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『血鎖の支配』
作:是音



第四章 二



 ニ、


「そうですかー」
「始末屋様でいらっしゃいましたかー」

 王牙と八雲の前を歩く荷物を抱えた双子の召し使いは個室へと案内してくれている。
 まだキョロキョロと交互に見比べながら八雲は双子に尋ねた。

「ねぇ、今回この屋敷にはどんな裏稼業が集められたの?」

 えーと、と呟きながらみそらが答える。

「今回お呼びしたのは〈始末屋〉、〈情報屋〉、〈代理屋〉、〈便利屋〉、〈爆破屋〉、〈殺し屋〉、それと〈闇屋〉でございます」

「皆様には今回やって頂く仕事に必要な情報のみをお伝えしております」

 としずね。
 王牙と八雲は納得した。先程の便利屋兄弟が何故多くの事柄を知っていたのか。それは〈便利屋〉だから。あらゆる状況下でも彼らは常に〈便利〉でなくてはならない。故に他の裏稼業がすべき仕事内容も把握しているのであろう。同じ様な理由で〈代理屋〉も。〈始末屋〉は最後の最後で動けば良いだけ。依頼文には見納めれば良いと書いてあった。ならばその通りにしていれば良いのだろう。

 個室に案内され、荷物を部屋の中に置く双子に王牙は口を開いた。

「それにしても、こんなに沢山の裏稼業を集めるなんて一体どんな目的があるんですかね?貴方達の主人に早く会ってみたいですよ」

 それを聞いたみそらとしずねは何故か少し表情を変えて俯いたが、すぐに笑顔に戻った。

「えっと、そのことに関しては後にお教え致しますので、今より一時間後に一階大ラウンジに集合して下さい」

 みそらはまるで今の発言の中に気になる物があり、それを濁して逃げようとしているように王牙は感じた。

「では、失礼致します」

 と、この二人もまた声を揃えて出て行ったのだった。
 王牙と八雲はそれぞれのベッドの上に座る。

「あ、私は護衛だから襲ったりはしないわよ始末屋さん。逆も然りね」

「そんな事はわかってます! それよりどう思います? あの裏稼業の数」

 八雲は腕を組んで首を傾げる。

「護衛をシンクタンクに使うなんて、人使いの荒い始末屋さんね。誰に似たのかしら? それよりも、うーん。どうにもきな臭い話よやっぱり。〈殺し屋〉がこんな場所に呼ばれるのも変だけど、〈爆破屋〉と〈闇屋〉、この二つが呼ばれた意味の方がもっとわかんないわね」

「なんですかその危なさ満点な二つは」

「〈闇屋〉についてはよく知らないけど、〈爆破屋〉。こいつはいわば〈始末屋〉みたいな役割で呼ばれたのかもしれないわね。
 バレちゃまずい物や人なんかを木っ端微塵、判別不能なまでに吹き飛ばす。まぁこういった仕事の他には、わかりやすく裏抗争でトラップ張ったり広範囲攻撃用に駆り出されたりするのだけど。今回は便利屋兄弟が言っていたようにそいつも仕事仲間ってことだから敵対はしないのでしょうけど……」

 用心するに越した事は無いわね。とか言いながら、その言葉とは裏腹に八雲はベッドに寝転んでそのまま眠ってしまった。護衛失格である。
 私から離れないように。とか言われた王牙だったが、ダメダメな護衛の姿に半ば呆れ顔で部屋を出ると、一時間後の集合場所へ行ってみる事にした。


 個室は二階であったので王牙はホールの大階段を使って一階へ下り、そのままホールにある大扉を開くとそこが大ラウンジだった。
 大ラウンジと言われるだけあり、王牙は自分の学校の体育館よりひろいな。と自分自身で忌み嫌う一般人的比較をしてしまっていた。一体どんな事をしたら孤島を買い取り、こんな屋敷を建てる程の金が沸いてくるのだろうか。
 等と考えながら足を踏み入れると、既に先客が三名いた。

