観に染まりきった少女の思考は、生き延びる当たり前の欲求すら放棄しつつあり、その返答は実にぞんざいなものになってしまった。
「……もう、」
 どうでもいい。
 言外にそんなニュアンスを吐き捨て少女は再び両腕に顔を埋めた。
「でも、ほら、あいつらが来たみたいだし、危ないし」
 少女としてはコミュニケーションを拒絶したつもりだと言うのに、「首無し族」の少年はあまり頓着せずにしゃべり続ける。
「もうじきここも奴らに壊される。早く逃げたほうがいいよ」
「逃げたって!」
 そのあまりの煩わしさに癇を刺激された少女はとうとう怒鳴り声を上げてしまった。
「もう、パパもママも、おばあさまも、ホイップもシュガーもみんなみんないなくなっちゃったもの!」
 頭がないせいで「首無し族」の少年がこちらの話を聞いているのかが解り難い。
 こちらの剣幕に呆然としているのか、そもそも聞こえているのかもはっきりしない為、そのリアクションの解り難さがまた少女の怒りに火を注いだ。
「あいつらのせいで、もう、なにもなくなっちゃったもの! ……もう、どうでも、いいのよ……」
 途中から言ってもどうにもならない現実に力を奪われて尻すぼみになってしまう。
 再びへなへなとうずくまる少女の前で、「首無し族」の少年は変わらぬ姿勢で少女の前にただ座っていた。
 外では耳障りな破砕音と怒号と悲鳴が交錯している。
 他人に逃亡を勧めておきながら、「首無し族」の少年もいまいち危機感が薄いようだった。
「……じゃあさ。逃げなくていいから、パンケーキを焼いてくれないか?」
「……?」
 突如語られた頓狂な発言に、さすがに少女が訝しげに顔を上げた。
「今ならどの家もガラ空きで、キッチンが自由に使えると思うけど」
「……なにそれ。あなた、頭おかしいの?」
 怪訝に問い返すが、少年に正気を疑うべき「頭」がないことに気付き少女としても追求に困った。
「だいたい、そんなことして一体なにに」
「きみは妖精族だよね? 妖精族は特に小麦の調理に長けていると聞いたよ。 この村じゃあ誰も耳を貸してくれなかったけど、是非きみに頼みたいんだ」
 少女の目線の色に気付いているのかどうか分からないが、少年は真摯な態度で頓狂な要求を繰り返した。
「お願いだ。僕のためにパンケーキを焼いてくれ。とびきり大きいのを」
 その時、とうとうこの小屋の一角の壁が吹き飛び、その向こうから漆黒の巨躯が、悪魔が姿を現した。
『なんでえ。こんなところにもゴミがいるじゃねえか』
 少女と少年を発見した悪魔「バクテリアン」はとびっきり邪悪な笑みを浮かべて見せた。

「きみ、名前は?」
「え?」
 腕を引っ張られながら立ち上がった少女は、狼狽えながらも問いの意味を理解した。
「わたし、メープル」
「よし。メープル、早く行って! どこかの台所を借りて、パンケーキを頼む!早く!」
 力強く言い放ちながら、翻ってあまりにも弱々しい腕で少女・・メープルの肩を押し遣った「首無し族」の少年はそれでも敢然とバクテリアンに向き直り立ちはだかった。
「さあ! お前の相手は僕だ!」
『は。そうかよ』
 このバクテリアンは「首無し族」の脆弱さを知っているのだろう。心底バカにした態度で嘲ると、のしのしと少年の前までやって来た。
『じゃあこれで終いだ』
 言うなり黒の剛腕が少年の身体を横薙ぎに殴り飛ばした。
 その辺の箒よりも軽々と吹き飛んだ少年の身体は、まだ無事な壁に激突して崩落してきた棚の上のものと一緒に床に落下してしまった。
『さあて。そっちのチビも潰してやるぜ』
 当然の結果に振り返りもせずにバクテリアンがメープルに迫るが、突如片足に負荷を感じて身動きを止め、じろりと足下を見下ろした。
 己の足下にバクテリアンが見たものは、足首にしがみつく、殴り飛ばしたはずの「首無し族」の少年だった。
「メープル! 行って!早く!」
『てめえ!? 』
 激昂したバクテリアンが空いた足で少年を蹴り付けるが、少年にはいまいち効いた様子がない。
「……!」
 メープルは、混乱しながらも身を翻し、目的の場所へと走り出した。
 惨劇に絶望したメープルに「逃げろ」などと気休めを言わずただ「いま必要なんだ」という言葉を寄越した少年に、最期くらい応えてやろうかという程度の気持ちで。

