『血鎖の支配』(23/50)PDFで表示縦書き表示RDF


『血鎖の支配』
作:是音



第四章 八、《器の底》



 八、《器の底》

 俺こと神野王牙はあの後摩紀さんに此処で起こった全ての出来事を余すところ無く話し、夕凪姉妹にはちゃんと記録した紙を渡した。
 一応依頼は完遂したわけである。

 重傷者一名と、その付き添いの双子を乗せた医療船を見送った俺と摩紀さんは、港に立って潮風に煽られていた。

「俺達の迎えはいつ来るんです?」

「さぁ。あと一時間くらいじゃないか?」

 やれやれ、と地面に座る摩紀さんに合わせて俺も隣に腰を下ろす。

「さぁて、今回の件の解説が欲しいんじゃないのか? オーガよ」

 彼女はおもむろにそんな事を言い出した。勿論俺も気になる事だらけであるからして、

「はい。是非聞きたいですね」

 よし、と摩紀さんは語り始めた。

「まず最初に言っておくべきなのが、お前と八雲とある一人を除いて《この島に居た全員が犯人》だったってことだ」

………。

 は?

「それは一体……」

 摩紀さんは構わず続ける。

「この屋敷の中で、八雲の機嫌が悪かった時は無かったか?」

………。

………あった。

 そういえば、依頼説明の時なんかもそうだったし、地下の惨劇の時も、よく見ていなかったが機嫌が悪かったように思える。
 事実彼女は〈不快だわ〉と口にした時もあった。

「確かにありました」

 だろ? と摩紀さんは笑う。

「そう。アイツは嘘つきが大っ嫌いだからな」

 うん。八雲さんは嘘をついている人間は一発で見抜けると言っていた。

「あ、その前に摩紀さん。何で〈闇屋〉なんて名乗っていたんですか?」

「ん、あぁ。だって始末屋はここではお前だろ? 闇屋ってのは〈ティンダロスの猟犬〉に現役で実在する奴から借りたのさ。通称〈不可視〉っていって、誰もそいつを見たことが無いから都合がいいのさ」

――不可視。

「まぁ、んな事はいいから解決編といこう。まずはお前が言っていた最初の爆発事故の件なんだが。あれは実験体が逃げ出したからじゃない。あれもただの〈自爆〉だ」

 一体この人は何を言っているのか。

「自爆って誰が? 爆破屋さんですか?」

「うんにゃ、ある一人を除いたあの場の全員の意志による自爆」

 全然意味がわからない。

「おぃおぃ、もっと頑張れよ探偵事務所雑用! 結論を言ってしまうとな《あの実験施設にオルタなんてもんは居なかった》って事だよ」

「オルタは存在しなかったって事ですか!?」

 摩紀さんは首を振る。

「あー違うよ。《あの双子の召し使いのどちらかがオルタ》だ」

 彼女はさらっと凄い事を言った。
 オルタは獰猛で人の意識など無い生命体だとか誰かが言っていたが、嘘ということなのか?

「でもってもう片方がイーヴァン・スレイヴだな。自分とそっくりな人造人間を造って双子を演じていただけだ。なにせ〈alter{変化}〉だから」

 イーヴァンは女だった。ということか?
 夕凪姉妹。あの双子のどちらかが人造人間でどちらかが研究者だと?
 俺はもうついていけなくなりそうだ。

「ははっ、いいから聞きなよ。夕凪姉妹もといイーヴァンとオルタの目的は本人達が言っていた通り〈島から出る〉事だったろ?
その為にオルタを処分したという記録と、主な証拠を消し去る必要があった。それが島から出られない理由だったから。だからあの爆発事故を起こしたのさ。
そこで情報屋は死ぬ間際にお前に言ったそうだな」



――《心配するな、オルタは吹き飛んだ。俺が確認した》

 言った。確かに言った。情報屋が意識を保ち続け、必死に俺に伝えた情報だ。
 だが、待てよ? あの情報屋は嘘を言えない筈だ。
 何故なら、

「彼の異名は《連続真実{and true}》なんですよ?」

 摩紀さんはハン、と笑った。

「お前達が聞いた奴の異名は
《and true》なんかじゃなくて
《untrue{嘘}》だ」

………なに?

