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水鏡に咲く白き花 作者:水城ゆま

第三章『 泥中之蓮 』

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「 蓮華の花守 - 好きな色 」(一)

 

―――――― 翌朝、辰の上刻( 七時 )



「 気を付けて行くのじゃぞ…! 」

睡蓮(スイレン)、また会いに来るからね! ――― 頑張るんだよ!? 」

秋陽(しゅうよう)日葵(ひまり)に玄関先で見送られ、睡蓮(スイレン)白夜(ハクヤ)春光(しゅんこう)紅炎(コウエン)は宮中に向かった。

紅炎(コウエン)は七日間の中で馬が必要になるかもしれないので同行させられている。
()れは 白夜(ハクヤ)の考えと言うより、宮廷からの令と言ったほうが正しい。
つまり、紅炎(コウエン)には選択権は無い ――― 。



「 僕の事は気にしなくて良いから、二人共 紅炎(コウエン)に乗って行けば? 」と、春光(しゅんこう)が口にしたが睡蓮(スイレン)白夜(ハクヤ)も却下した。

睡蓮(スイレン)は乗ってけば? 俺が引くから。」
――― " でも、また矢が飛んで来たら危ないな " と、白夜(ハクヤ)が考え直した言葉を口にする前に、一人で乗る自信も無ければ、白夜(ハクヤ)に そんな事はさせられないと遠慮した睡蓮(スイレン)のほうが蒼褪(あおざ)めた表情で両手を前にして首を左右に振りながら全力で拒否した。
「 む…む…無理です!! 」


(ところ)で、鍵を増やしたり作り直すって 具体的にはどの辺りの鍵なんですか? 」

()白夜(ハクヤ)の問いに、春光(しゅんこう)は「 ……何処(どこ)の鍵なのか場所が分かっている所と、何処(どこ)に使うのか分からない鍵がある。 」と答える。

彼と仲間の鍵師達は、鍵を作る為に宮中へ下見に来てはいるが、全ての(むね)に入れる訳では無い。
中には、ただ指定された通りに作れば良い鍵もある ――― 。

「 まあ、何か気付いた事があれば 次に会う時に話せる範囲で話すよ ―――……鍵の構造以外の事はね。 」と、何時(いつ)も通りに穏やかな笑顔を白夜(ハクヤ)睡蓮(スイレン)に見せると、春光(しゅんこう)も白夜に質問を投げかけた。

(ところ)で、花蓮(カレン)様のお見合相手って誰なの? 」

「 ――― ロータス国の第三王子だったかな? 」と、余り興味無いので白夜(ハクヤ)はうろ覚えのままに ――― 睡蓮(スイレン)は女王の女官らしく、バッチリ記憶して答えた。

「 そうですよ! ――― お名前は『 ライル 』様です。 」

「 あー…なるほど! ロータスね 」春光(しゅんこう)は納得した様に頷くと、少し雑談を続けて白夜(ハクヤ)睡蓮(スイレン)とは別れ、鍵師仲間達との合流地点に向かった ――― 。



春光(しゅんこう)さんや日葵(ひまり)さんと、もっとお話ししたかったです……。 」と、春光の後ろ姿を見つめながら ――― 珍しく 睡蓮(スイレン)が自分の気持ちを呟き、何時(いつ)もの様にどこか寂しそうにしている姿を見て、白夜(ハクヤ)は気を引締めながら「 また会えるよ 」と彼女には微笑んだ表情で声を掛けた。

( 七日間 ――― 睡蓮(スイレン)を必ず守らなければ……! )



七日間の内、最初の三日間は準備期間となる。
四日目にライル王子が到着する予定となっており、彼がリエン国を発つまでの残りの期間は客人として花蓮(カレン)女王同等に彼を持て成しつつ、何時(いつ)も通り 花蓮女王にも仕え、護衛しなければならない。
白夜(ハクヤ)蒼狼(せいろう)は護衛と警備を ――― 睡蓮(スイレン)は、他の女官達と共に花蓮女王の(かたわ)らに ――― 各々の一日目が始まる。



睡蓮(スイレン)の一日目は、()(まで)と同じ様に女王の湯浴みと着替えの手伝いから始まった。
()(まで)と同じ様に、蝶美(チョウビ)花蓮(カレン)女王の美しい黒髪を櫛や髪飾りでご機嫌な様子で整えている。
「 女王さま、今日はこれからアタシ達と 装束(しょうぞく)の確認をしましょうね♪ 」
――― 蝶美(チョウビ)の言葉に、()(まで)と同じ様に花蓮(カレン)が無言で頷く。


()(まで)と同じ様に、女官達が女王の装束部屋に入ると、黒だらけの(ころも)の中に(さら)に新しい黒い衣が増えており、「 朝一番で仕立師の人たちから届いたんだよ♪ 」と、蝶美(チョウビ)は心弾ませながら装束を手にしたが、他の四名には何がどれなのか一見(いっけん)しただけでは サッパリ区別がつかなかった。



「 女王様は黒がお好きなのですね? 」 ――― と、女王の着替えを手伝いながら睡蓮(スイレン)が笑顔で女王に声を掛けると「 くろ? 」と、女王は意味が解らない様子で眉を(ひそ)めた。

「 色の話ですよ、陛下 ――― 因みに、(わたくし)は 自分の名にもある" 紅 "が好きです。 」と紅魚(ホンユイ)が女王に微笑みながら話を繋げる。

「 好きな色……? 」と、花蓮(カレン)女王は何かを考え込んだ様な表情で顔を(うつむ)かせて行く ――― 。

蝶美(チョウビ)は桃色が大好き! 」「 アタシは橙…――― 黄色かな? 」と蝶美(チョウビ)緋鮒(ひぶな)も楽し気に自分の好きな色を主張するので「 (わたくし)も名前に入ってる白かしら? ――― 睡蓮(スイレン)さんは? 」と、珠鱗(しゅりん)も笑顔で好きな色を挙げると睡蓮に質問を返した。

「 え……? 私 ――― ? 」




睡蓮(スイレン)は、花蓮女王と同じ様に少し考え込むと「 白……? 」 ――― と、首を傾げながら答えた。

( ??? ――― 青……も好きかな? ――― 桃も……? )と、自分の好きな色を頭の中で追究し始めた睡蓮(スイレン)と同じ様に、花蓮(カレン)も俯いたまま何かをずっと考え込んでいた。


 
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