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水鏡に咲く白き花 作者:水城ゆま

第二章『 蓮の糸 』

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「 稽古場 」

 

――― 桔梗(ききょう)睡蓮(スイレン)が洗濯に(いそ)しむ中、白夜(ハクヤ)は宮廷にある稽古場に来ていた。


(ハチス) 先王の人柄や手腕により、リエン国は異国との交流も盛んで大変上手く行っており、
国内も平和そのものなので医官達同様に武官達も暇を持て余し気味なのだが、情勢はいつ変わるか分からないので(ほとん)どの者が 常に心身の鍛練(たんれん)に励んでいる。
白夜(ハクヤ)の様に 毎日 欠かさない者もいれば、あまりの平和に胡坐(あぐら)をかいて稽古場では(ほとん)ど見かけない者まで様々だ。


()の日は、武官達の頭役(かしらやく)的な存在 ――― 武官長である大柄で筋肉質な身体を持ち、髭を生やした男性『 銀龍(ぎんりゅう) 』と、白夜(ハクヤ)同様に(ハチス) 先王の遺言状に名を記されていたリエン国の女性としては珍しく髪が短く、細身で凛とした雰囲気を持つ女性『 佳月(カゲツ)』も稽古場に来ていた。
(ハチス) 先王が自ら選んだ白夜(ハクヤ)佳月(カゲツ)は注目を浴びる事は必至であり、女性である佳月(カゲツ)のほうは男性の多い稽古場の中で一際(ひときわ) 目立っていた。


「 すごいですね ――― 女性の剣士なんて初めて見ました! 」白夜(ハクヤ)佳月(カゲツ)の剣技を観察しながら、素直に感心していた。

「 まあ、いない事は無いんだがリエン国では少ないよな。 」
銀龍(ぎんりゅう)佳月(カゲツ)の腕前が気になる様で、白夜(ハクヤ)との手合わせを中断して佳月(カゲツ)の動きを観察していた。


白夜(ハクヤ)殿、銀龍(ぎんりゅう)殿 ――― 後で手合わせをお願いできますか?」
――― そう尋ねながら、二人の(もと)に現れたのは白夜(ハクヤ)佳月(カゲツ)同様に(ハチス) 先王の遺言状に名を連ねていた『 蒼狼(せいろう) 』。
両耳に洒落た装身具を付けている美男子で、見た目から斜に構えた人物に思われがちなのだが和を重んじる性格で白夜(ハクヤ)銀龍(ぎんりゅう)とは気が合っている。
白夜(ハクヤ)蒼狼(せいろう) が手合わせを始めると、稽古場中の武官達が 二人と佳月(カゲツ)何方(どちら)を眺めようかと右往左往した。



(ハチス) 様は、何故わざわざ あいつらを補充したんだろうな……? 」
――― そう銀龍(ぎんりゅう)に話しかけて来た男の名は「 盈月(えいげつ) 」。
無駄な脂肪が一切無い、細身で長身の男で銀龍(ぎんりゅう)とは古い付き合いである。

「 さあな? まだ他にもいるぜ。 」


(しばら)く 三人の若者の動きを見守ると、盈月(えいげつ)は全く別の話を銀龍(ぎんりゅう)に切り出した。
「 ―――…お前、蓮葉(ハスハ)とは会えたのか? 」

「 いや、………まあ その程度だったって事だろうな。 」


蓮葉(ハスハ) 』と云う女性は銀龍(ぎんりゅう)の想い人なのだが
数日前 ――― 丁度(ちょうど)(ハチス) 先王が急死した日の辺りに忽然(こつぜん)と宮廷から姿を消していた。
銀龍(ぎんりゅう)は他の女官達に彼女に何があったのかと尋ね回ったが
皆、口々に " わからない " と " 知らない " を繰り返すばかりで消息不明なままになっている。

銀龍(ぎんりゅう)は、ずっと彼女の事を心配し、想いを断ち切れずに過ごしており、どうにかして彼女を探し出したいと考えていた。
何処(どこ)如何(どう)探すか、方法は()だ思い付いていないが……―――


銀龍(ぎんりゅう) 殿、次 お願いできますか? 」
「 ああ、いいぜ 」

蒼狼(せいろう)銀龍(ぎんりゅう)に声をかけると、銀龍(ぎんりゅう)は我に返った様子でに剣を抜き、戻って来た白夜(ハクヤ)と擦れ違った ――― 。


 
 
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