私が常に思うのは、この生活に意味があるのか、という事です。
毎日、記号を覚え続け、そして記号を数え続け、間違えたら最初からやり直し。
合ってたら、それはそれでまた同じ事を繰り返します。
確かに退屈にはなりませんが、これを人は暇潰しと呼ぶのではないでしょうか。
だから私は抜け出す事にしました。
この生活からです。
私の生活は、鉄条網で囲われている訳でもなかったので、割と簡単に抜け出す事が出来ました。
どうして今まで抜け出さなかったのでしょう。
あとは、私は今までの生活にほんのちょっとの未練もないとは言い切れませんから、少しでも消える様に、もっと遠くに行くことにします。
白くて汚れのない場所は、ずっとずっと遠くになりました。
外はただ、荒野でした。
土埃が舞い、ひたすらにだだっ広い凸凹の地面がありました。
けれど、時々草や花が生えているので、詰んでみる事にします。
こういう自然と触れ合う機会というのは、あまりない事だったので、興味深く見ていました。
茎から、緩やかにそして、気色悪く伸びる葉。
花弁は、誘い込む様に開きこれまた妖しい感じがします。
私は、愉快になって、そんな草花を集めて数えては、種類毎に分けて形を覚えていきます。
それは、その瞬間の私にとって、とても心躍る作業でした。
今までの生活はあまりに詰まらない事だらけだったので、この小さな事だけで、私は楽しくなってしまいます。
一つ達成する毎に、強烈なカタルシスが襲い、私はおかしくなりそうな位でした。
そんな時間は、幾時間、幾日、幾月、幾年続いたのかは分かりません。
何の拍子だったかは分かりませんが。
私は、ふと思ったのです。
この生活に意味はあるのかと。
毎日、花を覚え続け、そして草を数え続け、間違えたら最初からやり直し。
合ってたら、それはそれでまた同じ事を繰り返します。
確かに退屈にはなりませんが、これを人は暇潰しと呼ぶのではないでしょうか。
その瞬間。
私は既視感で吐き気がしました。
私は、体の土埃を払い、よたよたとした足で、歩き出しました。
――とりあえず、帰る事にしようと思います。
あの生活に。
|