 簡素な作りの小屋の壁は粉々に砕け散り、木材を突き破って少年の身体が外に転び出てきた。
『……うざってえなテメエ。「首無し族」の分際で手ェ煩わすんじゃねえよ』
「……っくっ」
 少年は肩を起こしてどうにかうつ伏せになったが、その背をバクテリアンの足が凄まじい勢いで踏みつけた。
「ぐっ!? 」
『オラッ! 死ねオラ!』
 何度も何度も踏みつけ、さらに横から脇腹を蹴り上げられる。
「っがあっ!? 」
 まるでボールかなにかを蹴飛ばすような調子で少年の身体は軽々と吹き飛ばされた。
 また地面を転がる少年は、だがなおも体勢を整えようと寝返りを繰り返す。
『……しぶてえな。 弱っちいクセに、さすが「首無し族」といったところか?』
 このバクテリアンは己と多種族の力量の差を心得ている。
 ただの妖精族だったら、もう死んでいるほどの蹴りを叩き込んでいる。
 それなのにこの「首無し族」は弱る気配すらない。
 それどころか、未だ起きあがろうとしているのだ。
『……おめえナニがしてえんだ? 山奥でカタツムリみてえに暮らすしかねえゴミムシが、なんでこんなところにいやがる』
「おまえたちが、みんなを困らせなければ、僕たちも平穏に暮らしてた」
 やがてゆっくりと、だが確実に立ち上がった少年ははっきりと言った。
「残念だよ。おまえたちがこんなことをしなければ、僕たちも戦わなくて済んだのに。 ……おまえたちも、傷付かなくて済んだのに!」
『……!? 』
 少年の言葉の最後に、バクテリアンの顔色が変わった。
 仄暗い怒りの色に。
『……おいコラ。ダレに向かってモノ言ってやがる。』
 バクテリアンの姿が霞んで消えた。と見た瞬間には少年は身を「く」の字に折って激しく吹き飛ばされていた。
 向かいの民家に激突し、壁を突き破って飛び込んでゆく。
『ひょっとして、悪魔と恐れられたこの俺様にか!? 』
 凄まじい速度の突撃を披露したバクテリアンはタックルの姿勢から起き上がり、変わらぬ憤怒の面持ちでその穴の空いた民家にのしのしと歩み寄っていった。
『身の程知らずのバカが。バラバラにしてやるよ!』

 住人が逃げ去った民家のどうにか全壊を免れたキッチンを発見したメープルは、小麦粉など材料と調理器具を拝借してパンケーキを焼いていた。
(……これが、最期のパンケーキになるのかな)
 破壊音に囲まれた壊滅寸前の危機的状況にあって、悠長にパンケーキを焼いている自分のシュールさに苦笑しつつも、メープルは作業をやめなかった。
 なぜ自分はこんなことをしているのか。
 飽和した少女の頭脳はもう合理的な理由を編み出してはくれなかったが、でもどこか「これでいいや」と納得している部分があって僅かに驚いた。
 さて。もうすぐ仕上げだ。
 焼き上がって窯から引き出した焼きたてのパンケーキにこれまた拝借したチョコクリームを掬ったナイフをあてがったところで、突然の轟音と共に何かが残り僅かな壁を砕いてこのキッチンに飛び込んできた。