 一人は小柄で、見るからに元気の良さそうな女の子。
 もう一人は長方形の淵無し眼鏡を掛け、痩せた男。
 三人目は、寡黙そうで目つきが鋭い無表情の男。

 三人はラウンジの真ん中でテーブルを囲んで座っていた。

 女の子が王牙に気付いたらしく、満面の笑みで手を振る。

「おーい! 君も依頼を受けて来たの!? こっち来て話さなーい?」

 眼鏡の男も柔らかく微笑み、もう一人の男は無愛想に横目で王牙を見た。
 呼ばれた王牙は三人と同じテーブルの席に座る。
 二人の男は三十代とみて間違いは無いが、一人ではしゃぐ元気の良い娘は明らかに王牙と同世代、もしくは年下である。

「あたし〈爆破屋〉! 通称《炸裂爆弾(burst bombshell)》! ヨロシク〜」

 しかも爆破屋ときた。
 通称《炸裂爆弾バースト・ボムシェル》。危険極まりない二つ名である。こんなはっちゃけた性格の女の子に爆弾なんて持たせたら何をしでかすかわかったものではない。
 王牙はなるべくこの娘とは距離を置こうと決めた。にも関わらず爆破屋の少女は王牙の肩に馴れ馴れしく手を回す。
 それに困った顔をする王牙に見かねたのだろう。眼鏡の男が爆破屋を注意した。

「爆破屋さん、青年が困ってみえますよ」

 王牙に顔を向けた眼鏡の男はニコリと笑った。

「どうも、僕は〈代理屋〉をしている者です。通称《本質欠如(poor stuff)》。何の代わりでも務めますよ。以後お見知り置きを。そしてこちらの怖い顔をした方が……」

 代理屋が隣に手を伸ばすと、無愛想な男はうるさい、とその手を弾いた。
 フンと息を吐き、王牙には目も向けずに口を開く。

「………〈殺し屋〉だ。《殺人切札(killing joker)》と呼ばれている。安心しな、今回はお前を殺したりはしない。それよりもお前は誰だ」

 ここで殺し屋の鋭い視線を受けた王牙は軽い戦慄を覚えながら答えた。

「あ、俺は〈始末屋〉……です。二つ名は無いですね。あと護衛としてもう一人付き人が一緒です」

 殺し屋がぴくりと反応する。他の二人も反応を示したように思えたが、王牙の視線は殺し屋の目力によって吸い込まれていた為に気付く事は無かった。

「護衛? フン、俺と同業か。そもそも始末屋など、その名の通り最後に必要となるだけではないか。はっきり言えば誰にでも務まる……」

 そう言ったところで殺し屋の言葉が止まった。
 何故ならテテテと走り寄った爆破屋が、殺し屋の頭をべしっ、と叩いたからである。

「貴様………」

 殺し屋は鋭い視線を更に強め、爆破屋を睨む。
 爆破屋はそれに動じる事も無く、ただ片手を自分のウエストポーチに突っ込んでいる。
 冷や汗を浮かべている代理屋にはそれが何を意味するのか理解できたし、王牙も爆破屋のウエストポーチに何が入っているか等、すぐに予想がついた。
 一瞬にして場が凍りつく。

 視線を逸らさず、殺し屋が口を開いた。

「フン、このラウンジごと吹き飛ばすか爆破屋。貴様がそこまでする事を俺が言ったか? まぁ、貴様が動く前に俺は貴様を十三のパーツに解体することができる事を計算に入れておくんだな、IQ200」

 しかし爆破屋は、ふふっ、と笑った。

「私が動かなくても、貴方が動いた瞬間にドカンよ♪」

 王牙は彼女の言っている意味が分からなかったが、殺し屋の顔には変化が現れていた。眉間に皺を寄せている。
よく見ると天井から伸びた細くて視認しづらいワイヤーが殺し屋の腕に巻きついていた。ワイヤーは天井にくっついた黒い箱と繋がっている。爆弾である。

