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ここから推理ゲームレース編です。
かなり長くなっちゃって、構成に失敗した感アリアリなのですが、見逃してください!一度こういうイベントものネタやってみたかったんですよ〜〜っ。(>_<)
グリコ達と一緒に、レースを楽しんでいただけたなら幸いです。
クイズなんかもありますので、挑戦してみてください♪
 
Act. 9-4
<<<< 栗子side >>>>
 
「さて、ご参加いただける挑戦者はなんと、15組となりました! いやぁ〜〜これだけの人数に参加していただけると主催者冥利に尽きますね〜」
 
 あたしのすぐ隣で喋る、シャーロック・ホームズに扮した司会者さん。
 
 プロなのかな、この人。場を盛り上げるのが凄く上手だ。
 
 あたしの正面にはベンチに座った人の列がずら〜〜っと砂浜から見るさざ波のように続いてる。
 
 この場所、思ったより高い。奥の奥まで人の顔が見渡せる。その顔が全員こちらを注目してる前に立ってるのはさすがに少し緊張するもので。
 
 なんか、つまんないギャグとか一発かましてみたくなるな。
 
 やった瞬間、隣から鉄拳食らうコトうけあいだけど。
 
 あたしは右隣の愛想のない端正な横顔に目を向けた。そこにいるのはもちろん朽木さん。その隣には高地さん、祥子が並び、さらに奥には数十人の人が続く。
 
 ここはステージの上。あたしと朽木さん、高地さんと祥子は、これから行われる『ペア対抗推理ゲームレース』にエントリーし、ステージに上がることとなったのだ。
 
 参加するのは15組、総勢30名。参加者の列の一番端っこの人は、ステージ内に収まらず、ステージに昇る階段の途中に立ってなきゃいけないほどの大所帯となった。
 
 いかにも不服そうな面構えの朽木さんから視線を外し、正面の人の波に目を戻せば、真ん中辺りでにこにこ笑ってるレースに参加しない二人と目が合った。
 
 拝島さんと真昼。二人は見物人でいることを希望したのだ。
 
 一緒に参加しようと誘ったのだけど、あたし達が頑張るのを見物してる方が楽しそう、とのことであっさり断られてしもた。
 
 ちぇー。みんなで出たかったのに残念。
 
 拝島さんと朽木さんという、普段仲のいい二人がお互いの力をぶつけあって順位を争うシチュも萌え〜だったんだけどな。
 
 
 
「ではもう一度ルールを説明します。参加者の方々はこれから始まる殺人事件の謎に挑戦する探偵になっていただきます。事件を解決するためには、構内各所に設置されたポイントを回らなければなりません。手元にお渡しした構内MAPはありますよね? 何処に行けばいいかは随時指定されますので、そのMAPを見ながら指定された場所に移動してください」
 
 言われて手元のMAPを見る。チェックポイントが記されてるワケじゃない、普通のMAPだ。指定された場所がどこにあるかは、自分で探せってことか。
 
 この大学の学生が地理的に有利な気もするけど、まぁ地図があるんだからなんとかなるかな。
 
「犯人を逮捕するには、お渡しした台紙にシールを集めなくてはなりません。シールはチェックポイントでもらえますので、漏れなくその台紙に貼り付けてください。最初から犯人が分かったという推理マニアな方も、ちゃんとシールを全て集めるまでは逮捕できないのであしからず」
 
 ふむふむ。ズルはできないってわけね。
 
 あたしは首から提げた紐付きのシール台紙を見やった。
 
 厚紙で丁寧に作られた台紙。シールを貼る欄は16箇所。
 
「レースの流れはこうです。事件が発生したら、まずは現場に向かっていただきます。それから関係者の事情聴取に回り、途中に挟み込まれたクイズに正解すると、『証言』を得ることができ、やがて『凶器』を発見できます。それから『物的証拠』を見つければゴールはもう目前! 犯人を逮捕できる材料が揃うのです!」
 
 う〜〜ん、燃えるね!
 
「そして犯人逮捕に向かうと、そこで初めて、逮捕の証が何かを知ることができます。これを最初に手にしたペアが優勝者となるわけです! 手にするのはペアのどちらでも構いません。どちらか一方が触れればOK! でもそれまでは、必ず二人一組で行動してください。他の組と携帯電話などで情報交換するのも禁止です。必ず二人の知恵で乗り切ってください」
 
 つまり、結束力も結構重要だってことか。
 
 夏休みに二人で車上荒らしを捕まえた実績のあるあたしと朽木さんなら、結束力も充分! 
 
 楽勝だね、って顔を朽木さんに向けた。
 
「あたしと朽木さんの知恵を合わせれば無敵だね!」
 
「ゼロをいくら足されても数値は上がらないって知ってるよな?」
 
 うぉい!
 
 むきぃ〜っ! 憎まれ口ここに極まれりっ!
 
 あたしは思いっきり朽木さんの背中をつねってやった。
 
「っ! ……いい度胸じゃないか」
 
 うぎっ。イテテテ。背中をつねり返された……。
 
 いつぞやのように笑顔で火花を散らし始めるあたし達。
 
 観客席側に一歩進んだ司会者さんが、後ろのスクリーンを手で示しながら説明を続けた。
 
「レースの模様はこの大きなスクリーンにて逐次中継されますので、会場に残った皆さんもリアルタイムでご観賞いただけます。また、ただレースの終了を待つだけでなく、会場の皆さんにはミニゲームもご用意してありますのご安心を。どうぞ最後までお楽しみください。他に何か質問はありますか?」
 
 シーン。誰も手を挙げない。説明は十分過ぎるほど丁寧だった。
 
 すると司会者さんは、くるりとあたし達を振り返り、
 
「では、今回レースに参加いただくペアの方々に自己紹介をお願いしましょう! エントリーナンバー1番!」
 
 あたしと朽木さんの前まで歩み寄りながら声を張り上げた。
 
 エントリーナンバー1番。もらったバッチが、それはあたしと朽木さんのことを示すのだと胸元で主張する。
 
 むむ。自己紹介か。なんて言おう。
 
 瞬時に笑いを取るか否かの選択肢が頭の中を回る。しかし言葉を思いつく間もなく、司会者さんの大声が響き渡った。
 
「おおーっと、これわぁぁぁっ!!」
 
 え? なになに?
 
「なんとのっけから注目株です! 我が校のプリンス、朽木冬也君の登場だぁぁ――っ!!」
 
「は? ぷりんす?」
 
 うひゃ。プリンスだって!
 
 紹介された当の朽木さんは目をぱちくりさせて司会者さんを見返している。
 
「頭脳明晰、容姿端麗、冷静沈着! 隠れファンクラブも存在する彼が、なななぁーんと! 女の子とペアを組んでの出場です! どういう関係なんでしょうか!? 今この時、恐らく学校中の女性が涙をのんでるに違いありません!」
 
 うっ。隠れファンクラブ……。
 
 そ、そういえば、なんかさっきから痛い視線を感じるような気がしてたんだ……。
 
 意識して会場を見渡せば、いるわいるわ。
 
 憎しみの籠もった眼差しであたしを睨みつける、化粧の濃い女集団。
 
 やば……。恨み買っちゃったかな。
 
「ズバリ! 朽木冬也君、この女性とはどういう関係なんですか!?」
 
「ただの後輩です」
 
 司会者さんの質問にきっぱりと答える朽木さん。
 
 そういえば後輩って役どころだったな。最近すっかり忘れてた。
 
「聞きましたか朽木君ファンの方々! 良かったですね、まだ望みはあるようです! さて、ではパートナーの女性の方、自己紹介をお願いします!」
 
 え? あ? もうあたし?
 
 いきなり紹介があたしに移ったので一瞬焦った。とりあえずはオーソドックスに答えておこうと瞬時に決め、ビシッと敬礼ポーズで姿勢を正す。
 
「桑名栗子です! よろしくお願いします!」
 
「おお〜〜! 元気のいい方ですね! 優勝目指して是非頑張ってくださいね! エントリーナンバー1番、朽木・桑名ペアでした〜〜!」
 
 あたし、はやっ!
 
 まぁ無名だからこんなもんか。
 
 司会者さんは次なるペア、高地さんと祥子のもとへ、さっさと移動してしまった。そして同じように声を張り上げる。
 
「さてお次のエントリーナンバー2番は……これまた注目株っ!! 合コンマスター、ナンパ王――数々の異名を持つ、我が校の名物男、高地元治君だぁぁ――っ!!」
 
「ちょっ! その称号は返上したんで言わないでお願いっ!」
 
 またもや祥子の前で不名誉な称号をばらされる高地さん。やはり過去の行いはそう簡単には消せないね。
 
「彼は様々なスポーツ部の助っ人を行うスポーツマンであることでも知られてます! 運動神経抜群の高地君、朽木君の知力に体力で対抗できるかっ!?」
 
「へぇ〜そうなんだ。高地さん、運動神経いいんだ」
 
「そういえば大会の度に呼ばれてるって聞いたことあるな……」
 
 ほほ〜。それは凄い。祥子と組むと意外と強敵かも。
 
「そして、高地君も女性とペアを組んでの登場です! 撃沈男と名高い高地君、とうとう彼女をゲットできたのでしょうか! ズバリ、高地君とはどういう関係ですかお嬢さん!?」
 
 マイクを向けられる祥子。ぶすっとした顔で司会者を睨みつける。デレデレ笑顔の高地さんが代わりに答えようと割り込んで、
 
「もちろん、カノジョ……」
「立倉祥子。知り合い以下よ」
 
 ズビシッと祥子に遮られる。
 
 会場中から、高地さんに生温かい視線が注がれた。
 
「え……えーと。とりあえず、高地君、頑張ってください、ということで。エントリーナンバー2番、高地・立倉ペアでした〜〜! お次は……」
 
 それから残る13組のペアが次々に紹介されていき、途中で欠伸が出そうだったけど。
 
 暇のあまり朽木さんにまたちょっかい出そうかと思い始める頃には、最後のペアの紹介が終わってくれた。
 
 司会者さんがステージ中央に、あたし達の前に、革の靴音を響かせて戻ってくる。
 
 いよいよレースの開始が迫ってきたのだ。
 
 
 
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