『さあ。もう面倒だから、家ごと潰すぞ』
 「首無し族」の少年を蹴り込んだ民家の前で、バクテリアンは宣告と共に片手をかざした。
 突き出された掌に、禍々しい光が集まり始める。
 凝縮されるほどに輝きを増し、のたうつ無数の電光を迸らせる光球は見るからに危険な気配を立ち昇らせている。
『ほら、よ!』
 やがてサイドスローで投げ放たれた。
 魔術の電光は、たったこの一撃でもこれくらいの民家ならば数棟は軽く吹き飛ばす。
 だが、あまねく破壊を撒き散らすはずだったその光球は、民家の穴から飛び出してきた何者かによって空高く蹴り上げられ、上空で派手に爆発して消えてしまった。
『ぁあ!? なんだコラア!? 』
 目を剥いて突如正面に降り立った何者かに罵声を吐いたところで、バクテリアンは言葉を失った。
 あまりにも想定外の存在だった為、それがなんなのかが理解できず戸惑ったのだ。
 そこに立っていたのは、身体はさきほどから蹴転がしていた「首無し族」の少年のものに間違いないようだったが、その首から上に、本来他の生物なら頭部があるべき所に、そいつはなんと、焼きたてのパンケーキを載せていたのだ。
 チョコクリームで描かれた目、鼻、口が有機的に蠢き表情を形成すると、チョコの瞳がバクテリアンを力強く睨み据え、唇が蠢き少年の声で宣言した。
「……これで、パワー百倍、だ」
 アゴの辺りにはみ出たチョコを親指で拭って口元の形を直し、少年は身構えた。
『……な、なんだテメエ?』
 あり得ないその姿に、バクテリアンは思わず問いをこぼした。
「何者と問われたなら、答えよう。言うなれば、僕は「パンケーキマン」だ」
 少年・・パンケーキマンはスナップを効かせた片手の指先を突きつけ、そう名乗りを上げた。
 続いて半身に構え直すと、腰を落とし身を深く沈めた。
「……行くぞ」
 次の瞬間には、逆にパンケーキマンの姿が掻き消えると同時にバクテリアンの身体がきりもみして吹き飛ばされていった。

『っっがあああああああああっ!? な、なんだこのパワーは!? 』
 無人の家屋をいくつか貫いてようやく着地したバクテリアンは悪罵を吐き捨てた。
『有り得ねえだろ!? なんで「首無し族」がパン被ったくらいで』
「それが僕たちの本領だからだ」
 その声は真横に現れた。
『ッ!? 』
 まるで疾風のような蹴りだった。延髄から蹴倒され、つんのめったところをいつの間にか前に回り込んだ回し蹴りが刈り上げてゆくのだ。
『っがっ!? 』
「たあっ!」
 そして宙で一回転したと見るや、パンケーキマンのかかと落としがバクテリアンを上から叩き倒し轟音を立てて地面を砕いて埋め込んだ。
「僕たち「首無し族」は太古の昔、世を平静に保つ為に戦う正義の戦士の種族だった」
 だが、大きすぎる力は正義の形を歪ませる。その為に自ら首を切り離したのが「首無し族」の種としての始まりだったと言う。
「これはただのリミッターなんだ。必要な時にだけ、正義の力を行使する為のね」
 調理に借りた民家の玄関の陰で、メープルは呆然とその話に耳を傾けていた。
「伝承が忘れられるほど平和が長く続いたこと自体は良いことだけど、おかげで危ないところだった。 今こそ僕の正義を行使する時だ」
『ほざけ!ナニが正義だあっ!? 』
 跳ね起きたバクテリアンが、両腕に電光を迸らせてパンケーキマンに襲いかかった。
 触れれば何もかもを黒焦げにする恐ろしい手刀を、パンケーキマンは冷静に振り上げた片足で右に左にと器用に蹴り捌いてゆく。
「こんなこと、しなくたっていいじゃないか。 みんなを困らせて、それでおまえたちは何がしたいんだ?世界をどうしたいんだ?」
 それどころか攻撃の隙間を縫って繰り出されたパンケーキマンの蹴りがバクテリアンの胸板を捉え、側頭部を打ち据え、漆黒の巨躯をよろめかせた。
『っがっ!? ……お、おめえの、知ったこと、か、よ』
「誰も困ることのない別の幸せを探すことを勧めるよ。 例えば、ささやかな食の幸せなんかどうかなあ。最高だよ?」
 言って、パンケーキマンは己の顔の一部をちぎり取った。
「さあ。僕の顔をお食べよ」
 なおも振り回されたバクテリアンの拳を弾き飛ばしたパンケーキマンの手が、指先につままれたパンケーキが寸分違わずバクテリアンの口腔に突き込まれた。
『むぐ!? 』
「そして、おまえたちの故郷で考え直せ。自分たちのしてきた行いを。 ……パンケーキック」
 呟きと同時に跳ね上がったパンケーキマンが身を翻すと、鋭い回し蹴りがバクテリアンに襲いかかった。
 激突の瞬間にはまるで雷鳴のような爆音が轟くほどの威力に、バクテリアンの巨体はまるで冗談のように山を越えて吹き飛び、きらりと星のような瞬きを残して空の彼方へ消え去ってしまった。
「……す、ごい……」
 メープルとしても、初めて見る事態を好転させる異常事態にしみじみと自失していた。

