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水鏡に咲く白き花 作者:水城ゆま

第二章『 蓮の糸 』

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「 不可解な鏡 」(一)

 
( 出来た……! )
 
――― 洗濯物を干し終わり、睡蓮(スイレン)は太陽の光で乾いて行く白い布地の洗濯物を(しばら)く見上げていた。
目覚めてから初めて何かをやり遂げた為か、達成感を感じたのだ。


「 おお、二人とも ありがとう!ご苦労さんじゃ! ――― 東雲(シノノメ)のお土産があるから飲むと良い 」

東雲(シノノメ)さん!! 」

睡蓮(スイレン)、また会えたね! ――― 桔梗(ききょう)にも会えて嬉しいよ。」
睡蓮(スイレン)桔梗(ききょう)(いえ)の中に戻ると、大量の飲み物をお土産に東雲(シノノメ)がニコニコと微笑んで座っていた。

「 先生に用があって、ちょっと寄ったんだ。白夜(ハクヤ)も元気?」
「 は…はい!たぶん ――― きっと!! 」

――― 最早もはや白夜(ハクヤ)の名前だけで睡蓮(スイレン)は動揺する様になっていたらしい。
動揺し過ぎて、頬を真紅に染めた彼女は無意識に 東雲(シノノメ)(そば)からも一歩 後退(ずさ)った。
睡蓮(スイレン)の口から 白夜(ハクヤ)の事が語られ、桔梗(ききょう)も僅かに動揺をしてしまっている。
桔梗(ききょう)のほうは、顔色が やや蒼白の色を浮かべた。
 
 

睡蓮(スイレン)、今日はお詫びに いろんな種類の飲み物を持って来たから飲んでみてね 」
 
「 ありがとうございます! ――― でも、東雲(シノノメ)さんのせいでは無いのですから、本当に もう お気になさらないでくださいね……? 」

自分の隣に居た睡蓮(スイレン)に刺さった黒い矢の事について 東雲(シノノメ)は今でも引きずっており ――― あれ以来、睡蓮(スイレン)に会う度に謝ったり、お詫びの品を渡したりしている。
今日も此処(ここ)に来た本当の目的は、黒い矢の事について 秋陽(しゅうよう)白夜(ハクヤ)に伝えたい事があるからだ。


東雲(シノノメ)さんとは上手くお話できるのに……… )
睡蓮(スイレン)は、ふと、食事をする台の上に置いてある花瓶の花を見つめた ――― 。



「 先生、先日の黒い矢なんですが…――― 」
睡蓮(スイレン)桔梗(ききょう)が喉を潤している中、東雲(シノノメ)秋陽(しゅうよう)は二人から少し離れた場所で花蓮(カレン)女王の即位式の時に睡蓮(スイレン)に突き刺さった黒い矢の話を始める。

「 は? " 呪術(じゅじゅつ) " とな!? 東雲(シノノメ) 頭は確かか……!? 」

「 正気ですよ! あくまで晦冥(カイメイ)と言う男が矢を(はな)てるとしたらの可能性の話です! 」


――― 『 呪術(じゅじゅつ) 』とは (まじな)いの事で、神や精霊などの自然的な力や神秘的な力に働きかけて様々な現象を起こさせようとする行為・信仰と考えられている。
呪術師を名乗る者は大半が偽物で、リエン国では 実際は呪術なんてものはこの世には存在しない ――― 只の迷信だと考えている者が多い。


「 まあ、昔の医療には呪術も頻繁に使われておった様じゃが、お馬鹿な行為ばかりで現代では使えぬ治療法ばかりじゃし……今時 農家の者だって雨乞(あまご)いなど せんじゃろ!? 」

「 いや、してる人達だっていますよ!?医療だって、湯治(とうじ)とか本当っぽい物もあるじゃないですか?葬儀とか…――― 儀式的な物は全て呪術の一種ですよ? 」

「 むむ……(しか)し、何をもって ()の考えに至ったのじゃ? 」

「 ――― あの鏡です。 」

東雲(シノノメ)()の言葉を聞き、 秋陽(しゅうよう)は眉間にしわを寄せて黙り込み、(ようや)く彼の話に真面目に耳を傾け始めた ――― 。
秋陽(しゅうよう)も 矢は勿論の事、睡蓮(スイレン)が持っていた鏡については ずっと疑問に思っていたのだ。
 
「 葬儀の時に副葬品として (ひつぎ)に鏡を入れる方がいるんですが、土葬なら問題無いんですが火葬では鏡は溶けるからご遺骨に付着しちゃって厄介な事になるんでお断りする場合が多いんです。」

睡蓮(スイレン)が持っていた日葵(ひまり)の鏡は、あれだけ黒煙をあげて白夜(ハクヤ)光昭(こうしょう)も火傷を負ったのに、溶ける所か割れてもおらんかったな……」

「 はい、鏡は熱に強いけど 睡蓮(スイレン)が持っていた鏡は綺麗過ぎて変なんです。 」


――― 秋陽(しゅうよう)東雲(シノノメ)は、それぞれ即位式での事を思い返しながら沈黙した。


「 それで、呪術とな……? 」

「 はい、" まやかし " とでも言うのかな? ――― あの矢には、何か細工がしてあったような気がして……それに、呪術に弓矢や鏡を使った伝承って結構あるじゃないですか? 」

睡蓮(スイレン)とお主の話を繋げるなら、晦冥(あやつ)が呪術師か何かと言う事か……? 」

「 そこまでは分かりませんが…――― 呪術師が関係してる可能性はあるのでは無いかと…… 」


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