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生まれた時からヤンデレの好感度+200%が付いていた結果

れ、恋愛感情じゃ、ないんだからね!セーフなんだから!
とりあえず女の子同士が仲良しめの話が苦手な方、ブラウザバック。
この世界では、生まれた時に、ひとつだけ加護が与えられる。
それは本当に様々な種類があって、現在確認されているだけで2万種はあるという。

赤子は、生まれてすぐに加護を調べるための魔法具を当てられる。
ーー今まさに、シア・ガークィンという公爵家の娘に、魔法具は当てられている。

「魔術師、この子の加護は何なのですか?」

シアの母が、待ちきれずに尋ねる。魔術師は固まっている。

「……どうしたんだ?」

それでもなお固まる魔術師に、シアの父からも声をかけると、魔術師はやっと口を動かした。

「未確認の加護、レアリティUR(最上級)、《超・ヤンデレ好感度UP》です!」

「や、やんでれ、だと?」

シアの父は首をかしげる。聞いたことのない言葉だ。

「ヤンデレ……私知っています。最近流行りの恋愛小説に登場する男性のことです。
……とてつもない執着心から、時に相手すら傷つけてしまうのです……!」

「なんだと……!?」

シアの父は慌てて、一番有能な使用人に命令した。少しでもヤンデレのけのある使用人は、別宅や親類の家に働かせるように手配しろ、と。

「……一応聞いておきますけど、効果はなんなのですか?」

「《ヤンデレからの好感度+200%》です……」

「三倍……ですか」

「ええい、うちの娘はばけものか!?」

シアの父が次元を超えたネタ台詞を吐いたが、シアの母はあえてスルーした。
シアの父はすこししょんぼりした。

そんな父を魔術師もスルーして、真剣な顔で言う。

「とにかく、この加護がどんな影響を及ぼすかわかりません。
占い師を呼ぶべきです」

魔術師の言葉に、慌てて別の部屋に待機する占い師を呼ぶ。
え、まだ占う時間じゃ、と言いながら、占い師が慌てて駆け込んでくる。
二時間後の予定を早めたために、占い師は随分乱れた格好をしていた。正式な服装を身につけている途中だったのだろう。

「いったいどうしたんですか、そんなにあわてて……」

「娘にあまりよくない加護がでたのです」

「なるほど………急ぎなんですね?形式ばらなくてもいいですか」

「あぁ、早くしてくれ」

占い師は、シアの近くに水晶を置き、それに手をかざした。目をつむり、頭の中に流れる映像を拾う。

しばらくして、占い師はゆっくりと目を開くと、つぶやいた。

「……お嬢様は、18歳になる頃、ヤンデレに囚われることになります
ひとりでは一歩も外に出ることはできず、それからずっと囚われたままです」

その言葉に、シアの両親は頭を抱える。加護が時にマイナスに働くことは、よくあることだった。なんとかして未来を変えなければ、と、両親は必死に考える。

「……占い師、その『ヤンデレ』が誰かはわからないのですか」

「…はっきり見える訳ではないので…うっすらと、金髪だったような、というぐらいで」

「……そういえば、王家の2歳の王子と、うちの娘の婚約話があがりましたね」

金髪の、シアと関わる可能性が高い男性……下手すると、王子かもしれない、とシアの母は考える。

「我が家は王家とのつながりがなくとも、十分繁栄しています。この子の幸せを奪ってまで、婚約する必要はないでしょう」

「しかし、王家との話を、どうやって断るんだ……」

少し手を顎に当てて考え込んでいたシアの母は、閃いた、という風に顔をあげた。

「………好感度が三倍といえども、元から好感度が0なら……要は、嫌われれば問題はないのでしょう?」

はっとした顔で、魔術師と占い師とシアの父が、シアの母をみる。


「それだ!」




*****


それから数年、シアはまさに箱入り娘として育てられた。

黒いさらさらの髪に、紫色の猫のような目の美少女になったシアは、うー、と唸りながら机に突っ伏している。

「ねぇ、レイ。つかれたよぉ」

「どうなさったのです」

シアにレイと呼ばれた少女は、今はほとんど滅びた種族の生まれで、奴隷である。ヤンデレであろう王子がもし周りから崩してきた場合に、裏切らず、そして抵抗するだけの魔力があるという理由で選ばれた少女だ。
シアつきの侍女として、学園にも付き添っている。

「あのね、明日私、王子に呼び出されてるんだあ。なんか怒られそうだよね」

「呼びだしですか……なにか、王子に言われていましたもんね」

「うん、学校では、私悪くなくちゃいけないから、嫌われてるのかな」

シアは悲しそうな顔で、机の上にある本を開く。今巷で流行っている、平民の少女が成り上がる恋愛もの。外に出るときは、平民の少女のライバル、「悪役令嬢」のまねをしていなさいと、母に言われていた。

