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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記– 作者:星砂糖

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第67話「釈明と洞窟」

2017/6/4 20:15 崖を降りる前にハピネスを収納するように追記
「あ、えっと、おはよう」
「はい。おはようございます。それで、オキナさんは人形の服を脱がして何をしてるんですか?」

ミヤビちゃんは挨拶を返してくれたけど、ずっと手元のアザレアを見てる。
ミヤビちゃんが来たので降ろしたけど、覗き込んだことよりも服を着せてないのが問題みたいだね。
いや、覗き込んでたことも気になってるかもしれないけど。
そして、笑顔が怖く感じる。
頭の上に乗ったシロツキは目を瞑ってるし、肩に乗ったトバリは我関せずといった感じでそっぽ向いてる。
味方はいない!

「服は昨日の戦闘中に脱がしてて、今は服を着せる前に状態を確認してるだけだよ」
「昨日の戦闘中……。そうでした。戦闘中に脱がしてましたね。理由はわかりませんけど……」
「テンペストバードを地面に落とす時に黒い球が出たでしょ?あれはこのアザレアが出したんだけど、使うと肌と服が破けるんだ。だから、先に服を脱がしたんだ」

ミヤビちゃんが戦闘中の事を思い出したので、慌てて理由を話した。
理由だけじゃなくて、アザレアをミヤビちゃんの前に突き出すのも忘れない。
こうしたらアザレアの体に空いた穴がしっかり見えるからね。

「穴が空いてますね。黒い球も見えます。これ昨日の……」

中の球が出てきた球と同じかはわからないけど、納得してくれたかな。
肌に穴が空いてるのはわかるだろうから大丈夫だよね。

「服を脱がしたのはなんとなくわかりました」
「なんとなくなんだね」
「はい。初めから穴が空いてたかもしれませんから」
「あー。なるほど。ハピネスとクローバーもお腹に機巧(ギミック)があって、それを使うと破けるし穴が空くんだけど、まだ使ってないから空いてない肌は見れるよ。見る?」

ミヤビちゃんの前にハピネスとクローバーを置いた。
すると、おずおずと持ち上げて、服を捲り上げて確認してくれた。
ミヤビちゃんがハピネス達の服を捲ってもほのぼのした光景だね。

「穴が空いてないです……。この中にあんな攻撃をするものが入ってるんですね……」
「うん。ハピネスは刃がたくさん出てきて目の前の人を刺すみたいだね。クローバーは全MPを消費して攻撃するんだ」

丁度ハピネスを持っていたので、ミヤビちゃんがビクッとした。
手に持った人形から刃が生えて刺されるって言われたらそうなるか。

「服を脱がしたのはわかりましたけど、さっきのアザレアちゃんを下から覗いてたのはどうしてですか?」

やっぱりそこも指摘されるよね!
心なしかさっきよりもプレッシャーが強い気がする!
これはマサムネちゃんにモデルを頼んで描いた絵が、山頂の雪が積もる険しい山とそれを写す湖と、湖の周囲に広がる草原。
そこにポツンと佇むマサムネちゃんを描いた時に完成した絵を見せた直後のマサムネちゃんに匹敵するレベルだよ。
モデルを頼まれたのに自分が小指ほどのサイズだったら怒るよね。
あの時は事前に説明してなかった僕が悪いから焼肉を奢る事で許してもらえたけど……今回はどうだろう。
とりあえず、説明しないと。

「アザレアの体に空いた穴が見えない何かで塞がってるから、それをいろんな角度で見てただけだよ。どこから見ても透明だから気になったんだ。はい」

言いながらアザレアを渡した。
ミヤビちゃんはアザレアの穴に恐る恐る指を入れようとして、謎の物質に阻まれた。
そして、ミヤビちゃんもいろんな角度からアザレアを見ようとして、さっきの僕と同じポーズになった。

「それ!その角度!そのポーズはさっきの僕と同じだよ!」
「あ。そ、そうですね。これでオキナさんの行動がわかりました。ありがとうございます」
「うん。誤解が解けたならいいかな」
「はい」

ミヤビちゃんからアザレアを受け取って、アイテムバッグから取り出した服を着せていく。

「……った………たい…なくて」
「ん?どうかした?」
「いえ。独り言ですよ」
「そう。それで、この後はどうする?きた道を戻る?それとも別の道を進む?別の道だとイタズラモンキーが出てくるかわからないけど」
「そうですね。吸血バタフライは東と北の森にいるそうです。なので、東の道を下りて吸血バタフライを倒した後、帰り道でイタズラモンキーを倒すのはどうでしょうか?鉱石は見つけ次第掘ればいいと思います」

イタズラモンキーは帰り道で倒すのはいいと思う。
街に帰るならこの道をもう一度通るだろうし。
森を抜けてもいいんだけど、マヨ行ったら嫌だからね。
ミニマップがあるとはいえ迷う可能性はあるし、ゴールが見えない森の中を進むのは疲れる。

「わかった。それで行こうか。そうなるとハピネスだけでいいかな。クローバー、アザレア収納。人形の館(ドールハウス)

服を着替えさせたクローバーと、服を着せて元どおりの魔女っぽくなったアザレアを収納して、人形の館(ドールハウス)を閉じた。
離れたら自動的に閉じるから放置でもいいかもしれないけど、見られないとは限らないからね。
戦闘中はいちいち閉じてられないかったから仕方ないとしても、できるだけ閉じるつもりだよ。

「僕の準備はいいけど、ミヤビちゃんは問題ない?」
「はい。大丈夫です」

ミヤビちゃんはいつの間にか槍と盾を取り出していた。
そういえばさっきまでは腰に手を当てていたね。
座ってたせいで見下ろされてたんだけど、目以外はそこまで怖くなかったよ。

