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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記– 作者:星砂糖

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北の山へ

人見知りが原因でうまく買い物できなかったことが原因なのか、ミヤビちゃんが落ち込んでしまった。
西区にある公園でしばらく時間を潰して落ち着くのを待っていると、ミヤビちゃんが顔を上げた。

「も、もう大丈夫……です」
「そっか。じゃあゆっくり行こうか」
「はぃ……」

まだ本調子じゃないようだけど、落ち着いたみたいだから噴水広場を通って北門へ向かおう。

できるだけ端っこを通って声をかけられないように進み、北門が見えるところまでき来た。
途中何人かがこっちというか、ミヤビちゃんの頭と肩に乗ってるシロツキとトバリを見ていたけど、その2頭が威嚇するかのように鳴いたので、誰も近づいて来なかった。
もしかして、誘拐だと思われてたりしないよね?


篝火に照らされた北門も、西門と同様に閉まっていて、横にある夜間通用門から外に出られるようになっていた。
ミヤビちゃんは夜間通用門の前に立っている騎士から距離を取りながらも、なんとか外に出れた。
それを見た騎士は苦笑いだったけどね。

外に出たことで、ようやく落ち着いたのか、ミヤビちゃんがコートの裾を離してくれた。
公園を出てからずっと掴まれたままだったんだよ。
掴みながらでも話はできたから、元気は出てるんだろうけど、人混みが嫌だったのかな。

「まっすぐ山に向かうけどいいかな?それとも、途中のモンスターも倒す?」
「えっと、まっすぐ行きましょう。シロツキちゃんとトバリちゃんは、や、山まで自由にしてもらいます」
「この辺のモンスターは竜に任せるってことだね」
「そ、そうです」

ブラウンラビットやグリーンフォックスを捕まえてくる2頭だから、夜に出てくるモンスターでも簡単に倒せるよね。
北の草原に出てくるのがブラックドッグかは知らないけど、そのブラックドッグですら数回地面に叩きつけたら倒せたし。
そこまで強くないから大丈夫だと思う。
さっき消したばかりだけど、ランタンに火をつけて準備完了。
これで、暗い草原でも、ある程度先が見えるようになった。

「じゃあ行こうか」
「あ、えっと、装備を出すので、その、待ってください」
「ん?あ、そういえば槍を出してないね」
「は、はい。大きすぎるので、街では、収納してます」

ミヤビちゃんは身長より長い突撃槍を持ってたんだよね。
基本的にシロツキとトバリが戦うせいで、あんまり槍を使うイメージがないけど。

ミヤビちゃんはアイテムバッグから、森でも使ってた突撃槍と、大きな白い鱗でできた盾を出した。
盾は僕が持っても膝上から首まで守れそうな大きさで、ミヤビちゃんなら体がすっぽりと入るほどだった。
多分ラージシールドだと思うんだけど、ミヤビちゃんからするとタワーシールドみたいになってる。

「こ、これは、職業クエストの報酬です。あ、あと、大楯術のスキルも貰ってます」
「装備とそれに対するスキルが貰えたんだね」
「そ、そうです」

左手で体が隠れるぐらいの盾を持って、右手で身長より長い槍を持ったミヤビちゃん。
アンバランスなんだけど、しっくりきている気もする不思議な感じがするね。
鎧も白いし、槍も盾も白い。
後はマントがあれば完璧かな。

ミヤビちゃんが職業クエストで貰ったものは、僕にとってのハピネス達になるのかな。
もしそうだとしたら結構な性能になるんだろうね。
使いこなせればだけど。

「そ、それじゃあ行きましょう。シロツキちゃん、トバリちゃん。よろしくね」
「きゅるる〜」
「キュル!」

ミヤビちゃんがシロツキとトバリを空に放った。
トバリは高く飛び、シロツキはミヤビちゃん前方に白い玉を吐き出してからトバリを追いかけるように飛んで行った。
白い玉はミヤビちゃんにとってのランタンみたいだね。
しかも、ミヤビちゃんが進むと白い玉も進む。
自動先行型の明かりで便利そうだね。

明かりが確保できたからか、ミヤビちゃんがしっかりとした足取りで歩き出したので僕も後を追う。
目的地は遠くに見えてる所々が剥げていたり、岩がむき出しになってる山だ。

山に向けて草原を歩いていると、シロツキトバリが時たま草むらに突っ込んでいく。
そのあとしばらくガザガサしたと思ったら、また飛び立つ。
それを何度か繰り返してるんだけど、僕が見ていることに気づいたのか、トバリが何かを掴んで飛び立ち、こっちに飛んできた。

トバリは掴んでいたものを目の前に放り投げてきたので、確認してみた。
それは猫だった。
ランタンの光に照らされたそれは、紫の体毛に黄色い瞳で尻尾の先が2本に分かれている。
根元から分かれてないから猫又ではないよね。
顔は何となく猫と分かる程度で、正直に言うと怖い顔だ。
なんて言えばいいんだろう。
デフォルメに失敗したお面みたいな崩れた感じだ。

紫の猫はトバリの攻撃でほとんど死にかけているからトドメをさせってことだろうけど、ここまで弱ってたら逆にやりづらいよ。

「た、倒さないんですか?」
「え?」

迷っているとミヤビちゃんが槍を構えて聞いてきた。
もしかしてトドメを刺すつもりなのかな?
いつの間にか随分アグレッシブになってるね。

「あー。僕は通常攻撃できるものがないからミヤビちゃんに任せるよ」
「わ、わかりました。えいっ」
「ギニャッ!」

掛け声は可愛らしいのに突き出された槍は鋭く、地面に横たわっていた猫を勢いよく吹き飛ばし、光に変えた。
さすがに貫通はしないんだね。
ちょっと……いや、だいぶ顔つきの怖い猫を小学生が槍で突き飛ばしてるんだけど、トラウマにならないのかな。
ミヤビちゃんを見てると、そんな心配はいらないと思うけど。