「いるんだよねぇ、よくこういう聞き間違いする奴。あぁ、ちなみに爆破屋が名乗っていた
《炸裂爆弾{burst bombshell}》も言い換えれば
《弾ける可愛い子ちゃん{burst bombshell}》
って意味もある。あんな派手な自爆すんだもんな」

 だんだんと、理解できてきた気がする。
 俺にだけ嘘を吐き、間違った情報を与える事の意味。

「つまり、自作自演の事故だったと。俺にそう記録させる為の」

 その通り。と彼女は人差し指を上げた。

「奴等はお前の前では全員が初顔合わせみたいな態度をとっていたのだろうけど、実際だいぶ前から計画していたのさ」

 ところが、と摩紀さんは続ける。

「イレギュラーで〈始末屋〉が〈護衛〉なんかを連れてきやがった。しかもそいつは勘が鋭く、爆破事故について疑い始めた。だから……」

「殺したって言うんですか? でも便利屋一人では八雲さんの相手は無理ですし、かといってオルタやイーヴァンが戦える身体だと仮定して、彼女らが加わっても、八雲さんだけ殺して自分達が無事で済む保障は無いでしょうし」

 摩紀さんはちっちっちっ、と指を振った。

「それにもう一人〈殺し屋〉が加わったら確実でしょう?」

――殺し屋。

 彼は最初の爆発事故で死んだ。
 あの事故の後、生き残ったのは俺、便利屋弟、イーヴァン、オルタ、八雲さん、そして大火傷を負った代理屋さんである。

 残った代理屋さんは戦闘なんてできる体格ではなかったし、なによりあの状態だ。

「オーガお前さ、あの包帯グルグル野郎が本当に代理屋だって確認したの?」

………。

 確認するも何も、彼は……。

 あれ?

 何で俺は火傷で判別不可能だったあれを代理屋だと認識できたんだ?

「お前が奴を代理屋だと思ったのは夕凪姉妹が最初に〈代理屋様〉って叫びながら顔もわからない程焼け爛れた奴を助けたからじゃないのか?」

 その通りだ。確かにその通りだ。
 俺は夕凪姉妹が彼をそう呼んだからアレが代理屋だと思い込んだ。

「だ、だとすると大火傷を負ったのが〈殺し屋〉で、バラバラに吹き飛んだのが〈代理屋〉って事ですか!?」

 入れ替わるために自爆に巻き込まれたと? あの爆破屋なら位置や火薬量を調節して殺し屋だけ殺さないような爆破ができるかもしれないが。

「ま、そういうこったな。さすがは《本質欠如{poor stuff}》別名《がらくた{poor stuff}》だよ。死まで代理しやがった」

 そこまでして。
 爆破屋も情報屋も代理屋も、そこまでして依頼を達成させたかったのか? 殺し屋も大火傷を負ってまで……。

「あぁ、それから殺し屋の火傷はそんなにひどくないと思うよ。普通には動けた筈だ」

 苦しむ様も演技か。

「あの四人の共通点は《死んでも依頼遂行》を信条にしていたところかな。〈だから〉呼ばれたのさ」



 そんなの、狂っている。
 それじゃあまるで死を望んでいるみたいな態度じゃないか。

「便利屋兄弟だけはこの計画に関しては何も知らなかった。単に利用されただけだ。
イーヴァン達にとって八雲は嘘を見抜き真相を始末屋のお前に密告する危険性があった。だから便利屋兄を殺したのが八雲だと弟に思い込ませる事に成功し、邪魔な八雲を消す協力をさせた。
だから最初に言った、今回犯人ではないもう一人の人物ってのは便利屋兄の事だ。奴は純粋に便利屋としてみそらを助けた。勿論助かるように事前に爆破屋が調節していただろうけど、みそらはさぞかし驚いただろうな。
本来何も関わらない筈の
《遠隔道具{remote kits}》
こと別名
《無関心な一組{remote kits}》
も、さすがに兄という片割れを殺されたら異名が真逆になった。ものの見事に〈便利〉に扱われたわけだ。
お前の記録では八雲を殺したのは便利屋弟一人ってことになってるしな。さすがの八雲でも殺し屋と実験体を含めた四人が相手ではな……」

