4. 偽りの自分
翌朝。
自分の心境とは正反対に、空は気持ちよく晴れ渡っていた。
(朝になっちまったな・・・。)
コナンはほとんど眠れずに、朝を迎えていた。
コーヒーでも飲もうと誰もいないであろう居間に下りてきた彼は、蘭が起きていたことに驚いた。
「おはよう・・・。」
少し気後れしながら挨拶し、彼女の表情を伺った。
「コナン君!・・・おはよう!早いのね?」
そう驚きながら言う彼女の目は、真っ赤になっていた。
(蘭・・・やっぱり、一晩中泣いていたんだな……。)
「蘭姉ちゃんこそ、早いんだね。」
わざと気づかない振りをして、彼は普段通りに話しかける。
彼に気づかれているとも知らず、彼女はいつも通り明るく振舞う努力をする。
「うん!なんか目が覚めちゃって・・・。コナン君、コーヒーでも飲む?」
そういうと、蘭はコナンの返事も聞かず準備を始めた。
(早めにこの事務所を出たほうが良いかもしれないな・・・。)
無理をしている蘭とその彼女を見ることに耐えられない自分に気づいたコナンは、そう考え始めていた。
「おはよう!!コナン君」
教室に入ると、探偵団が近づいてきて恒例のサッカーの試合の話が始まった。
「昨日のヒデ、かっこよかったー!!」
「本当ですよね。あの距離からのシュートはヒデ以外には無理ですよ。」
「そうかぁ?オレならきっとできるぜ!!」
「元太くん。どこからその自信はやってくるんですか・・・?」
いつもと変わらない光景に、コナンは少しホッとした。
(でも、こいつらと一緒に入れるのも、あとちょっとか・・・。)
いざ、探偵団のメンバーと離れると思うと感慨深くなる。
楽しそうに話している3人を、彼は慈愛にも似た気持ちで見ていた。
そんな彼の様子に気づいた哀は、
「彼女に話したのね・・・。家を出ること・・・。」
とみんなに聞こえないように尋ねた。
コナンは、ほんの一瞬、辛そうな表情を見せた。
「ああ・・・。それにあいつらにも先生にも今日言おうと思ってる・・・。あ、お前はどうする?一緒に言ったほうが、
あいつらを何回も悲しませなくて良いと思うんだけどよ。」
哀もコナンと同様、いつか来るこの日のために、
『アメリカにいる両親と暮らすことになった』
という転校の理由を用意していた。
(今まで本当のことを隠してきた私に、悲しんでもらう資格なんてないわ・・・。)
そんなことを思いながら、
「あなたに任せるわ。」
とだけ言い、自分の席に着いた。
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