挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
ブックマークする場合はログインしてください。

リヴァイ部~私の薔薇色?青春浪漫譚~

作者:しらたぬき
私は秋山あきやま あい! 

受験戦争に勝ち抜いて晴れて憧れの名門女子校「桜扇学園おうせんがくせん」、通称”オーセン”に合格した!!

中学ではガリ勉で隠れオタクで陰キャの私だったけど、必死に勉強して絶対にオーセンに受かって、華々しく高校デビューするって心に決めていた。

入学が決まったらすぐにコンタクトを作ってメガネは捨てた。髪も真っ黒から校則にひっかからない程度のダークブラウンに染めた。

これでもうネクラで冴えない私とはオサラバ!!

私を祝福するかのような桜吹雪の中、約束された明るい未来へと繋がる通学路を歩んでいた……なんちって。いや、そりゃちょっと流石にオーバーか。

オーセンに着いて入学式に出席した私は感動もそこそこに内心ソワソワしていた。

いとこのお姉ちゃんがオーセンに通っているのだけれど、密かにウワサの部活があるという話を常々聞かされていた。

なんでも“異文化交流会”という部活らしい。

その部は海外交流を名目としつつも実際には他校の生徒、特に異性との交歓会の場と化しているという。

なにせ良家のお嬢さまが多い名門女子校だ。相手もただの男子高校生ではない。

交歓会を開くのは名門学校やブランドのある学校の男子ばかりだ。

良家の跡取りもいれば、資産家のおぼっちゃまも居る。

当然、将来有望な医学部志望者や弁護士志望者などエリート男子もワンサカ。

私は決めていた。オーセンに入ったらこの“異文化交流会”で鮮烈なリア充デビューを決め、添い遂げるステキな殿方を探そう―――と。
だから私は入学式の最中だというのにソワソワしていた。

膝の上に置かれた部活案内のパンフレットを開きたくてウズウズしている。どこに例の部室はあるのか、と。

薔薇色の交歓会を妄想している間に入学式は終わっていた。

感動に涙したり、楽しそうに合格を実感する女生徒たちをよそに、私は血眼になってパンフレットをめくった。

「――――――――あったッ!! “異文化交流会ッ!!”」

私は、はやる気持ちを抑えながら部室棟へ移動した。思わず早足になっていた。

「はぁ……はぁ……ここが……ここが憧れの……!!」

部室棟3Fの窓際、角部屋にその扉はあった。確かに「異文化交流会部室」と書いてある。

私は深呼吸をすると胸を張って扉を開いた。

こんにちは!! 私のリア充ハイスクールライフ!!

「こんにちは!! 初めまして!! 私、新入生のあ…………」

思わず、黙り込んでしまった。なんか、こう、想像しているのと違うのがひと目でわかったからだ。

そこには男子受けしそうな可愛くて可憐な女子たちが集まっている……はずだった。

まず目に入ったのは普通の部室なのに逆立ちをして器用にバランスをとっている少女が見える。

スカートの下にスパッツを履いてはいるものの、スカートは真っ逆さまに垂れ下がっているし、お腹に至っては丸出しだ。

チラリとブラが見えている。胸はヒジョーに大きく、重力に正直だった。

「お……? 新、入ぅ生っか……?」

(うわ、おっぱいでけ~~~)

次に目にとまったのはイスにそっくり返って座り、エレキギターを構えた少女。

こちらを見るとニヤリと笑いながら器用な手つきで指先をスクラッチさせた。

♪テレレー↑テレレー↑テレッ↑テレ↑テレレレー↑レー↓レー↓ ギューゥンムッ!!

「イイェーイ!! ロックだぜェ~~~~ッ!!」

(うるせェ~~~!! スピーカーに繋いでやがるし!!)

ドンッ!! ドンドンドンドンッ!!

隣の部室からの激しい壁ドンの音が響き渡った。

まだ居る。白衣でメガネをかけたいかにも知的そうな少女。

なんだかちょっと前の自分を見ているような気がして寒気がした。

「おや、計画通りですね……」

(うっわ~!! 肩にハツカネズミ乗ってんよ~!!)

その奥には優雅そうにお茶をしているゆるふわガールが居た。

まさに私の想像していた異文化交流会部員像とぴったりだ。

「あらあら、うふふ…………」

(そうそう、これだよ。こういうのでいいんだよこういうので!!)