――今思えば……。

 八雲さんの顔と脳髄を串刺しにし、破壊したあの凶器。目と口から突き出た三本の銀色の棒は何だったのか。最初は医療用のメスかと思ったがメスは人間を壁に磔にできるほど長くない。両腕を切断したのが殺し屋だったとしても、あの三つの凶器は不自然だ。暗器使いがあんな長い金属の杭を持ち歩くとも考えられない。便利屋弟に至ってはナイフも上手く扱えないような人だったし。
 考えられるのはイーヴァンとオルタの能力か。二人はもう此処には居ないのだからこの謎は迷宮入りだな。


 八雲さんが殺された時間は大体予想できる。
 地下からラウンジへ戻った時、しばらく便利屋と別れて俺が一人になっていた時間があった。
 医務室に偽怪我人を運んだ八雲さんは、俺が自室に帰ったと思ってすぐに護衛の仕事に戻った。
 夕凪姉妹と偽代理屋はすぐに便利屋弟の部屋へ行き、八雲さんを疑っていた彼になんらかの追い討ちをかけて思い込みを助長し、協力させた。
 そして誰も居ない自室に戻った八雲さんはそこで四人に襲われたわけだ。
 何も知らずにその間ずっとラウンジで呆けていた俺は、何事も無くラウンジに現れた便利屋と夕凪みそらの本気か嘘かもわからない話を聞いたのだ。
 
 現れたみそらさんはエプロンを着替えていたし、しずねさんと偽代理屋は血まみれだった。
 あれは火傷を負ったが故の血だと思ったが、よく考えてみればあそこまでべったりと血が付くわけがない。
 ならアレは、

 八雲さんの血だったのか。

「どうして……」

「ん?」

「どうして俺が記録を書く前に真相を教えてくれなかったんですか?」

 これでは、これではあまりにも便利屋兄弟と八雲さんが報われない。

 ところが摩紀さんは、

「私は別にイーヴァンを止める為にここへ来たんじゃない。あくまでオーガ、お前の〈護衛〉で来ているんだ」

 さらりと悪怯れもせずそう言った。
 でも実際、その通りなのかもしれない。イーヴァンとオルタは殺し屋と共に島を脱出できたわけだし。犠牲はあまりに多いが記録では、全て事故であり八雲さんを個人的な恨みで殺した便利屋弟も自殺した事になっている。

 本当に、依頼は達成されていた。

 後味の悪い結末だ。とか考えながら俺が溜息を吐くと、

「おい。そろそろ出てきたらどうだ?〈闇屋〉」

 摩紀さんが誰も居ない後ろに向かってそう言ったのだ。

 俺は最初彼女が何を言っているのかサッパリだった。だって〈闇屋〉は彼女が此処へ来る為に自分で用意した席なのだ。

 だが、〈それ〉は突然聞こえてきた。

『出てこいと言われましても、姿は見せませんよ〈死神〉』

 声だけ。
 透き通るような男の声に驚いて周囲を見回したが、この港には俺と摩紀さん以外は誰も居ない。

 声だけが存在している?