「……貴様、この屋敷に来た時から仕掛けていたのか」

 殺し屋が吐く溜息と、靴を軽くコツコツと鳴らす音を王牙は聞いた。

「まぁね。駄目だよ殺し屋さん、私達裏稼業は自分の仕事に誇りを持っているんだから」

 言いながら少女はワイヤーを巻き取り、色の違う一本を引っ張って天井からポロリと爆弾を落としてキャッチし、ウエストポーチの中に入れた。爆破屋が最初に手を突っ込んだのはただ威嚇の意を示す為だったのだ。

――あの威嚇が無かったら殺し屋は動いていた……か。

 ここで代理屋が場を取り持った。

「とにかく、我々は一緒に仕事をする仲間なのですから。仲良く行きましょう」

 爆破屋はスキップで席に戻り、殺し屋はフン、とそっぽを向いた。
 とりあえず危険な状況は無くなったようで王牙は胸を撫で下ろした。
 代理屋もやれやれといった表情になる。

 王牙は今の雰囲気が嫌になり、話題を持ち出した。

「あの、皆さんは一体何の為に呼ばれたのですか?」

 その質問に他の三人は

「不測の事態に備えてだね!」
「不測の事態に備えてですかね」
「……不測の事態に備えてだ」

 と口々に同じ返答をした。青年だけが呆気に取られている。
 どうやらその事に関しては既に三人で話し合った後だったらしく、代理屋が改めて話してくれた。

「今回の依頼、本当に必要なのは情報屋さんとそのアシスタントに呼ばれた便利屋さんくらいのものです。殺し屋さんと爆破屋さんはただ《実験体》が逃げ出した場合の処分役として呼ばれたらしいですから。僕の場合は〈誰かが死んだら代わりを務めろ〉といった依頼内容でした。スペアというやつですね。しかし実験体とは……。詳細は聞かされていませんが、《イーヴァン・スレイヴ》。危険な名前だったような記憶がありますね」

――実験体。

 この孤島に来て初めて聞く情報である。しかも呼ばれた〈爆破屋〉〈代理屋〉〈殺し屋〉、そしてまだ見ぬ〈闇屋〉。闇屋に関しては謎に包まれているが、ともかくこの面々はあまりにも不測の事態というものを予期しているかのような顔ぶれである。

「そう。おそらく今君が思っているように僕達もこの顔ぶれには疑問を感じずに入られない。あたかもその実験体とやらが逃げ出す事を予期しているかのような」

「フン、興味は無い」

 一言そう言うと殺し屋は音も無く席を立ち、音も無く歩いてラウンジから出て行った。扉を閉める音を聞いた代理屋はクスリと笑い、爆破屋の方を向いて

「いやぁ、危なかったですね爆破屋さん」

 そんな事を言った。
 王牙は首を傾げているが、爆破屋はムスッとしていた。

「むー、まぁね」

 首を傾げつづける王牙を見た代理屋は笑顔を見せた。

「ふふっ、あの状況、一見すると爆破屋さんが抑え込んだように見えたでしょう?」

「ええ。違うんですか?」

「あれは〈爆破屋さんがワイヤーを回収せざるを得なかった〉のですよ」

――何?

「なにせ彼の異名は《殺人切札》ですからね。些細な状況から絶体絶命の状況まで、関係なく彼はその状況に見合った《切札》を備え持っているのですよ。
今回の場合、爆破屋さんが仕掛けたのは、座った状態の殺し屋さんが上半身を動かそうとすると爆発するトラップでしたね。ワイヤーを巻きつける事自体は彼女の技術ですからさすがに殺し屋さんも避けられませんでした。ところが彼はあたかもそうなる事を予期していたような切札を用意していたのですよ。爆破屋さん」

 代理屋が爆破屋に目配せすると、少女は嫌々ながらも自分の右足をテーブルの上に置いた。

――な………に?