 このあと、パンケーキマンはこの村を襲う他のバクテリアンを一体残らず蹴散らし吹き飛ばしてしまった。

「失われたものを取り戻すことは、僕にはできない。 けれど、これ以上何かを失うのを止めることはできる」
 何者もいなくなった半壊した村の真ん中で、パンケーキマンはメープルの前に立った。
「そして、もうひとつ言っておかなければいけない。 仕返しする為には、僕は動けない。仕返しは、する人をも不幸にするから。 それを踏まえた上で、メープル。僕にパンケーキを焼いてくれないか? きみの作るパンケーキはとても良く馴染むんだ」
「……少し、考えさせてくれないかな」
 対して、メープルは悲しみに暮れた顔の中、わずかに、ほんのわずかに笑みを浮かべて。
「気持ちの整理も、簡単じゃないから」
「分かってる」
 フチが所々ちぎり取られて歪になった顔で、パンケーキマンは真摯にうなずいて見せた。

 「バクテリアン」が蜂起したこの世界の危機は、「首無し族」に「妖精族」が手を貸し共存することで「バクテリアン」の悪意を挫いて退け、平安をもたらすことができた。
 今から数百年前のことである。




「アンパーンチ!」
「ばいばいきーん!」
 正義の鉄拳が、ばいきんまんを空の彼方の星にした。
「……という伝承があってねえ。」
「ほんとうなのそれ?」
 上空での激闘を余所に、地上で待機している白衣とコック帽を纏った初老の妖精が締め括った昔話にツナギを着た少女が眉唾な顔で怪訝に問い返した。

と、言うわけでなぜか「アンパンマン」のハナシでした。
いや、連中の設定を思い返していたら、「じゃあ首がない状態がヤツラのデフォなんじゃね?」と思い至り、その瞬間にストーリーが出来上がってしまったという。
あと蛇文字さんと助手が「人間」ではなく「妖精であるという説」にも軽くショックを受けました。
そんな妄想に端を発した、ちょいと真面目な異種族考察でした。
つまり○○マン連中と蛇文字さんたちは共生関係という。
命の星うんぬんの設定も、別に邪魔にならないのではないかな、と。そもそも彼らの繁殖?誕生のきっかけ自体もまだ曖昧ですし。

ちゅうか、年の瀬に俺はいったいナニをやってるんだ……?
まあ皆さん良いお年を。
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