「無駄だオーガ。コイツは見えないんだから。見えないどころか気配まで完全に消しやがる」

 摩紀さんは後ろを振り返りながら誰も居ないのにニヤリと笑って見せた。

「さすがはティンダロスの猟犬、隠密機動部隊〈forbiddance(禁忌)〉所属、《不可視》ってところだな」

『おや、元第一線精鋭突撃隊にいた貴方に褒められるとは光栄ですね』

 気味が悪い。声だけがどこからともなく響いてくる。波が港に打ち寄せる音にもかき消されない澄んだ声。

 不可視。決して姿を見せない暗殺者。
 摩紀さんがモデルにした闇屋本人もこの島に居たのか。つまり闇屋はこの島に二人居たことになる。

 でも、

「でも何で?」

「これもお前を守る為に決まってんだろ」

 あっさり言われた。

『その通り。私はそこの死神の依頼で此処へ来ました』

 と、ここでどこからともなく〈ハァ〉という音か聞こえてきた。溜息を吐いたんだろう。

『まったく。君はトコトコと不用心に出歩くし、護衛役の……あー、純血一族の娘さんも役に立たない。なかなか面倒な仕事でしたよ』

 確かに不用心に出歩くのは良くなかったとは思うが、待てよ? 面倒な仕事でした?

「えっと〈不可視〉さん、俺は貴方に何かしてもらった記憶はありませんけど」

『でしょうね』

 暗殺者はあっさり言った。

『屋敷中に仕掛けられていた爆破屋の爆弾処理、死神に頼まれた情報収集が主でしたから。
ただ、私は君を二度助けましたよ』

 何? 二度も?

『一度目はあの大ラウンジ。爆破屋と殺し屋が言い争いの果てに殺人行為に出ようとしていましたね。さすがに私もあの時は慌てましたよ。瞬速で天井の爆弾に繋がったワイヤーを解除しました』

「でも結局あの場は丸く収まったのだから解除する意味は無かったでしょう?」

 するとまたもどこからともなく喉で笑う声が響いてきた。

『フフ、フフフ、いいえ違いますよ。あの時爆破屋の少女は自分で起爆ワイヤーを引っ張っていた。
本当に、あの場に居た全員を、自身も含めて爆殺する気だったのです』

 な、にぃ……!?

『しかも殺し屋の方はそれを知っていた上で暗器を使った。彼は私に気付き、私を〈切札〉にしたのでしょうかね?
フフフフ、まったく。《はじける可愛い子ちゃん》と《悩ましい程のペテン師{killing joker}》は何をしでかすかわかったものではありませんよ。
ま、爆弾を解除された事には大変驚いてみえたようですがね』

 まだクスクス笑い声が聞こえる。
 何度も言うが俺と摩紀さん以外誰も居ないのだから本当に気味が悪い。

 しかしあの爆破屋、俺が思っていた以上に頭が狂っていたということか。
 殺し屋は彼女がIQ200と言っていたが、頭が良すぎるのも考えもんだな。
 おそらく彼女は生きる事についてどこか到達しきってしまったのかもしれない。だからあっさり他人を、自分さえも殺せるのだ。

『そして二度目』

 摩紀さんはボーッと遠く水平線の彼方を眺めている。

『二度目はこれもまた爆破屋関連。君達が駆け付けた後、彼女が地下で二回目の自爆をした時です。
便利屋の弟さんが君を掴んでいましたが、一人だけでならまだしも更に男一人を抱えて部屋から飛び出るなど不可能です。
そこで私が君の身体にワイヤーを巻き付けて外へ引っ張りだしたのですよ。便利屋は君がとても軽い男だと感じたでしょうね。
それにしても計画と呼ぶに値しない程〈ずさん〉な計画です。穴だらけで崩れやすい』

 あの時は頭が混乱していてそこまで意識が回らなかったけど、確かに別の違和感があった気がする。これも言われてみればの話だが。

 でも待てよ。この暗殺者、八雲さんに代わる第二の護衛って事だろ?