「あーあ、私、ヤンデレの加護とかいらなかったなあ」

嫌われなきゃいけないとか嫌だよ、とシアはほおを膨らませる。

「お嬢様、私たち使用人は、お嬢様のことをお慕い申しております」

だから元気を出してください、と困った顔をして、シアを撫でるレイに、シアは嬉しそうに笑った。

シアをヤンデレから守る計画は順調だった。
ガークィン家の力で、シアよりはRレアリティは低いものの、ヤンデレ好感度+50%や、+100%、下は+3%の加護をもつ女の子までもを集めて、シアの入った学園に無償で入学させた。

そのおかげか、殆どのヤンデレはどこかの女の子にひっかかっており、嫌われ役の「悪役令嬢」であるシアに、その矛先は向かっていない。

そのことに、両親や、レイを含む使用人たちも、とてもホッとしていた。

明日、呼び出しか。何があるかわからない、とレイは気を引き締める。
レイは魔術に長けた種族の出だ。奴隷契約の制約さえなければ、魔術師すら凌駕する力がある。

「お嬢様、私がお守りします」

「うん、信頼してるよ」

シアの笑顔に、思わずレイも微笑んだ。

ーーー今、シアに執着するヤンデレは、たった一人だ。
レイは、ぽやぽやしているシアに、改めて自分が頑張らなければ、と思う。

シアは、ほうっておいたら、どこかへ飛んできそうだとおもうから。


*****



次の日、ガークィン家はとてつもない騒ぎになった。

シアが、王家に連行されて、捕らえられた、と。

王子が命じたという話を聞いて、両親は慌てた。うまく王子にシアを嫌わせられたと思っていたのに。

両親は王に抗議した。婚約前の令嬢を、そのように捕らえるなんて、と。
はやくヤンデレの王子から娘を救いたくて、もはや礼儀も危うかったが、王は二人を許した。ーーーそして謝罪した。

王は、とても言いずらそうに、厳しい警備の中、シアはどこかへ消えてしまったという。

王子なのでは、とうっすら思っている両親に、王は言う。

「ーーー申し訳ないことをした。婚約破棄をした際に、シアとカルロが揉めたようで、情けないことに、シアを牢屋へ閉じ込めてしまったらしい」

カルロ、というのはシアと婚約していた王子のことだった。

「婚約破棄、ですか」

母が唖然とする。王子はどうやら、シアを好いて軟禁したかったわけではないらしい。むしろ、嫌っていたという話も聞かされる。
……悪役令嬢作戦は成功していた。シアは王子以外の男性とかかわっておらず、誰にも目をつけられていなかったはずだ。
では、誰が?両親は混乱する。

「王子として情けないことだ。私は気づいてすぐに出そうとした。しかしそこにはもう、シアは居なかったのだ」

「ーーそんな訳が、ありません!」

シアの父が叫ぶ。この厳重な城の警備を抜けて、地下の牢屋からシアを出せる人間が、この国にいるわけがない。

「証拠の映像がある。……装置を起動してくれ」

ーーーそこには、確かに、魔力阻害装置の設置される地下で、阻害装置のキャパシティーを超えるほど(・・・・・)の魔術を使って、シアを連れ去る人間が写っていた。



*****



「これからはもう、私、嫌われなくてもいいのよね?」

シアが嬉しそうに言う。村のはずれにある小さな小屋のなかで、簡素な布の服を着て、嬉しそうにくるくる回っている。

「はい、お嬢様。
『婚約破棄のふりをして監禁しようと企む王子』から逃れるために、ここで暮らせというご命令がありました。

名目上は婚約破棄により学園に通う必要がなくなったので、『悪役令嬢』なんてしなくて良いのです」

「ーーー素敵なことだわ!カルロ様に捕らえられたら、部屋に閉じ込められて、外にも出られないと聞いていたのに!」

はやく村に行きましょう、とシアが急かす。一人で飛び出していってしまいそうなシアを、レイは引き止める。

「一人では危ないですよ、お嬢様。私と一緒じゃないと、出てはいけません。ご両親が心配しますよ」

「……それもそうね。ひとりじゃあぶないわ。行きましょう、レイ」

レイの手を引いて、シアは小屋を飛び出す。


「ーーーーーやっと、手に入れた」

「ん?何か言った、レイ?」

「いえ、お嬢様」





レイは、その金色の(・・・)長い髪を日にきらめかせ、それは嬉しそうに、笑った。
歪んだ主人への愛で、あくまで恋愛感情ではないです。



ってことでタグは勘弁してください……!ネタバレにびびりました!すいません!

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