勢い良く叩き付けられたせいでどっちが上かも分からない。
多分相当深くまで来てるだろうとは思う。
息はアテナが咄嗟に顔の辺りだけに魔力の膜を張ってくれたから何とかなってるけど。
アレだ。見た感じ宇宙服のアレ。
この酸素だって無限じゃない。急がねぇと。
「(アテナ、海面は……上で良いか?)」
《(はい。早くしてください、相当深くまで叩き込まれました)》
「(分かってる……っ!?)」
上がろうとしたとき、何かに右足を引っ張られた。
見ると、右足に海草が絡まっていた。
こんな時にっ――。
《(っ。マスター。アレを見ろ!)》
中々海草が解けないで焦ってる中、アテナで切れば良いと思いついた時にレイラが話しかけてきた。
レイラが言う方を見る。
そこにはマテリアルに使われていた核だった。
「(なんで……アレは全部組み込まれたはずじゃ……)」
《(いえ、アングは始め4つの核を持っていました。おそらくアレはそれでしょう)》
――その通りだ。
「っ!!」
突然、頭に声が響いた。
咄嗟に構えた。
そして一瞬、核が光だし……人影が生まれた。
その影に俺は、見覚えがあった。
「(……ア、アインス姉さん?)」
声が震えてるのが自分でも分かった。
そう。そこに居たのは体が透けてはいたが、確かにアインス姉さんだった。
だけど、感動ばかりしていられなかった。
アングに創られたものだ。アインス姉さんの姿をしているからって味方とは限らない。
俺はアテナを握る手を強めた。
「(待て待て。ウィズ、私がわからないのか?)」
「(俺の名前……ってことはそこから記憶が!?)」
姉さんは何も言わずに頷いた。
「(でも、それなら何ではや姉たちを助けてくれなかったんだよ!?)」
「(私の核は壊れていたみたいでな。魔力供給が受けられていない。この状態が精一杯なんだ)」
両手を広げて、自嘲気味にいう姉さん。
確かに体は透けている。
見る限り核が映し出してるって感じだし……。
「(だからウィズ、私に魔力を分けてくれ)」
「(俺の魔力を……? でも、俺は姉さんを存在させる程の魔力なんて持ってない)」
カートリッジをフルで使えば何とかなるかもしれないけど、それじゃ時間が足りない。
本当は今この瞬間にでも早く海上にあがりたい。
そもそも、あのマテリアルたちだってあの穴から魔力を吸い上げてたんだろうし、必要量なんて、想像がつかない。
「(大丈夫だ。私の機能を、一つだけ使えるようにしてくれれば良い)」
《(機能? ……まさか!?)》
「(あぁ、ユニゾン機能だ)」
アテナの言葉にアインス姉さんが頷いた。
「(でも、姉さんはユリゾン機能は失われてる筈じゃ……!)」
「(この体が、当時のモノならな)」
そう言って姉さんは、右手をそっと胸に持っていった。
「(この体はお前と時を過ごした時の体ではない。それよりも遥か以前の体だ)」
「(遥か……以前?)」
「(闇の欠片事件では、私の過去のマテリアルも出たのだ。その時のを模したのだろう)」
記憶は、お前と過ごした時の事も収められてはいるがな。と言って微笑んだ姉さん。
多分、それもあの核の故障が原因か?
いや……故障してるのは再現機能だけって言ってたし。
考えてもしかたねぇな。
とにかく、はや姉とユニゾン出来ればアングに勝てる!
そう思った。
だがそれは、他でもない姉さんの口から否定された。
「(この時の体は主は別人。主はやてとの繋がりがなければ、融合は出来ない)」
「(そんな……なら、なんでユニゾン機能を復活なんて……)」
《(相棒と、ですよね?)》
「(アテナ!?)」
そんな筈が無い。
俺にはユニゾン適性が無い。姉さんとのそう言う繋がりは無い。
それに、もし適正があってもそれを確かめる術はない。
そんなブッツケ本番なんて、ヘタをしたら共倒れだ。
「(いや、私とお前の繋がりはある。……いや、今から出来るんだ)」
「(今から?)」
姉さんが頷く。
「(私がユニゾン機能を取りもどる為にお前から魔力を借り受ける。
一時、短時間だけならそれで十分だ)」
《(そして、相棒とユニゾンすれば渡した魔力とは比べ物にならない程の魔力が返ってくる)》
姉さんが頷く。
……俺が、姉さんとユニゾン?