「何で俺が便利屋弟に襲われた時は助けてくれなかったんですか?」

 あの時こそ本当に死にそうだと感じた。一番助けてほしかった場面だったぞ。

『それは……』
「運悪く私が到着したからだ」

 突然摩紀さんが口を挟んだ。

「私がこの〈不可視〉に依頼したのは《私が島へ到着する時まで始末屋に危害が及ばないようにして欲しい》って事だったからさ、律儀にも本当に私が到着した瞬間に仕事を終わらせやがった」

 言いながら煙草に火を点け、大量の紫煙を吐く。
 風下に流れていく煙には何の反応もない。
 姿を隠すなら風上より風下に位置するのは当然だ。なのに煙は何かの糸や仕掛けで揺らめくこともなくあっさりと消えてしまった。
 摩紀さんもそれが目的だったのだろうか。

「まぁ、とにかくご苦労だったな〈不可視〉」

『えぇ。護衛の対象が対象なだけに苦労はしましたね。
では最後に一つ、君を混乱させる事実を教えてあげましょう』

 不可視は俺に向かって言っているのだと思う。

「なんでしょう?」

『フフフ、実はですね、《あの殺し屋も本当は代理屋だった》のですよ』

………。

 どうやらこの闇屋、相当俺の事が嫌いと見える。
 この人と話せば話す程、頭が混乱させられる。細かい説明はせずにわざと漠然とした事実だけを暴露して俺の混乱を誘っている。
 おそらく言いたいのは、この島には最初から殺し屋はおらず、来ていたのは殺し屋のふりをしたもう一人別の代理屋だったという事か?

「おいコラ不可視。ウチの坊やが困ってるじゃないか」

『おや珍しい。死神が本気で怒っていらっしゃる。では、私は殺される前にさっさと消えるとしましょう』

 そして無責任な声は消えた。

 だが摩紀さんが確信を持って今回の真相を暴けたのは多分〈不可視〉さんが裏で動いて情報収集を行ってくれたからなのだろう。

「ったく、本当に気配消すのは天才的に上手いよなぁ」

「…………」

 考え込む俺の肩に摩紀さんが腕をまわす。

「あのなオーガ、本物の殺し屋《殺人切札》は数ヵ月前に死亡しているんだ。だからお前に話を聞いた時、間違いなく殺し屋本人も偽物だとわかった」

「代理屋だと思っていた重傷者が実は殺し屋で、その殺し屋も本物は既に死んでいて別の代理屋が成り代わっていた………。ややこしすぎですよ」

「ははは、あんまし考えなくていい事だったから黙っていようと思ったのだけど。あの馬鹿闇屋、お前を気に入ったらしいな」

 あんな気に入られ方は嫌だ。
 どうでもいい事だろうけど、俺はふとある疑問が浮かんだ。

「イーヴァン・スレイヴは何故オルタを連れていったんでしょうね。本当に処分してしまえば簡単で確実なのに」

 隣からハン、と鼻で笑う声が聞こえる。

「愛着が湧いたんだろうさ」

 〈死神〉な俺の上司はぶっきらぼうにそう言った。

 そういえば、いつだったか?

 そう。
 あれはラウンジで八雲さんとしずねさんと三人で話した時だ。
 イーヴァンの事について語ったしずねさんに対し、八雲さんは

――《今のアナタになら好感を覚えるわ》

 と言った。ということは、しずねさんは本音を言ったという事なのか? だとするとオルタは……。

 ま、俺の知り得るところではないか。もう会うこともないだろうしな。

………。

 あの場に居たほとんどの人物が大嘘つきだった。
 どうしようもない程に命懸けな、大嘘つきだった。

 器の底が堅すぎて、どんな石を投げ入れても壊れないような、開き直りすぎて自分を貫き切った大嘘つき。

――八雲さん、本当に不快で居心地が悪かっただろうなぁ。

 ワインレッドのスーツ姿。それが妙に似合っていた綺麗なお姉さんを思い出した俺は、胸が苦しくなった。


「んーっ、さぁて私が雇った代理屋が〈鬼人〉に殺されていなければ良いんだがな」

 大きく伸びをしながら摩紀さんは呟く。

 そういえばこの人、確か自分は引きこもりだから本島から離れないとか言ってなかったっけ?

…………。

 嘘つきの〈死神〉が、隣で大きな欠伸をした。


――――第四章
【radical untrue(根っからの嘘)】 了












ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう