7. 親友の凶兆
引越しから2日後、コナンは大阪行きの新幹線の中にいる。
そして、これから起こる事への思索に耽っていた。
(絶対アイツ、納得しねーよな・・・。はぁ、どうすっかなー。)
そう、これから西の名探偵に会いに行くところなのだ。
彼には、これまでいろんな意味で助けてもらってきた。
事件の解決はもちろんだが、コナンの正体を知っている数少ない人間として。
さらに、大切に思っている幼馴染の存在が同じようにある男として。
コナンの気持ちや立場を察してくれる相手だった。
だからこそ、今回の件に関わらせることは避けたい。
関われば、当然平次の身の安全を保障することなどできない。
そうなると蘭と同じように、和葉も心配や不安からきっと涙を流すことになるだろう。
それを平次が見て、自分の様に苦しんで欲しくない。
そう思っていた。
かといって、自分が平次の立場だったら・・・とも考える。
彼が危険な目に合っているにも関わらず、自分だけ平穏な場所に・・・なんて事があり得るだろうか?
そんなこと、あるはずがない。
大切な友人が無事に戻ってこれるように、自分にできることを精一杯考え、助けるはずだ。
行くまでにどう話すか決めておくはずだったが、あれこれ考えを巡らせるばかりで結論など出なかった。
「厄介なことになりそうだな・・・。」
そう口にすると、これ以上考えていても無駄と思ったのか、彼は瞼を閉じた。
一方、大阪では平次が法定速度ギリギリの速さでバイクを走らせていた。
『大事な話があるんだ・・・。』
珍しく東の名探偵の方から電話があったのは、昨日の深夜。
「なんや!?珍しいな。それやったら、朝一で来い!」
といった平次の誘いを、
『何言ってんだよ。明日、学校だろ?授業が終わる時間に合わせて行くよ。それから・・・、オレと会うことは
誰にも言わないでくれねーか。もちろん、和葉ちゃんにも。じゃ、新大阪まで迎えよろしくな。』
とコナンが一方的に話を決めて、電話を切られた。
その口振りに、いつもと違う不穏な雰囲気を感じ取った平次は、今日一日うわの空で過ごすこととなった。
「平次、なんかあったやろ?」
普段の彼と様子が違うことに気づいた和葉が、休み時間毎に問い糺す。
「別に何もあらへん・・・。」
そう返事はするものの、
「何で教えてくれへんの?あたしに言えないことなん?」
彼女の追及は終わりを知らない。
それを何とかかわして、彼は今、新大阪駅へ向かっている。
(あー・・・もう。明日もしつこく聞かれんのやろなー。ほんまに、工藤のせいや・・・。)
文句を言いながらも、何か大きな問題が起こったという根拠のない不安。
取り敢えず、早く話が聞きたい。
駅に辿り着くと、彼は逸る気持ちを抑えながらバイクを降り改札へ急いだ。
|