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水鏡に咲く白き花 作者:水城ゆま

第二章『 蓮の糸 』

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「 姫鷹と葵目 」

 
――― ()の日、年齢の割に発育の良い身体(からだ)をした花蓮(カレン)女王の健診をしながら、姫鷹(ヒメダカ)は顔には出さないが " 自分が見たかったのはこれじゃない!! " と心の中で嘆いていた。


「 うん、花蓮(カレン)様 健康そのものね! ――― もう(ころも)を羽織られて結構ですよぉー 」

「 ……。 」

「 ……。 」

健診中、花蓮(カレン)女王が一言も発しない事を姫鷹(ヒメダカ)は 内心 好ましく思ってはいなかった。
決して、顔には出さないが・・・―――
( この()、口 持ってないの? これで女王業 大丈夫なのかしら……ああっ!もう!! 代われるもんなら あたしがっ!! )





「 それに比べて、睡蓮(スイレン)ちゃんは和むわ~♪ ……女の子なのが難点だけど。 」
――― 花蓮(カレン)女王の健診を終え、姫鷹(ヒメダカ)は医院で 今度は睡蓮(スイレン)の健診を行っている。

医院長である姫鷹(ヒメダカ)が 自ら診るのは、最近では花蓮(カレン)睡蓮(スイレン)の二人の少女のみで、年齢が近い割に性質が違う二人の少女を彼女は無意識に比べてしまう事が多くなっていた。
――― 因みに、付き添いの秋陽(しゅうよう)は 待合室で医官達と雑談している。


「 " 比べて " とは……? 」

「 ううん、こっちの話よぉ~? 会話するって大事よねってお話よ! 」

( 会話……大事……。 )――― 姫鷹(ヒメダカ)の言葉に、睡蓮(スイレン)は心の中に白夜(ハクヤ)の事を想い描いた。
白夜(ハクヤ)が 夜しか家に居ない為でもあるが、(いま)だに真面(まとも)に顔を見て会話をしていない。


「 うまく会話が出来なくなった時はどうすれば良いのでしょうか……? 」

「 何?何何何!?やだ!! 何か恋の匂いがするんですけどっ!? ――― 葵目(アオメ)!!葵目(アオメ)! あんたも来なさい!!」

「 えっ!? 何故 葵目(アオメ)さん? 待ってください!(ころも)を……!! 」

睡蓮(スイレン)は自身の(ころも)を整え、少々掻い摘みながら姫鷹(ヒメダカ)葵目(アオメ)白夜(ハクヤ)との事を語り始めた。
・・・・何故、葵目(アオメ)が加わっているのかは不明なままだが。



「   結・婚……?!!!  」

結婚絡みの話だと認識した途端、姫鷹(ヒメダカ)は 軽い目まいに襲われ ――― 自身の机の上に突っ伏した体勢で倒れ込んで使い物にならなくなったので、仕方無く、余り口を開く事が無い葵目(アオメ)睡蓮(スイレン)と話を続ける事になった。

葵目(アオメ)さんは このために呼ばれたのかしら……??? )


「 でも、その(かた)貴女(あなた)をどうするつもりでいらっしゃるんでしょう……? ――― 貴女をお嫁さんにしたいと(おっしゃ)ったのですか? 」

「 ………いえ、そういう事は…聞いておりません。 」

「 私は、彼のほうが 貴女にきちんとお話されるべきだと思いますけどね……? ――― 貴女より 年上なのでしょう? 」

「 いえ、ですから あちらはお話されたのですが私が……! 」

「 では、貴女がどうされたいのか 正直にお話すれば良いのでは……?お話がしづらいのでしたら、お手紙という手もありますよ? 」
――― 葵目(アオメ)は、そう言いながら 穏やかな笑顔を浮かべた。


「 お手紙……? 」

睡蓮(スイレン)…さんは、文字の記憶はあるのでしょうか? ――― 少し 待っててください!私の持っている書簡紙を差し上げましょう。 」
そう言い残し、葵目(アオメ)は いそいそと自身の机がある部屋へと紙を取りに向かった。



「 はあ……ごめんなさい、睡蓮(スイレン)ちゃん。花蓮(カレン)様に続き、あなたまで結婚をチラつかせたから ちょっと(こた)えちゃったわ 」
姫鷹(ヒメダカ)は復活すると、机に置いてあった水を一口飲んだ。

花蓮(カレン)様……? 」

「 そうよぉ? 花蓮(カレン)様、今度 お見合いなさるのですって! ――― 若い妻も リエン国も手に入るし、どこの国の男もほっとかないでしょうねぇ。お相手が決まるまでは、これから 宮中は そういう客が増えるわよ? 」

姫鷹(ヒメダカ)の話を聞き、睡蓮(スイレン)花蓮(カレン)女王に僅かに親近感を覚えた。
自分の意思とは関係無く、結婚話が浮上して来るのは大変だと身に染みている。

(ハチス) 様 みたいな人は そうそう居ないと思うから期待はしないけど、国にも影響して来るだろうから、どうにか マトモな(ひと)を選んで欲しいわよね? 」
――― そして、あわよくば 自分が専属医に・・・・と姫鷹(ヒメダカ)は密かに企んでいた。




「 はい……! お好きなのをお選びください。――― 沢山あるので 全部 差し上げても構いませんよ? 」

「 わあ……綺麗ですね! こちらは 花の模様が とても可愛い…!! 」

嬉しそうな表情で葵目(アオメ)が 机いっぱいに広げた 様々な色彩と模様の紙を見て、睡蓮(スイレン)も瞳を輝かせた。 ――― 彼女は " 書簡紙 " という言葉にも聞き覚えがある事に気が付いていた。

「 私は人と話すのが苦手な所があるので、よく お手紙にして相手にお渡しするのです。ですから、いろんな紙を集めるのが趣味になっちゃって……! ――― あ…ごめんなさい! なっておりまして(・・・・・・・・)。」

葵目(アオメ)()の言葉に、睡蓮(スイレン)姫鷹(ヒメダカ)葵目(アオメ)を呼んだ理由が解った様な気がして微笑んだ。
本当は、姫鷹(ヒメダカ)葵目(アオメ)を呼んだ理由は他にあるのだが・・・・


睡蓮(スイレン)ちゃんって、文字は書けるの? やだわ、盲点! ――― もしかしたら、あなたの出身国が わかるんじゃない!?」

「 リエン国の文字が分からない時は、宜しければ 私が代筆しましょうか? 」

姫鷹(ヒメダカ)葵目(アオメ)睡蓮(スイレン)に筆と紙を渡し、興味津々で彼女が書く文字を見守った。
すると、睡蓮(スイレン)が 取り敢えず書いた " 睡蓮 " という文字は・・・・・


「 書けたわね……!? リエン国の文字が! 」

「 しかも、睡蓮(スイレン)さん 字がお上手……!! 」

リエン国の文字が書けた事に睡蓮(スイレン)自身も驚き、筆を手にしたまま 自分の書いた文字を呆然と見つめ ――― 彼女の心の中は、()ぐに白夜(ハクヤ)へ何を伝えるかで一杯になっていった。

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