8. 疑惑から確信へ
「急に、悪かったな・・・。」
そう言ったコナンの表情を見たとき、平次の不安は確信に変わった。
「そんな挨拶は抜きや。何があったんや?」
先を急ぐ平次に、コナンは落ち着いた声で言った。
「とりあえず、ゆっくり話ができる場所に・・・。」
平次は、駅前にある一流ホテルの部屋を用意していた。
『誰にも聞かれてはいけない話』だと、電話の彼の様子から感じ取ったためだった。
それには、コナンも些か驚いた。
「いいのかよ・・・。こんなことに金使って・・・。」
「オレの勘、間違うてへんやろ?」
不敵な笑みを浮かべる平次。
さすが、全幅の信頼をおいている親友兼探偵だけある。
「で、話ってなんや・・・?」
そう促され、コナンは重い口を開いた。
「実はさ、ちょっと奴らの動きで不審に思うところがあって・・・、オレが近くにいると周りに迷惑が掛かるから、
蘭の家を出ることにしたんだ。今は博士の家に住んでるけど、みんなにはイギリス両親の所に行くって
言ってある。で、お前にも口裏合わせといて欲しいと思ってよ。」
大阪についてからわずかな時間で作り出した、西の名探偵を欺くための嘘。
彼は少し胸が痛みながらも、淡々と話した。
「工藤・・・。ほんまか?」
平次がコナンを睨み付ける。
「お前、それでオレをごまかせると思ってんのか!?何もなくて、お前があのねーちゃんから離れるわけ
ないやろ?・・・組織の居所、わかったんとちゃうんか!?どうなんや!?」
声を荒げて言う平次に、コナンは動じることもなく、ただ感心していた。
(ホント、さすがだな・・・。やっぱり隠し通すのは無理か?)
しかし、ここで引き下がる訳にはいかない。
「それが本当だったら、オレがもう突入してるさ。」
平静を努め、なんとかこの嘘を押し通そうと試みるが、平次は一向に信じようとしない。
「工藤・・・。オレにも話されへんってことなんか?」
悔しさと悲しみが混在した目でコナンを見つめる平次。
それでも、コナンの決心が揺らぐことはなかった。
「ホントにそんなんじゃねーんだ。それでさ、お前にひとつ、頼みがあるんだけど・・・。」
「頼み・・・?」
「あぁ、もうすぐ春休みだろ?その間だけでも、蘭のこと預かってくれねーか?和葉ちゃんとゆっくり
遊ぶことでも口実にして。オレは・・・組織のこと調べるために、しばらく米花町を離れようと思ってるんだ。
その間に、蘭に何かあったら困るからよ。こんなこと頼めるのお前くらいしかいないからな。それで、今日
ここに来たんだよ。」
その言葉で平次は、コナンが何を考えているのかわかった気がした。
(とことん、シラ切り通すつもりなんやな・・・。それならこっちにも考えがあんで。)
「・・・工藤、この件、一回預からせてくれへんか?和葉のこともあるし、ちょっと考えたいんや。」
(え!?考えたい・・・?)
自分の頼みをきいてくれると勝手に思っていたコナンは、その答えには動揺を隠せなかった。
「あ・・・あぁ。わかった。できたら、2〜3日くらいで返事もらえるか?」
「おぉ!こっちから連絡さしてもらうわ。」
何かをたくらんでいる・・・そんな表情に変わった平次だったが、コナンは彼の瞳の中にある思惑を見抜くことが
できずにいた。
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