一番奥の窓際にはまるで刑事ドラマのようにブラインドの間から外を見つめる少女、いや、幼女が居た。

周りの反応に気付いてか、彼女は振り向いた。そしてアニメ声のようなキンキン声で語りかけてきた。

「やぁやぁ。新入生さんかな? ようこそ、”Revive”へ」

(背ェ低ッ!! これホントに高校生かよ!? 小学生だろ!!)

私は状況を整理するのに時間がかかったが、少なくともここが異文化交流会ではないのがすぐにわかった。

そして、思わず聞き返した。

「え……? 今、なんて言いました?」

「だーかーらー。ここは”Revive”だよ。わっかんないかな~」

ナメてもらっては困る。私とて伊達に受験勉強してきたわけではない。

「……”Revive”  生き返る、よみがえる、回復する、復活する、復興する、再び流行する という意味ですね?」

「おー、さすがオーセンに受かるだけはあるね。発音もバッチリ。それに、Web辞書のコピペみたいな模範解答もブリリアントだね~!」

妙にカンの良い私は答え合わせの前に気づいてしまった。

この”Revive”とは英単語の”Revive”と部活名をかけて「リヴァイ部」なのではないかと。

「そう!! ここは”Revive”と部活名をかけて名付けたリヴァイ部なのでーす!!」

(うわ~、当たってもちっともうれしくねぇ~~~……)

いや、このまま話がすんなり進むわけがない。私は思わず抵抗した。

「ま、待って下さい!! ここって異文化交流会の部室じゃないんですか!?」

私がそういうと部室は少しだけ沈黙に包まれた。あれ私、間違った事、言って無くね!?

すぐに幼女が答えを返してきた。それは私のドリーム計画をブチ壊す一言だった。

「う~ん、異文化交流会はね、不純異性交遊のヤリすぎで今年度から廃部になってしまったんだよ。いや、ヤリ過ぎに深い意味はないよ?」

(いや、深い意味もクソもモロじゃねぇかよ……)

私は思わず膝から崩れ落ちた。憧れの異文化交流会が……薔薇色の異性交友が……」

だが、私は諦めなかった。すぐに膝に手をつき、満身創痍の体を起こすと部室の入り口へ向かった。

「わーっ、ちょっとまったまった。キミ、このあと吹奏楽部とか、コーラス部とかに行く気なんでしょ!?」

図星である。なぜだとばかりに振り向くと幼女が得意げな顔で言う。

「はは~ん。お姉さん知ってるんだぞ?  異文化交流会に次いで吹奏楽部やコーラス部には他校との交歓会が多いからね。どうせ出会い目当てでそっちに乗り換える気でしょ?」

鋭い。的確な指摘に私は思わず動けなくなってしまった。

「まぁ聞いてちょーよ。このリヴァイ部は課外活動が多くてね。出会いという意味では吹奏楽部やコーラス部に引けを取らないよ。いや、時にはこちらのほうが多いこともしばしば……かな。それに、異文化交流会を求めて来たキミを損はさせないから!」

どーゆーコト? 一体、このリヴァイ部とは何をやっている部活なのか。それに、損をさせないとは?

思わず話に聞き入っている自分が居ることに気づいた。

「このリヴァイ部とはね、諸々の事情で部活の継続が困難になってしまった生徒たちが部活の再起を目指して活動している部なんだよ。だから、リヴァイ部」

そうはいってもこのメンバーが異文化交流会を再結成しようとしているとは見てくれからは、にわかに信じがたかった。

「まぁ聞いておくれよ。そこの逆立ちしてる娘は”猪狩いかり なぎさ”。水泳部のエースだったんだけど、”異性の前で肌を晒すのは恥”っていうPTAの申し立てで近所の学校のプールが使えなくなっちゃったの。だから今は一人市民プールに通ってる。あと、おっぱいがめっちゃでかい。……めっちゃでかい」

(なんで二回言ったし……)

逆立ちをしている少女はそのまま反発をつけて見事にハンドスプリングを決めて美しい姿勢で着地した。

「むっ、胸は関係ないじゃないですか!! や、やめてくださいよほんとにもう!!」

(意外とリアクションがカワイイ…。でもなんで逆立ち………)

「そんで、そこのギターの娘は”宇野うの つばさ”バンド部を結成してたんだけど、保守的な親の反対で辞めていく生徒が多くてね。今は一人なんだ。エレキが得意だけど、ボーカルもイケる口だよ。でも正直どうやってオーセンに受かったかはわかんないひっどい成績でね~」

(なんつー辛辣な物言い。)

♪テッテーーーン↑テレロロ↓ロロロ↓ロロロロ↓ギュゥゥーン!!

