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異世界樹~ちょっぴりチートと転生と~ 作者:辻桐 あすら

一章 目覚めたとき、俺は双子葉植物であった。

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一話 俺は…双子葉植物?

何もない闇の中に、はっきりと自分の意識を感じる。
辺り一面を染める限りない黒に違和感を覚えると、
急に視界が光り輝き、世界が色を取り戻してゆく。

ん、俺はなんで気を失っていたんだ?てか、俺は誰だ?
記憶を探ろうとするが思い出せない。名前も出てこない。

なぜ気を失っていた?酔いつぶれでもしたのだろうか?
男であったことは確かだが、年齢は?出身は?
疑問に思うことがあとからあとからどんどん出てくる。
「なぜ?」が頭の中に増えていく。

そんな事を考えていると、徐々に視界の眩しさがひいていき、
はっきりと周りの景色が飛び込んでくる。

そこは近くに、といっても1kmほど先に森林が見える、
ただただ広~い平原であった。とても静かで景色も良い。
美しい浅緑の絨毯じゅうたんが太陽の光を受けて青々と輝き、
背景には山々が連なってその峰を雪で白く染め上げ、
巨大な山脈をなしていた。

(アルプス山脈?それともロッキーか?)

場所を特定しようと、
周りの景色から得られる情報と自分の中にある知識を照らし合わせる。
そんな景色を見たことによって最初に彼が思ったことは、
なぜこんなところに?であった。思い当たることがなく、
ただひたすら思い出そうと景色を眺める。
なぜか周りの音が一切聞こえない。

『あー、テステス、マイクのテスト中。繰り返す。マイクの…』

(!?)

突如、女性ととれる高い声が響き彼は驚いた。
今の声は!?誰か近くにいるのか?
もしそうなのであれば、自分がどうすればいいのかは明確だ。
接触し、情報がほしいところ。

まずはその女性と思われる声の主がどこにいるかを確認すべきだ。
体を起こそうと躍起になるが、体が全く動かない。声も出ない。

(なんだこれは!?不随にでもなったのか!?)

混乱して、すこしばかりパニックになっていると、

『そこ!焦らない焦らない、おちついて』

(この声の主は誰だ?)

『はーい!神様だよ~』

(!?)

再び聞こえた女性の声。なにより、
またもや驚愕する。この声の主は…

(俺の考えていることがわかる…のか?)

まさかとはおもったが、もしかしたら、どっかの国の技術の賜物で、
とんでもないオーバーテクノロジーが開発され、
それを用いることによって自分の考えていることがわかるのかも。

『おーい、なんか勘違いしているようだから言っとくけど、
これはどっかの国の技術の賜物。
とかじゃなくてほんとにただ単純にきみの心を読んでいるんだよー。
あと、その辺を探してもアタシは見つかんないよー?
今、神界にいるから』

どういうことだろうか。言葉は分かるが、理解できない。
単純に心を読んでいる?その辺を探しても見つからない?神界?
ほんとに心を、考えていることを読まれているのか?

(どうして、自分の考えていることがわかるんですか…?)

『そんなのかんたんだよー。私は神様だからね。きみの精神に干渉するなんて、
とっても容易いことなんだ。いまだって、心に直接語り掛けているからねー』

神様だって?そういえばさっきもそんなことを言っていたような気がする。
精神に干渉?心に直接語り掛けている?思考に浮かぶクエスチョンマークは増えるばかりだが、たった今も、考えていることが読まれたのだ。嘘ではないかもと思った。

(あ、あの、神様?自分、動くことも喋ることもできないんですけど)

『あー、それね。実は君には、特殊な転生をさせたんだ。まぁ、あんまり
長々と話すこともできないから、とりあえず自分の姿を見てみるといい。
直径1mの範囲でキミの目線を自由に移動させることができる、
っていう能力を与えておいたからさ』

転生?自分の姿を見ろ?ますます意味が分からない。俺は人間のはずだ。
俺の視線がゆっくりと自分の姿を写すように向き直る。
回転しながら移り変わる景色。自分のいる場所に向けられる自分の視線。

そこにあったのは…何かの植物の、芽だった。

(…?)

薄っすらと光り輝く葉のうえに輝く一滴の水の雫。
美しく七色に神秘的に光り、
この世のものではないと感じさせる圧倒的な煌めき。

『きみには、自分に関する記憶のみを消して、
それ以外の記憶全てをもって転生してもらった。
それは今回の転生がかなり特殊なためだ。
きみは、自分のことを人間だと思っているようだが、違う』

神様は再び直接語り掛けてくる。
いまの台詞に続けて語られる神様の言葉に息をのんだ…

『きみには世界樹になってもらったんだ』

彼は酷く困惑した。あらゆる思考が存在しない頭の中を駆け巡る。

世界樹…?あのゲームや漫画、小説によくある…あの世界樹?
なんてこった、意思を持った植物?頭がないのに頭が痛くなる。
理解できない事態に頭を抱えたくなる。
もしも自分の肉体が人間のものだったら知恵熱で倒れているところだ。
だが、ここでいったん冷静になることにした。

(あの、自分はなんと名乗れば?
それに、さっきは神様と呼びましたが、
なんとお呼びすればいいでしょうか)

『んむ。君の名はユグドラシル。アタシは…んじゃシンプルに、
そのまま神様ってことでよろしく。
じゃあ早速だけど、信仰値を集めて頑張ってね!それじゃあグッバ…』

(ちょっと待ていぃ!)

『ひえっ!なっなんでしょう』

(せめて最低限の説明だけは施しておくれよ神様)

『うーん。時間がないから手短に、本当に最低限ね?』

(了~解)

いまだ混乱は冷めやらぬが、
ここでいったん説明を受けておけばあとで困らんだろ。
いや困るか。

(あっ!そだ神様)

『ん?なに?』

(神様は女性ですか?)

『うん。まぁね。結構美人なんだよ?』

(性格のほうはいろいろ投げやりなところがあるみたいですけどね。
俺になんにも説明せずにグッバイしようとしてましたし…)

『なんだと~~!!悪口いうならいまからでもグッバ…』

(いや、申し訳ない)





こうして、俺は七色に輝く双子葉植物に転生してしまったのだ。
短めで、たくさん投稿します。
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