それで融合事故がおきたら……
――いや、迷ってる暇はねぇ!
「(分かった。やろう、姉さん!)」
そして、俺は再びアングと相対した。
その時の俺は、軽くユニゾンして変わった自分に混乱していた。
インナーとズボン、腰の鎧はそのまま。
上着と腰布はアインス姉さんの甲冑そのまま。
靴も手袋も変わって、足には赤いヒモが巻きついている。
……なんとなくだけど髪も伸びてるような伸びてないような……。
そして一番の違いが背中に生えた四枚の翼。
上の二枚が白く、下の二枚は少し小さい黒翼。
――ウィズ、長時間のユニゾンは無理だ。手早く済ませよう――
「あ、わかった」
場違いな事を考えてたのがバレたのか、若干低い声の姉さん。
アインス姉さんはあの頃と変わっていませんでした。
「ウィズ、その格好……」
「ゴメンはや姉、後で詳しく話す。今は……」
そして見るのは目の前に居るアング。
もう何も語らない。
俺は、アングを倒す――!!
――いくぞ、ウィズ!――
「(ああ!)」
四枚の翼を羽ばたかせ、アングに突っ込む。
手に納まっているのはテクニカルのアテナ。
速力付与は言うまでも無く最大。
そして今は、姉さんとのユニゾンで更に上昇。
それに加えて……。
「飛行スキルまで、手に入れましたか!!」
「当たりまえだろぉが!!」
「ちぃっ」
アテナを正面から振り下ろすも既にアングは盾を構えている。
だが、この攻撃は囮!
アテナを盾ギリギリで止めその場から引く。
「何を……っ!」
「バルムンク!!」
俺の影に隠れていたはや姉からの攻撃魔法。
それを無茶な軌道を描いてアングは交わした。
だけど!
「シングル……カラーズ!」
「しまっ――」
アングの死角からシングルを叩き込む。
シングルは直撃。アングは爆煙の中に消えた。
だが直ぐにアングは煙の尾とバラバラになっているアブソリュートを引きつれ、爆煙の中から飛び出してきた。
「逃がすか! アテナ!」
《――
Gun Silhouette――》
「ブランコ……バスタアァァーー!!」
ガンソードの剣先をアングに向け、俺の唯一の砲撃魔法を打ち出す。
そして同時。
「クラウ・ソラス!」
はや姉も砲撃を打ち出した。
二つの砲撃は真っ直ぐ、アングに吸い込まれるように直撃、
アングは再び爆煙の中に姿を消した。
俺はその間にはや姉の隣に移動する。
「やったか?」
「分からない。当たったのは確かだけど……」
《三段構えのコンビネーション。そして最後に砲撃の挟み撃ち。よく即席で出来ましたね……》
「まぁ、何となくはや姉ならそうするだろうなって」
「私も何となくやったけどな」
爆煙から目を離さず、会話を交わす。
確かに今のは直撃した。
したけど……何に直撃したかは分からない。
爆煙が晴れてきた頃には、少しだけ傷を負ったアングが居た。
傷は思ったより少なく、俺を焦らせるには十分だったが、もう一つ。
アングの回りに漂っていたパーツの量が、明らかに増えていた。
そして、右手から肩にかけて鎧のようなものが装着されていた。
「これまで使用させられる羽目になるとは……正直予想外でした」
「……例の機械やな?」
はや姉が言って、俺は気づいた、
さっきまで穴の中心に立てられていたあの機械が無くなっていた。
「あれ、デバイスだったのか……?」
「やはりこっちの方がしっくりきますね。タイムラグもゼロだ」
――自身に接続、直接操作することによってラグを削ったか――
「しかもデバイスとしてもパワーアップってか? ちっ」
思わず舌を鳴らした。
さっきまででもあいつの思考速度に負けてたのに、それを上回って、その上デバイス強化。
いくらはや姉が戦線復帰してくれたからって……いけるか?
