1. 別れの予感
その言葉を聞いたときの二人の反応は、全く違っていた。
「本当か!?」
目を輝かせ、固い決意を胸にした探偵の顔になるコナン。
一方、哀は何も言わず、うれしそうなコナンの様子を一瞥した後、手にしていたコーヒーを口に含んだ。
「なんだよ。うれしくねーのか?」
反応のない哀を見て、物足りなく感じたコナンが尋ねる。
「そんなことないわ。ただ……これからのことを考えるとあなたのように喜んでいられないだけ。
あの組織を壊滅させることがどれほど大変なことか……。」
そう言うと、悲しい顔で静かにカップをソーサーに戻した。
その表情の理由は、言った言葉だけが原因ではない。
自分と一緒にいることで、周りの人間を危険にさらしていることは十分に理解している。
それでも、この一時的でも平穏な、仮の生活が消えてなくなる不安と、新一が彼女のものであると
思い知らされることへの恐怖。
(このままじゃいけないことはわかってる…。彼を彼女に返さなくちゃいけないことも……。)
そう自分に言い聞かせると、哀は冷笑を浮かべた。
そんな哀の様子が気になりつつも、組織のことで頭がいっぱいになっていたコナンは、ジョディと今後の計画を
話し始めた。
そこで、FBIに特別チームが組まれていること、決戦は3月末を予定していること、連絡は阿笠博士の家で取り合うこと、
その日までに更なる調査を進め、準備を万全に整えるために協力し合うことなどが確認された。
「二人とも…学校はどうするの?」
一通り話がついた後、ジョディが冷めたコーヒーを手に尋ねた。
コナンは、いつかこの日がくることを予想していただけにすんなりと、でも少し物悲しそうに言った。
「あぁ、転校手続きをしねーとな。それにあいつらにも言わないといけねーんだよな。」
哀も彼と同じ顔をして頷いた。
そして、もう一言コナンがつぶやく。
「蘭にも……だな。」
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