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第42話:トロイ

公孫瓚救出作戦“トロイ”発動。

オスプレイからのHALO降下で無事に幽州へと潜入出来た俺達は影から影へと移動して、敵に気取られないように移動する。

少数による敵地潜入では敵に発見される前に倒すか、やり過ごすしか無い。交戦も緊急時では可能だが、それはかなり高い確率で作戦失敗を意味している。何しろ俺達の装備は動き易さを重視して予備マガジンの数は少ないし、12人しかいないので真面な戦闘など不可能だ。


だから見つかる訳にはいかないのだ。幸いにも敵は勝利したことにより完全に油断しきっており、近付くにつれて哨戒部隊の数も増えて行っているが、中には居眠りをしている見張りもいたので、簡単に桃花城近郊に居座っている袁紹軍野営地が一望できる一帯に到着。

そこに広がっていた光景はまさに地獄だ。村は完全に廃墟と化しており、城に関しては面影すら残っていない。ここに来る道中には袁紹軍兵士が殺したと見られる民間人の死体が山のように重ねられていた。

その光景に対して怒りを沸かせるが、何とか抑え込むと深夜になるのを待ち、時刻に近づくと配置に着く。


「ハンター2、ハンター3。無線をチェックしろ」

<こちらハンター2。感度良好。所定の位置に到着>

<ハンター3からハンター1へ。狙撃位置に配置完了>


作戦はこうだ。パッケージの位置は把握している。何処かに移されるようで今は桃花城の側に停められている移動式の牢に閉じ込められている。何を考えているのか理解し難いが、これは返って好都合だ。なにしろもしこれが城内だったら潜入する手間が省けたのだから。

俺が指揮するハンター1が公孫瓚を確保する。ハンター2は兵糧庫と武器庫にC4を設置。ハンター3は見通しがいい丘の上から狙撃による援護だ。


「これより行動開始する。作戦通りに行動しろ」

<こちらハンター2了解>

<ハンター3了解です>


そうすると俺達は雨が降る中、側にある河に入り、音を立てずに慎重に移動していく。

河からなら陸路よりも見つかる可能性は低い。まあ、見つかったら泳いで逃げるしかないが・・・・・・。


自生している水草に隠れながら移動していると、目の前に敵の姿。数は1。一応は見張りのつもりだろうがかなり眠そうだ。

俺はチームに握り拳を目線の高さで顔のすぐ横まで持って来る。ハンドサインの一つで停止命令だ。

チェストリグに取り付けてあるM37K SEALs PUPナイフを取り出し、大きく息を吸い込むとその場で水中に潜る。


そのまま敵のすぐ側まで泳ぐと一気に飛び上がり、鎧を掴むと水中に引き摺り込む。敵はいきなりの事態に混乱していたが、そのまま俺は喉元を深く切断して敵を仕留めた。


「正面クリア、前進しろ」

<こちらハンター1-2。合流します>


死体をそのままにしておいてチームに集合を掛ける。3人が合流すると再び移動を再開する。

単独の場合なら水中に引き摺り込み、複数の場合は同時にヘッドショットで仕留める。敵野営地のすぐ側まで辿り着くと辺りを警戒しながら上陸。天幕へは匍匐前進を行ないながら近付く。

天幕の側にある大き目の木箱に隠れながら前進していると通信が入った。


<ハンター1、敵兵がそちらに接近>


通信内容は敵の接近だ。俺はすぐにハンドサインで物陰に隠れるように指示を出す。その直後に敵兵が姿を現す。数は2名だ。


「ハンター3、狙えるか?」

<了解です。どいつを狙いますか?>

「背の低い奴を仕留めろ。俺はもう一人を殺る」

<了解、合図を待ちます>


ハンター3のM107A1を構えて照準を合わせたスナイパーとタイミングを合わせる。そして俺も同様にナイトビジョンと併用して照準を敵の頭に合わせる。


「3・・・2・・・1・・・やれ」


合図と同時に俺は5.56mm弾を敵の頭に撃ち込み、弾丸はこめかみに命中。もう一方はM107A1から発射された12.7mm×99NATO弾で敵の頭を木っ端微塵に吹き飛ばす。

実戦で約1.8km先にいた敵兵の身体を真っ二つにした程の威力だ。サプレッサーを装着して威力が落ちているとはいえ、頭部を吹き飛ばすことくらいは容易い。


仕留めた敵兵の死体を物陰に隠すと再び前進を開始。道中も同じ様に頭を撃ち抜いたり、背後から忍び寄って喉を掻っ切ったりしながらパッケージを探す。


<ハンター2-1からハンター1。兵糧庫と武器庫にC4を設置>

「了解した。ハンター3と合流して待機せよ」

<了解です中佐。支援準備に入ります。ハンター2-1 out>


C4を仕掛け終わったハンター2にハンター3との合流を命じて、引き続き目標ポイントへと向かう。


潜入開始さら20分後、俺達はようやく公孫瓚が捕らえられている牢屋の近くまでに到達したが、問題が生じた。

パッケージの周辺には見張りの兵士が多く、下手をすれば仕留めている隙に大声を出されるかもしれない。人数は9名。俺達はHK416とHK417 DMRを構えて準備する。


