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僕は残念な魔法使い


 魔法なんてなければよかったのだ。
 赤い果実を美味そうに頬張る魔女を両目でしっかりと見ながら、僕は落胆した。
 ここから脱出することはできない。
 魔女を見ているとそれが事実であるということを受け止める以外に僕にできることはないのだ。
 ここは魔法の部屋で、魔女がここをつくりだした。
 僕は魔女に捕まったから、ここにいるのだけれど、魔女に捕まる理由なんて特になかったように思う。
 しかし、捕まった理由は一つだけある。
 僕が魔法を使えるということである。
 そのことは秘密にしていたし、誰にも知られていなかった。
 だけど、昨日の出来事によって、僕の通っている学校の全生徒に知られてしまったのだ。
 昨日は教室の窓際にある自分の席に座って本を読んでいたのに、不良生徒が突然僕に喋りかけてきて、僕は面倒くさかったので無視をしようと決めていたのだけれど、それに不良は怒り、僕に殴りかかってきたのだ。
 反省するべき点は、僕が不良を無視した点にある気もするが、今更反省したって遅い。
 僕は不良に対して、魔法で攻撃してしまったのだ。
 炎属性の高火力魔法、<ファイヤー・ソウル>は不良の体を焼き払い、不良は燃え死んだ。
 僕は取り返しのつかない事をやってしまったと思い、学校を逃げる決断に至ったのだが、これが間違いだったかどうかなんていうのは誰にもわかるはずがないことである。
 そして、どうせ魔法使いだとばれてしまっているのだから、僕は魔法を使って空を飛び、学校から逃げ出した。
 そこで、僕は魔女と遭遇して、魔女と戦うことになった。
 何故戦わなければいけないのかはわからないが、魔法を使える人間、つまり魔法使い同士が遭遇した場合、戦わないといけないというルールがこの世界にあるのだ。
 つまり、僕が空を飛んでいることにより、同じく空を飛んでいた魔女に見つかり、魔法使いではないとは言えない状況になってしまったために、戦うことになったのである。
 その戦いに僕は敗れ、どうすることもできないままにこの魔法の部屋に閉じ込められているのだ。
 魔女のほうが僕より魔力は強いし、ここから出られるとすれば魔女の気が変わるか、魔女が死ぬか、誰かが助けにくるかのどれかだ。
 しかし、僕は永久的にここから出られない気がした。
 魔法なんてなければよかったのだ。

 ――果実を食べていた魔女は急に、川に溺れている子供のように苦しそうに手足をじたばたと激しく動かし始めた。
 魔女は食べていた果実を吐き出し、魔法の部屋の地面に倒れた。
 魔女の魔力が弱くなり、魔法の部屋の壁の厚みが次第に薄れていくのがわかった。
 この状態なら、僕は、僕の魔法を使える気がした。
 僕は全神経を両腕に集中させて、苦しんでいる魔女に向かって、炎属性の魔法<ファイヤー・ソウル>を放った。
 すると、大きな爆発音と共に魔法の部屋は崩壊し、魔女の姿も灰となって消えていた。
 何故、魔女はあの状況で倒れたのだろうか。
 病気であるかもしれないし、寿命であったのかもしれない。
 どれだけ強い魔法を持っていてもそういった生物の常識には敵わないのであろう。
 まあ、僕は魔法の部屋から脱出することができたのだし、それで一件落着ということだ。

 ――でも、これからのことはどうすればいいのだ? 学校の全員に僕が魔法使いだとばれてしまったし、僕は人を一人殺してしまったのである。
 しかも、僕の学校には十二人もの魔法使いが既に在校しているとかいう話を聞いたことがある。
 つまり、僕は学校の中の十三人目の魔法使いとなり、この世界のルールによると、他の魔法使い達と戦わなければいけないのだ。
 魔力のことを考えると僕はそれほど高レベルなわけじゃないし、一人でも学校に強い奴がいるならば、僕の人生はそこで終了だ。
 やれやれ、魔法なんてこの世から消えちまえばいいのに。
 

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