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江戸時代の遊郭の楼主に生まれ変わったので遊女の待遇改善に努めつつ吉原遊廓の未来も変えようと思う 作者:水源
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化粧用品である白粉の毒性について考えてみようか

ちなみにこの時代の太夫はまだ白粉してないという話もありますが、この話ではしていたということで一つ(汗)
 さて、石鹸もできたことだし、そろそろこの時代の化粧用品も考えて変えていくべきだな。
基本この時代における化粧用品は3つの色しか無い。
白粉おしろいの白、口にさすべにの赤、眉を書く場合に使う眉墨まゆずみや口のお歯黒の黒だ。

 この中で一番の問題になるのが白粉だな。
色の白いは七難隠すということわざがあるように、江戸時代の女性はみな白粉を塗って肌を白くみせることに並々ならぬこだわりを持っている。
現代でも歌舞伎役者や舞妓などは白粉を塗ったりするな。

 日本に白粉が入ってきたのは、7世紀ごろ。
中国から「はらや」と呼ばれる水銀のものと、「はふに」と呼ばれる鉛の白紛がもたらされた。
そしてこれは女帝である持統天皇に献上されたらしく、持統天皇もこれにはたいへん喜んだとか言う話で、その後、平安時代において貴族の女性は、丈なす黒髪とおしろいを塗った白い肌、眉は抜き額の上部にぼんやりと描き、お歯黒をするようになった。

 この頃のように灯りの乏しかった時代では、真っ白に白粉を塗るとちょうどいい感じに顔が浮かびあがって美しく見えたらしいぜ。

 時代が下って室町時代になると武家の制度や礼儀作法も事細かに規定されるが、化粧は公家や武士でも上流階級だけの習慣だった。

 それが江戸時代になると、町人や庶民にも髪結いや化粧の習慣が広がってゆくことになる。

 江戸時代の白粉の原料としてはさきほどあげた鉛、水銀の他に白土などの鉱物性の白粉と、米やキカラスウリ、オシロイバナなどの植物性の白粉などがある。

 この中では大量生産され安価で使用感が良かったことから、江戸時代に一番普及していたのが鉛白粉の”はふに”。

 しかし、鉛は有毒な金属で鉛中毒を起こす。
将軍家や大名家、公家などの母親や乳母が鉛を含んだ白粉をたっぷりと使い、顔から首筋、胸から背中にかけて広く厚くぬったため、抱かれた乳幼児が乳房をとおして鉛入りの白粉をなめたうえに、乳児にも白粉を顔や首にべったりぬられたため、鉛が体内に徐々に吸収され、鉛中毒の症状である貧血や歯ぐきの変色、便秘、筋肉の麻痺などがおこり、脳膜の刺激症状が出ることもあった。

 十二代将軍徳川家慶の子供は、十四男、十三女といわれているが、ほとんどが一桁で死亡し、十歳を超えたのが数人、二十歳超えは十三代将軍家定のみだったくらいだ。

 鉛が問題となって鉛白粉が製造が禁止されたのは1934年(昭和9年)。
それまではずっと作り続けられていたというのもなかなか信じられないが、それだけ鉛白粉は一般的かつ使い勝手が良かったんだろう。

「とは言え、明らかに体に悪いものを使わせ続けるのはまずいよな」

 となれば、オシロイバナの実をつぶし、その中の澱粉質を使ったものやキカラスウリの塊根をつぶし、何度か水でさらした後乾燥させたもの、米粉などの植物質の白粉に取り替えていくべきだろう。

「まあ、高いとか、カビるとか、鉛の白粉に比べると
 肌へのツキやノビはわるいようなんだがな……
 しかし、キカラスウリの粉はあせも防止の薬効がある
 成分で身体によいものだしな。
 よし、今から小間物店に掛け合うとするか」

 漢方薬の原料とされているものだが実際には薬効がなかったり、容量を守らないと毒になったりする物も多い。
例えばトラの臓物や真珠の粉などは漢方薬として珍重されていたが、実際には薬効はなかったし、トリカブトは強心作用のある漢方薬として扱われているが本来は猛毒だ。

 俺は吉原の中の化粧用品を販売している小間物店に向かう。

「よ、景気はどうだ?」

 小間物店の反応はいまいちだ。

「ああ、最近はいまいちだな。
 前に比べると場所がやっぱ悪いんじゃないかね」

 俺は苦笑して言葉を返す。

「まあ、それはいってもしょうがねぇ。
 ところでうちにおろす白粉だが
 今日以降は鉛や水銀のやつはやめてくれ。
 できればキカラスウリの粉がいい」

「そりゃまたなんで?」

「鉛はからだに悪いんだよ。
 逆にキカラスウリの粉は体にいいからな」

「値段は2倍と大分高くなりますが構いませんかね?」

「うーん、まあ仕方あるまい。
 2倍なら手間やらなんやらもあるしな、
 これからはうちはそっちだけにしてくれ」

「わかりました、ではこれからもよろしくお願いしますわ」

「こっちこそ」

 今までの「鉛白粉は」は1包で50文(約1000円)だったが
こんどからは100文(約2000円)か。
新造なんかにゃ痛い金額だろうしここらは俺がかぶるしか無いな。

 俺はいつものように見世に遊女たちを広間に集めて言う。

「今日以降、白粉の種類を変える。
 お前たちから化粧用品代として引く金額は変わらないから
 安心してくれ。
 後、今ある白粉はもう使わずに捨てろ」

「え、もったいなくありんせんか?」

俺はその言葉に首を横に振った。

「鉛の白粉は体に悪い、今日から使うやつは体に良いものだ。
 後白粉は薄めでいいぞ、こすぎても色々良くないからな」

「はあ、わかりんした、そういたしやす」

 まあ、後はキレート効果のある野菜や果物をなるべく食わせれば鉛も排出されるだろう。
それは別に特別なものではなく味噌や納豆などの大豆や玄米にくわえ、茄子、大根、海藻類なんかで大丈夫なはずだしな。
クエン酸もキレート作用が有ったはずだから、たまには水菓子フルーツも食事につけさせるかね。
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