「ハンター1-1からハンター3」

<こちはハンター3-1>

「俺達の位置は確認できるか?」

<確認しました。ターゲットはその先ですか?>

「そうだ、射撃のタイミングは任せる。一発で二人を倒せるか?」

<了解。バレットを使います>

「左側の4人は任せろ。そっちは右側の5人だ」

<了解です>


通信を完了させると再び左側にいる敵兵へ照準を合わせる。俺もHK416のAN/PVQ-31B ACOGを覗き込み、敵の頭部に照準を合わせた。


<3・・・2・・・1・・・0>


ハンター3-1のタイミングで同時にトリガーを引き、9人いた敵をほぼ同時に仕留めた。その内の2人は頭が吹き飛ばされる。


「クリアだ。これより接触する」

<了解、周辺を警戒します>

<こちらハンター2-1。回収機を要請しておきます>

「頼む」


周囲を警戒しながら目標に向かう。牢屋を見るとポニーテールの赤い髪をした少女が閉じ込められており、何故か知らないが全身から“普通”が醸し出されている。その隅にはもう1人いるようだがよく見えない。


「公孫瓚か?」

「・・・あんたは?」

「心配するな、俺達は敵じゃない」

「・・・・・・・・・」


そういうが彼女は信じていないようだ。取り敢えずは扉を開けて彼女に歩み寄る。


「・・・あんた達は・・・・・・虎牢関の⁉」


俺達の装備を見て悟ったようで、思わず大声を出してしまいそうだったが、おれが素早く反応して彼女の口を抑える。


「今は叫ばないでくれ。こんなところで血まみれにはなりたく無い。君を助けにきたというのは本当だ。だから俺に従ってくれ。いいな?」

「・・・(コクリコクリ)」


状況を理解したのか、彼女は口を抑えられたままの状態で頷く。


「それで・・・・・・君は?」

「あっ・・・ああ・・・・・・こいつは私の処で客将をしてた・・・」

「・・・俺の名前は夏侯覇、字を仲権ってんだ」


彼の名前を聞いて言葉が出て来なかった。それもそうだ。どう考えても目の前にいる少年は16か17歳くらいの少年で、虎牢関で見掛けた夏侯淵の息子とはとても思えない。

一先ずは気になったので聞いてみる事にした。


「えっと・・・・・・夏侯覇殿?」

「なに?」

「ちょっと聞いて見たいんだが・・・・・・知り合いに曹操の処で将をしている夏侯淵を知ってるか?」

「あっ・・・ああ、秋蘭なら俺の従兄妹だけど・・・・・・どうかしたか?」

「従兄妹⁉」


ますます分からなくなってきた。実際の夏侯覇も男で性転換はしていないが、時系列的に考えても彼がこの幽州にいることはおかしい。しかも夏侯淵とは親子ではなく従兄妹。


俺が思考の海に溺れていると、少し呆気に取られていた公孫瓚が話しかけて来た。


「お・・・おい・・・・・・大丈夫か?」

「え・・・・・・あ・・・ああ・・・・・・すまない、それで君達を安全な場所に避難させる。よろしいか?」

「ああ、助かったよ・・・」

「助かったぜ」

「それで他の生存者は?」

「・・・・・・私達以外の兵は全員・・・」


そういうと彼女は悲痛な表情を浮かべて、拳を強く握りしめている。


「すまない・・・・・・」

「いいんだ・・・だけど袁紹には必ず償わせてやる」

「分かった。だがひとまずは・・・少し待ってくれ」


そういうとインカムに手を差し伸べる。


「こちらハンター1-1、どうした?」

<中佐、敵が潜入に気付いたようです>


耳を澄ますと周囲が騒がしくなって来た。恐らく死体を発見したのだろう。そのことを確認すると2人に振り向く。


「2人とも、少し派手になるかもしれない。俺達から離れないようにしっかり付いて来てくれ」

「分かったよ」

「しっかりついて行くぜ」


そういいながら2人に敵から奪った槍を2人に渡す。夏侯覇はどうか分からないが騎馬戦術を得意とする公孫瓚は問題無いだろう。

そうして俺達は2人を守りながらハンター2とハンター3の処へと移動をする。しかしそう簡単には行かないようだ。


「いたぞ⁉」


後方から大声で叫ばれてしまい、最後尾にいたハンター1-4が素早くHK416の照準を合わせて発砲する。撃ち込んだ銃弾はしっかりと敵の額に命中して倒したが、一足遅かった。


「向こうだ⁉向こうにいるぞ‼」

「銅鑼を鳴らせ‼絶対に逃がすな‼」


位置を悟られてしまい、周辺から発見を知らせる銅鑼が鳴り響く。


「くそ・・・探知された‼総員構えろ‼」

『了解‼』

「2人を守れ‼脱出を最優先に行なえ‼」


そういうと俺もHK416を構えてついて行く敵の攻撃に備える・・・・・・・・・・・・。

捕らえられていた公孫瓚と夏侯覇を救い出したライル達だが、その直後に発見される。

徐々に包囲されながら、ライル達は自分勝手で戦争を行なっている袁紹が皆の前に現れる。


次回"真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”

[狼とクズ]

オペレーショントロイ、佳境に入る。

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