挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
水鏡に咲く白き花 作者:水城ゆま

第三章『 泥中之蓮 』

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

73/85

「 蓮華の花守 - 青睡蓮の花束 」(十一)

 

―――――― 巳の上刻 ( 九時 )

朝の女王の湯浴みを終え、睡蓮(スイレン)達 女官は花蓮(カレン)女王を両脚と両肩を露出させた黒い装束に着替えさせた。
露出部分が多いせいか、()(まで)よりも着せやすく ――― 余り、女官達の手が必要になる(ころも)では無い。
リエン国的には " 結婚してくれ " と言わんばかりの装束である。 

「 これって良いの…? 肌晒し過ぎじゃ ――― !? 」緋鮒(ひぶな)の口を片手で塞ぐと紅魚(ホンユイ)(にこ)やかに「 それでは、陛下 参りましょうか? 」と花蓮(カレン)女王を謁見の間に向かわせる。
昨日の紅魚と女王の会話は幻だったかの様に、花蓮は()(まで)と同じ様に無言で頷くと素直に紅魚に連れられて行った ――― 。


「 女王さまは 珠鱗(しゅりん)さまと紅魚(ホンユイ)さまに任せて、アタシ達は掃除と次の装束の準備だねっ! 」

「 はい…! 」

「 湯殿どうする? ――― やっぱ、いちいちお湯 変えた方がいいのかなぁ? 」

睡蓮(スイレン)は、このまま(しばら)蝶美(チョウビ)緋鮒(ひぶな)と過ごす事になる ――― 。



花蓮女王と紅魚、珠鱗が謁見の間に向かったのを見届けると、蒼狼(せいろう)は通路を眺めながら「 花蓮(カレン)様は暫く戻らないし… ――― 晦冥(カイメイ)様って、今日は花蓮様か王子殿下に付きっきりっぽいですよね……? 」と、白夜(ハクヤ)に楽し気な声色で呟くと「 ちょっと、この棟 回ってみよっと♪ 」と、頃合いを見計らう。

「 確かに、 ――― 今日は偵察するのに持って来いの日だ。 」

白夜(ハクヤ)さんは見張りやってて下さいよ? 誰か来たら厠に行ったか、叔父が危篤とでも言っといて下さい。 」

「 はいはい、心配しなくとも俺は 睡蓮(スイレン)との約束があるから行かないよ。 」

結局、晦冥(カイメイ)と女王は睡蓮(スイレン)以外の新しい女官を入れなかった ――― と、真剣な瞳で考えながら白夜(ハクヤ)蒼狼(せいろう)に返事をした。




―――――― 謁見の間にて、

お互いの姿を目にした花蓮(カレン)女王とライル王子は " 悪くは無い・・・ " とお互いの第一印象 ――― 『 外見 』を評価した。
――― と、言ってもライルのほうは顔よりも 完全に肌の露出具合を見て判断している。


ライル王子とは別の船でリエン国に訪れた彼の父親 ――― ロータス国の王・アスワドはご機嫌な様子で誰も聞いていないロータス語交じりの贈答品の説明を続けている。
アスワド王は挨拶と会食を終えたら()ぐにリエン国を発つ予定だが、国王である彼が他国に長居が出来ているのはロータス国は王と次期王による共同統治制だからである。

アスワド王の贈答品の解説が一段落すると、「 続きは宮中を回りながらお話されては如何(いかが)でしょうか? ――― 殿下のお部屋も御案内致しますので…――― 」と、晦冥(カイメイ)が次の予定を進め始めたが、アスワド王は、彼にしては珍しく欲も企みも何も無く「 その前に (ハチス) 王 に我が国の花と酒を手向けたい ――― 女王陛下、何故 葬儀式に我々や他国を呼んで下さらなかった? 否、勿論 全ての国が駆け付ける事など出来ぬのは解ってはいるが…… 」と、 (ハチス) 先王の墓前への案内を所望した。

「 ああ……なるほど、そうですね ――― 少々お待ち頂けますか? 直ぐに御案内させて頂きますので 」と、アスワド王の注文は想定外だったのか晦冥(カイメイ)何処(どこ)かに姿を消す ――― 。

「 宜しければ、女王陛下にも花束を…――― ライル!お前から渡せ!! 」

ライルは、内心 " めんどくせぇ " と思いながらも、普段、民の前に佇む時の様な紳士的な振る舞いで贈答品の中に混ぜて置いてあった青色の花束を女王に差し出した。

「 ブルー・ロータス ――― リエン国の言葉で言うと " 青睡蓮(あおすいれん) " の花って所ですね? 」

「 " 睡蓮(スイレン) " ……? 」 ――― そう呟いた女王の表情が眉を大きく(ひそ)めた険しい表情だったのをライルは見逃さず、同時に自分の目を疑った。

( !? ――― 何だ? 今の顔は…… )




一方、アスワド王とライル王子の 臣下であるナジュムは、女王に粗相(そそう)の無い様に着いて早々に宮中の医院に送り込まれていた。


「 まさか、医院の出番があるとは思ってなかったわ……! 」

「 酔い止めのお薬って、酔った後に飲んでも良かったかしら? 」

医院の片隅で姫鷹(ヒメダカ)葵目(アオメ)が見守る中、ナジュムは担当の医官に介抱されながら海の波が押し寄せる様に吐き気の波に襲われていた。

彼以外のロータスの臣下達も何名か医院に流れ込んで来て倒れ込んだり、嘔吐を繰り返しており ――― 葵目を始め、医官達は臭いと掃除をどうするかで頭を悩ませ始めていたが「 必要なのは薬よりも水と氷よ! ――― 王子様と縁が出来るかもしれないから恩を売っときましょう! 」と、姫鷹医院長のみは 足取り軽やかにノリノリの様子で自ら氷を取りに向かうのだった。

+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