「じゃあ、行こうか」
「はい」

東の参道へ向けて歩き出す。
僕が先頭でミヤビちゃんが後ろなんだけど、職業的には逆な気がする。
苦戦するようだったら前に出てもらおう。

「そういえば崖の調査はどうなったんですか?」
「終わったよ。後は冒険者協会に報告するだけだね」
「どんな内容だったんですか?」
「崖から下を見ると出っ張ったところがあるんだけど、そこを見たらクエストが進んだんだよ」
「出っ張ったところですか?」
「うーん。出っ張ったところとした言えないなぁ。時間もあるし見てみる?」
「はい。お願いします」

崖の出っ張りを見ることになった。
ミヤビちゃんと合流したのは南の山道付近だから、東に向けて歩いていたけど、少し方向を変えただけで北側の崖についた。

「うわぁー。遠くまで見えますね!」
「そうだね」

さっきは崖ばっかり見てたけど、改めて遠くを見ると、森の奥には草原が広がってるし、森の中には大きな木が生えていたり、湖らしき場所もちらほらと見える。
川も流れてるかもしれないし、探せば花畑もあるかもね。

「ここから出っ張りが見えるよ。落ちないように気をつけてね」
「わかりました」

ミヤビちゃんはシロツキとトバリ、槍と盾を地面に置いて四つん這いになって崖を覗き込んだ。
恐る恐る覗き込んでいたせいなのか、シロツキも同じように覗き込み、挙げ句の果てに飛び立った。

「あ。シロツキちゃん……あれ?見えなくなりました」
「え?」

慌てて覗き込むと出っ張りにはシロツキは居なかった。
凹みになってるのかな。

「シロツキはあの出っ張りの所に行ったの?」
「はい。あそこに乗って、こっち側に移動したと思ったら見えなくなったんです」
「窪みがあるのかもしれないし、もしかしたら洞窟みたいな所になってるかもしれないね」
「洞窟ですか……私が見て来ます!トバリちゃん!自由の翼(テイク・オフ)!」

トバリが大きくなって伏せた。
ミヤビちゃんはトバリによじ登って、いつの間にか現れていた手綱を握って飛び立った。

「きゃっ」

トバリが勢いよく飛んだのか、小さな悲鳴を残して行ったね。
しかも、飛んでからも速い。
シロツキに乗ってばかりなのはこういう理由があったのか。

トバリに乗って飛んだミヤビちゃんは、出っ張りを確認した後も軽く飛んだ後戻って来た。
トバリが満足するまで飛んだのかもしれないね。

「うぅ……。トバリちゃんは速すぎます……」
「大丈夫?」
「はい。大丈夫です」

当のトバリは元のサイズに戻って周囲の警戒をしている。
ミヤビちゃんが速いと感じていても無視するんだね。
ヤンチャな子供に見えてきたよ。

「それで、あの出っ張りなんですけど、洞窟みたいになってました。シロツキちゃんは入り口で私を待ってる感じでした」
「そっか。呼べば戻って来そうだけどせっかくだし洞窟に行ってみる?」
「え?私は飛べますけど、オキナさんはどうするんですか?」
「試してみたいことがあるんだ。その前に人形の館(ドールハウス)。ハピネス収納。人形の館(ドールハウス)

雑貨屋で買ったロープを下ろしてもいいんだけど、岩に杭が刺さるかわからないから、繰り糸(マリオネット)で降りてみようと思う。
それをするにはハピネスが邪魔になるから収納したよ。

繰り糸(マリオネット)

地面に糸をくっ付ける。
確認のため糸を短くした状態で後ろに下がってみると、糸が張ったところで引っ張られるような感じになった。
僕が引っ張った程度では地面が動くわけがないからね。
糸を伸ばしていけばゆっくりと降りられると思う。

「これをロープ代わりに降りてみるね」
「大丈夫ですか?」
「うん。大丈夫そうだよ」

怖いけどね。
糸をできるだけ短くして、足を崖から出した。
足を引っ掛ける突起はあるんだけど、これでいいのかはわからない。
それでも、ゆっくりと糸を伸ばしながら全身崖に出すことができた。
後は降下するだけだ。

慎重に、ゆくっりと、確実に降りていき、何とか出っ張りまで辿り着けた。
何度もやりたくないけど、やってるうちに慣れそうだね。
そのためには糸を使った回避の練習もしないとダメそうだけど。

「きゅ!」

出っ張りに着いたらシロツキが一鳴きしたと思うと、すぐにミヤビちゃんがトバリに乗って降りて来た。

「糸で降りれましたね」
「うん。見ていてくれてありがとう」
「えへへ。少し心配だったので」

ミヤビちゃんは降りていく僕をトバリに乗って見守ってくれていた。
たぶん落ちたら助けてくれたんだと思う。
幸い落ちることはなかったからわからなけどね。
それに、落ちたら銀太郎さんみたいに後ろ足で獲物のように運ばれるんだろうね。

「あ。帰りの事を考えてなかった。糸で登れるかな?」
「糸はまっすぐ飛んでますよね。両手で交互にやれば登れそうですけど」
「そうだね。それか、森に降りるかだね」
「それでもいいですね」
「まぁ帰りのことはその時に考えようか。とりあえずこの先に進んでみよう」
「はい!」

僕はランタンに火をつけて、ミヤビちゃんはシロツキの出した光の玉で周囲を照らしながら洞窟に入った。
ミヤビちゃんの呟きは
「よかったです。変態じゃなくて」

うららさんが生産しながら見ていた掲示板で話題になったので、ミヤビちゃんに確認をとって知るところとなりました。
つまり、うららは知っています。
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