 脛に一本、太ももに一本、鋭利な刃物で切られた傷があった。深めだが、あまりに鋭い切れ味であるが故に、もう血が止まっている。

「さすがよね。一撃目で脛に、ニ撃目で太ももだもの。〈次は心臓をも狙えるぞ〉ってメッセージよ。しかも正体不明の暗器ときたら退くしかないじゃない」

――けど、いつの間に?

「あなたも聞いている筈ですよ始末屋さん。僕も最初は靴を鳴らした音だと思いましたが」

――………あ。

 確かに王牙は聞いた。コツコツという音を。だがそれは本当に微かな音で、靴音としか考えられなかった。しかもそんな音だけで正確に狙いすました鋭い攻撃を二回も。

 王牙はぞっとした。

「しかし、〈興味は無い〉ですか。正確に言えば依頼内容にいちいち興味を持ってはいけない、という事なのだろうね」

「うわ! 出たよ《本質欠如》!」

 爆破屋は顔をしかめてテーブルに突っ伏す。どうやら彼女は此処で初めて会ったはずの男の性格を王牙か現れる前に嫌という程理解したらしい。

「始末屋くん、駄目だよこの人と深く関わっちゃ! ……あ、この人とは深く関わる事すらできないわね。代理屋としては一流だけど人間としては最悪なんだから!」

「散々な言われ様ですね、僕も」

 代理屋は苦笑いで頬をポリポリと掻く。だが次の瞬間、眼鏡の奥に見えるその目は優しいものから鋭く尖ったものへと変化した。

「人間として最悪でも代理屋として一流なら僕はそれで良い。命を賭してでも僕は喜んで他人の代わり、代替となろう。そう、運命の代替品に」

 再びその表情に笑顔が戻る。爆破屋は変なプライドだ、ともはや呆れ果てていた。

――運命の代替品。

 王牙の中での運命とは、筋書きに沿って物語の終わりへ向かう事。予め引かれたレールの上を走る事。
だが青年は考える。もしその筋書きに選択肢を置く事ができたとしたら。代替品を本来のレールに乗せる事で自分は別の筋書きに進めるのではないか? 運命を切り開く事が、できるのではないか?

――否。

 無理である。不可である。無駄である。
 そもそもこの代理屋は〈運命の代替品〉の意を取り違えている。運命の代替品とは、本来運命の帳尻合わせの為に存在する。そう、運命という物語には選択肢なんていくらでもあるのだ。ただ、どんな選択肢を選んだところで最後に行き着く場所、筋書きは同じというだけ。成し遂げる筈だった事を成し遂げなかったとしても、別の自分と同等の誰かが変わりに、まるで〈代替品〉の様に成し遂げてしまう。それはすべて無意識のうちに起こっている現象。結果は同じになってしまうのだ。
 つまり運命の代替品とは〈個人の運命に選択肢を与えるものではなく、選択肢の意味を排除し最後を等しくするもの〉なのだ。因は複数あっても、果は一つ。青年はそう考える。
 だが、そもそも何故こんな考え方を、運命を物語に例えるなんて事を考えるのか王牙自信にも理解できていないのだ。
 御堂はこの考え方を面白いと言っていた。だが王牙にとって、こんな話、考え方を誰かに教えてもらった記憶など無い。頭の中に気付いたら備わっていたとか、そんな感覚なのだ。ただ王牙はこの妙な考え方にではなく、その奥に潜んでいる何かを感じ、それに好感を持っていた。
なんとなく、大切な人に語り聞かされたような………。