「へっへ~~~ん!! 夜露死苦ゥ~~~!!」

……ドンッ!! ドンドンドンドンッ!! バァン!!

(うわぁ、むちゃくそ壁ドンされてんじゃんよ……)

「そこで分厚い本読んでる白衣の娘が”榎本えのもと 知里子ちりこ”生物部だったんだけど新入部員が入ってこなくてね。生物部なんて地味だし不人気なんだよ。不人気。一応この部のブレインだね。あとオトコの体には一番詳しい」

(肩の上のネズミがすっげー気になる)

「……ブツブツ……なんで地学部は部員が居るのよ。絶対地学部のほうが地味じゃない。私は地味じゃない。私は地味じゃない……。ね、そうよね後藤さん?」

(後藤さん? 明らかにネズミに話しかけてるし……。しかもオトコのくだりはスルーかよ……)

「そしてここで呑気にお茶してるのは”沖田櫻子おきた さくらこ” 園芸部だったんだけど部員の一部がヤバイ種類の花とか草を栽培してて部が解体されちったんだよね。趣味は育てた植物でお茶やらポプリを作ること。家がめちゃんこお金持ちなんだよね~。」

(えー!? テレビ新聞沙汰じゃねソレ!?)

「あらあら~、キレイなお花だったのに、何がいけなかったんでしょうねぇ~? ウフフフフ」

(まともかと思ったけどうわこれ一番やべーヤツだ)

「まぁOGが結構お偉いさんになってるからそこらへんのもみ消しはしやすいらしいよ。そういうわけで表沙汰にはなってない。あ、ちなみに櫻子は事件に関与してないからね」

(ホントかよ……)

「わったし、ハッパなんてやってませ~~~ん。ホントで~~~す。ウフ、ウフフ」

(………………)

「そして私は生徒会長の”五色いつしろ あかね”だよっ! 事情を聞いてリヴァイ部の立ち上げを申請したのは私でーす。でもねー、五人部員が揃わないと部活として申請出来ないんだよね~」

「あれ? あなたが部長じゃなかったんですか?」

「まっさか~。生徒会と部活、両方には入れないって校則にあるんだよ。でも、これで五人揃ったね!!」

私は嫌な予感がした。私もその五人に含まれている……!?

「はーい。そうでーす。不純異性交遊のヤリすぎで今年度から廃部になってしまった異文化交流会の生き残りは貴女!! そう、えーっとキミの名前は…………」

私は迷わず踵を返して部室に背を向けた。

(話にならない。こんなアヤシイ部活につきあってたら私の青春は真っ黒!!)

「…………あー、残念だな~。異文化交流会を愛好会として存続させればいくらでもチャンスはあるのにな~。今ならライバルが少ないし、一人でいい思いできるかもしれないのにな~。う~ん、でも帰っちゃうならしょうがないね。次に来る異文化交流会の生き残りを待とっか……」

「私、やります!! やらせてください!! リヴァイ部、大いに結構じゃないですか!!」

真偽の定かではない甘い誘いにのって私は反射的にそう名乗り出てしまった。

そんな煩悩まみれの私だったが部員たちは皆、笑顔で迎えてくれた。

なんだか無性に自分を恥ずかしく感じて、無意識に頭を掻いていた。

これがとんでもない決断であったことを今の私はまだ知る由もない。

To be continued…?
たま~に「女子高生の日常モノ書いてみたい」とかツイートする事がありますが、実は書いてみようと実行に移した事があって、これは半年ほど前の作品です。

拙作「楽土創世のグリモア」はよく言えばシリアス、悪く言えばかたっ苦しいと自分では思っています。

それを打ち破れないかと「日常」「現代」「女子高生」「ギャグコメディー」という自分の小説に無い要素をブチこんで書いてみたのが当作となります。

書き終わったあとに「あ、これアカンやつや」と封印したのですが、もう半年経ってるし、時効だと思って投稿しました。

反省はしている。

プロット供養的な意味合いで公開したので連載は考えておらず、読み切りとなります。

すっごく好評だったり(それは無い)気が向いたらしたらあるいは……

お楽しみいただけたら幸いです。

評価や感想は作者の原動力となります。
読了後の評価にご協力をお願いします。 ⇒評価システムについて

文法・文章評価


物語(ストーリー)評価
※評価するにはログインしてください。
感想を書く場合はログインしてください。
お薦めレビューを書く場合はログインしてください。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