《いえ、相棒。コレで私たちに勝機が見えました》
「っ! 本当かアテナ?」
《簡単な話です。独立思考が無くなった今、アング一人が全てを制御しています。ならば……》
「(それを上回る、処理しきれない攻撃を繰り出したらええっちゅうことやな?)」
アテナの声を遮って、はや姉が念話を繋いできた。
「(だけど方法が見えただけやろ? シグナムやフェイトちゃんならともかく、私はそんなバンバン出来へんで)」
《それは……何か無いんですか? ブラッディダガーとか》
「(何も考えてへんかったんか!!? ……あれは早いだけでそんな連続で撃てへん。それに、いくら何でもそっちが反応できへんやろ)」
確かにそうだ。
来ると分かっていて避けることくらいは俺にも出来る。
だけど今のアングに剣を交えて、そっちにまで気を回す余裕は無い。
なにか……なにか無いか。
連撃、追いつかないほどの、休まない攻、げき、が……。
「(一つ、あるじゃねぇか)」
「(ほんまか!?)」
「(あぁ。っても、賭けの要素が強くなるけど、ね)」
そう。一つだけある。
俺の……アテナの、フルドライブ。
コネクションが。
ウィズの小部屋
ア《今回は随分詰め込んだ内容でしたねぇ》
ウ「まずはアインス姉さんの復活、ユニゾン。はや姉との初共闘」
ア《と言うかユニゾン理論、アレで良いんですか?》
ウ「さぁ。色々調べたけど適性って言葉以外出てこなかったらしいから、適当だって」
ア《またいい加減ですねぇ》
ウ「俺もそう思う。あとは……」
ア《そう!私のフルドライブがついに解禁です!》
ウ「あぁ、そうそう」
ア《1stから数えて91話。ようやく、ようやく私の真の力を見せるときが!!》
ウ「ってかそんなに続いてた方が驚きだよ」
ア《実は私も数えてみてビックリしました》
翡翠さん
ウ「いや。あの時はもう逃げることしか頭になかったから……」
ア《でもアレは私もどうかと思いますよ。逃げろと言ったシグナムお姉さんでさえ一瞬固まってましたよ?》
ウ「うっ……。ってか浮気者ってなに!!?俺そんな事してないよ!?しかも変態!?」
ア《そうですね。これは許しがたい問題です!》
ウ「おぉ。アテナ……」
ア《変態はまだ許しましょう。ですが……浮気ってどういうことですか!!?》
ウ「え、矛先おれ!!?」
Nakiさん
ウ「やっぱ空戦ってなるとなぁ。360度上下左右全部に気を回さないと行けないから、苦手だ」
ア《コレばっかりは私でも補助の使用がありませんからねぇ》
ウ「あ、目が赤いのはユニゾンの影響な。アインス姉さん目が赤かったから」
ア《相棒はかなり影響を受けてますよね、お姉さん方に比べて》
ウ「アギトとユニゾンしたシグナム姉さんよりは変わってないと思うけど……」
ア《いえいえ、良い勝負だと思いますよ。そしてセラフィム、私はやりますよ!……次回ですけど》
ウ「ある意味アテナの全力全開、だな」
ZEROさん
ウ「ギャーー!!ばれてたーー!?」
ア《他の皆さんが会えて触れなかっただけで、気づいていたと思いますよ?》
ウ「まじでか!?」
ア《大マジです。あ、それと相棒。打ち上げのお誘いが》
ウ「ん~……いいのかなぁ?」
ア《何がです?》
ウ「いや。俺たち自分に手一杯で向こうに顔出してないんだよねぇ。それで御呼ばれするのって、おこがましくない?」
ア《……まぁ、呼んでいただいているのでいいのではないですか?》
ウ「そう言う事なら……お邪魔したい、かな?」
鴇坂カスハさん
ウ「実はちゃんと写真撮ってはいるんだよな。ただ……顔映りが悪いんだよなぁ」
ア《元からでしょう?》
ウ「そう言う意味じゃないの!…前に取ったヤツと比べるとどうもバランスがおかしいんだよ」
ア《まぁ私から見ても何かおかしかったですからねぇ》
ウ「とりあえず次回更新時にでも声が多かったらあげてみるよ」