 と、ここで王牙の思考は途切れた。
 爆破屋による代理屋イジリがエスカレートした為ではない。
 二階、上の階から男の悲鳴が聞こえたのだ。

『―――う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!』

 王牙、爆破屋、代理屋は何事かと思い、走って大ラウンジの扉を開けてホールへ出た。

「わぁぁぁ! やめろ、やめろぉぉぉぉ!」

 二度目の悲鳴は三人の目の前で発せられた。
 ホールの中心から伸びる大階段。その踊り場に、王牙の付き人〈九条八雲〉が立っていた。
 そしてもう一人、悲痛な呻き声を出す男が八雲に肩を握られている。
 黒いスーツを着たその男は若い。顔は恐怖と激痛で歪んでいるが、お調子者という感じのする顔だ。王牙の偏見の目はそう分析した。
 八雲は冷たい眼で跪かせた男を見下し、片手は男の肩を掴んでいる。圧縮能力を調節してはいるが男の肩の骨からはメキメキと軋む音が響き、その度に悲鳴がホール内にこだました。
 爆破屋が八雲を睨みながら一歩前に出たのを見た王牙は、慌ててその更に一歩前へ出て少女を制止した。そして踊り場を見上げる。

「やく……〈護衛〉さん、何をしているんです?」

 八雲は王牙に顔を向け、

「あら始末屋さん。駄目でしょう私から離れては」

 ニコリと笑ってそう言うと、すぐに無表情に変わって視線を男に戻す。そして華奢な体つきからは想像もつかない怪力で掴んだ男を ぶんっ、と階上からホールへ放り投げた。

 大階段の踊り場とはいえ、ホール床との落差は結構ある。受身を取る気配も無く落下したスーツの男の下に代理屋が飛び込み、クッション代わりとなる。
 代理屋はこんな場面でも代理屋だった。

 八雲もひらりと優雅に飛び降りて王牙の目の前に着地し、滑らかに立ち上がった。しかし目線は未だスーツの男に向けられている。

「その男が私達の部屋で詮索していたの」

 赤スーツの女に顎で指された男は肩をおさえながらしょんぼりしている。

「わ、悪かったよ。俺は〈情報屋〉だからな。別にやましい理由であんな事をしていたんじゃない。ただ、俺の情報と違う始末屋が来たんで調べただけだ。《連続真実(and true)》の名の下に誓うよ」

 どうやらこの情報屋、既に本来来るべき者が御堂であったという事まで調べ上げていたらしい。

「《連続真実アンド・トゥルー》? 聞かない名前ね」

 八雲は本当に不機嫌そうに言うとそのまま王牙の手を引いて大ラウンジの中へ入ろうとし、ふとドアの前で立ち止まった。

「もし今後、私の護衛対象に危害が及ぶような事があったら……」

 白く、細い手をそっと大扉に添える。王牙はそれだけで既に何をするのか解った。

 次の瞬間、凄まじい破裂音と共に大扉がラウンジの内側へ吹き飛び、更にその残骸までもが粉々に砕け散っていた。

「……貴方達の四肢がこんな風に四散することになるわ」

 赤いヒールをコツコツ鳴らしながら八雲は王牙を連れて中へ入っていった。
 残された情報屋は腰を抜かし、爆破屋は呆気に取られ、代理屋は冷や汗を垂らしながら眼鏡を押さえた。

「……生身の身体であんな芸当を。……珍しい。情報屋さんなら当然今の現象からして彼女が何者なのか想像つきますよね」

 代理屋が視線を落として横で小刻みに震える情報屋を見下ろすと、彼はコクコクと頷いて口を開いた。

「へ、へへ。今俺が殺されなかったのは奇跡か。記録に残る程に稀な現象だ。〈奴等〉が殺しを躊躇うなんて………。全人類で最も色濃く呪われた血を持つ狂気の連中。世界危険勢力の一つ《純血一族》。どんなに好奇心旺盛な情報屋でも奴等には近づかないよ。しかし今のが能力の一部……。多種多様な能力者が居るとは聞いているが。あんなのが他にも大量に……。《ティンダロスの猟犬》の連中も《死使十三魔》の連中も化け物だが、あいつ等は魔物だな」

 赤い背中を見つめながら若き情報屋が毒づく。
 気付けば王牙が個室を出てから一時間が経過していた。












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