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水鏡に咲く白き花 作者:水城ゆま

第二章『 蓮の糸 』

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「 睡蓮花 」(三)



睡蓮(スイレン)さん、どうか お気を悪くしないで下さい? ――― 花蓮(カレン)様は御一人で見知らぬ(かた)と接した事が無いので驚かれてしまわれたのです。ただ、それだけの事………――― 。 」

晦冥(カイメイ)は微笑んだ表情で睡蓮(スイレン)にそう伝えたのだが、彼に名前を呼ばれた彼女は全身が凍り付くかの様な恐ろしさを感じていた。
その姿は まるで、睡蓮(スイレン)の姿を目にした先程の花蓮(カレン)の様であった。
そして ――― 、微笑んだ晦冥(カイメイ)の瞳が全く笑っていなかったのを白夜(ハクヤ)は目にしていた。
先程、自分と話していた時に見せた笑顔とは違う笑顔の晦冥(カイメイ)に対して、白夜(ハクヤ)の中で不信感が芽生え始める ――― 。

「 ……いえ、こちらこそ失礼致しました。お許し下さい花蓮(カレン)様。 」

穏やかな睡蓮(スイレン)が女王に何かするとは思えず ――― 少し不本意ではあったが、脅えて何も言えない睡蓮(スイレン)の代わりに白夜(ハクヤ)晦冥(カイメイ)(こた)え、花蓮(カレン)女王に膝まづいて頭を下げながら謝罪した。
――― ()の瞬間、花蓮(カレン)白夜(ハクヤ)の姿を上から下まで舐める様な視線でじっと見つめて観察したが、彼女が彼に何か声を掛ける事は無かった。


「 さあ、帰りますよ 陛下。御一人で歩き回られるから このような事態になるのですよ? ――― 白夜(ハクヤ)、それではまた……。 」
晦冥(カイメイ)は、花蓮(カレン)を連れて足早に池を後にしたのだが、判別し辛い 彼の慌てた様子に白夜(ハクヤ)睡蓮(スイレン)が気付く事は無かった。

「 大丈夫!? ()…――― 」

何かに ――― 晦冥(カイメイ)に 心を囚われているかの様な睡蓮(スイレン)の姿を見て、白夜(ハクヤ)咄嗟(とっさ)に自身の片手で睡蓮(スイレン)の顎下に触れると、彼女の顔を自分のほうに向けた。

睡蓮(スイレン)! しっかりしろ!! 」

「 ………!! 」

睡蓮(スイレン)の瞳には白夜(ハクヤ)の顔が映し出され、白夜(ハクヤ)の瞳には睡蓮(スイレン)の顔が映し出される ――― 。
二人の足下には 大きな大きな池があり、たくさんの白い蓮の花の蕾が溢れていた。


我に返った睡蓮(スイレン)が無言で(うなづ)くと、白夜(ハクヤ)も我に返り、彼女からそっと ()の手を離した。

「 勝手に何処(どこ)かに行くのは勘弁してくれよ……!? 」

「 ごめんなさい………。 」

ふと、 勝手に歩いて行った花蓮(カレン)女王の居場所を晦冥(カイメイ)がどうやって知ったのか白夜(ハクヤ)は疑問に思う ――― 。
自分と話しながら、迷う事無く 真っ直ぐ歩き進んで行った晦冥(カイメイ)の姿を白夜(ハクヤ)は思い返していた。

「 ――― さあ、俺達も帰ろう? 」

「 ………。 」

「 大丈夫!守ると約束したろ? 」

桔梗(ききょう)の事を想い ――― 白夜(ハクヤ)は一瞬 迷いはしたものの、心ここに在らずな睡蓮(スイレン)を前に進ませる為に彼女の手首を自身の手で掴むと、そのまま 彼女の手を引いて歩き始めた ――― 。


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