「い、行きましょう」
「あぁ。うん。行こう」

ミヤビちゃんが紫の猫を倒してから、なぜか紫の猫が見つからなくなったみたいで、シロツキとトバリがミヤビちゃんの近くを低空でクルクルと飛んでいる。
ミヤビちゃんが攻撃した時に猫が鳴いたから、それを聞いた周囲の猫が逃げたのかな?
シロツキとトバリが狩る時は声が出てなかったし、多分空中から首を狙って飛びかかってるんだと思う。

モンスターと出会わないまま歩いていると、いつの間にか山の麓まで来てしまった。
街側の山は禿山で、土と岩がほとんどだけど、少し進んで内側に入ると木々が生い茂り、場所によっては果実もあるらしい。

僕とミヤビちゃんが狙うロックワームは岩場に出現して、イタズラモンキーは山であればどこにでも出てくるみたいだね。
ミヤビちゃんが狙う吸血バタフライは森に出てくるとのこと。

そして、ミヤビちゃんの職業クエストは岩山の山頂で、僕が調査する予定の山小屋も同じ場所にある。
崖っぷちに関しても、山頂から森側に向かったところの崖らしいので、とりあえずイタズラモンキーとロックワームを倒しながら山を登り、山頂でクエストをこなした後、森に入って吸血バタフライを倒すことに決めた。

人形の館(ドールハウス)。ハピネス来い。人形の館(ドールハウス)
「は、ハピネスちゃんで戦うんですね」
「うん。一番安定して戦えるからね」
「な、なるほど」

トバリ先行させて道の先を警戒し、左手に持った盾を少し前に出しながらミヤビちゃんが進む。
それを僕が追って、背後をシロツキが警戒している。
ミヤビちゃんを守るように2頭の竜が周囲を警戒しているから、危なくなってもすぐにわかりそうだ。

これを見るとミヤビちゃんだけでも問題なさそうだけど、ミヤビちゃんは複数のモンスターに囲まれるとテンパるらしい。
それに、受けたクエストも複数人用だったので、誰かと一緒に行きたかったそうだけど、うららさんは服を作るのに忙しくて一緒に行けなかったんだって。
その時にちょうど僕に会ったからお願いしたらしい。
僕が同じクエストを受けてなかったら、冒険者協会まで受けに戻ってたかもしれないね。

山道を登り始めると、緩やかににST(スタミナ)が減りだした。
普段しない運動だから減るんだろうね。
これは、定期的に休まないと山頂にたどり着けないかな。
たぶん、僕よりミヤビちゃんの方がST(スタミナ)があるだろうし。

「あ、お猿さんです」

登山道みたいな所を登っていると、座って空をボーッと見上げている猿が1匹いた。
あれがイタズラモンキーだろうね。
体毛は茶色に灰色混をぜたような色で、岩場や地面に擬態できそうだった。

「僕がやっていい?」
「は、はい」
「ありがとう。同期操作(シンクロアクション)

ハピネスを置いて地面に座ってから同期操作(シンクロアクション)を使う。
問題なくハピネスの中に入ったので僕の体を見ると、いきなりグッタリとしたことでミヤビちゃんを驚かせてしまったらしい。
そう言えば同期操作(シンクロアクション)の説明をしてなかった気がする。

「お、オキナさん?大丈夫ですか?」

今の僕は喋れないからミヤビちゃんの前でジェスチャーで伝えようとしてるんだけど、こっちに気づいてないみたいだ。
こうなったら、さっさと猿を倒して早く体に戻ろう。

猿に向き直り駆け出す。
すると、猿もこちらを見てきてニヤリと笑った。
気づかれたけど、後3mもないからこのまま行くしかない。
右手に剣を(ライトセイバー)

右手を切り離しながらイタズラモンキーに迫る。
距離を詰めると、なぜかイタズラモンキーの顔が驚きに変わり、動揺し始めたので、その隙に剣を胸に差し込む。

浅かったみたいで倒しきれなかった。
イタズラモンキーはハピネスと距離をとったけど、そこまで離れていないので追いかけながら、左手に炎(レフトフレイム)
追撃の炎を浴びせて倒した。

同期操作(シンクロアクション)

以前解除した時は、ハピネスの頭から精神体のようなものは出てこなかったから、もしやと思って同期操作(シンクロアクション)を実行しようとしたところ元に戻れた。
もちろん、距離は空いてても、僕の体の方を向いてたけどね。

「あ、オキナさん。だ、大丈夫ですか?」
「ごめんね。スキルの説明をしてなかったよ。同期操作(シンクロアクション)は、僕の意識が人形の中に入って、人形を動かすスキルなんだよ。さっきまでハピネスとして動いてたんだよ」
「そ、そうだったんですか。言ってくれないとわかりませんよ!心配したんですから!」
「ごめんね」

ミヤビちゃんに謝りつつ歩きだし、右手を回収した。
次は左手だと思って一歩足を踏み出したら……落とし穴に落ちた。

深さはふくらはぎ程度だけど、戦闘中にハマったら大きな隙ができるよ。
もしかして、イタズラモンキーが驚いたのは、ハピネスが落とし穴にハマらなかったから?

まぁ、結果として僕がハマってしまったけどね。
落とし穴から足を出して、登山を続ける。
ミヤビちゃんはクスクスと笑いながら登ってるよ……。
ステータス(戦闘で消費)
※各種ステータスの()は防具の効果です

名前:オキナ
種族:人族
職業:人形使い(ドールマスター)☆5
Lv:5
HP:103/140
MP:696/710(10)
ST:114/114
STR:14
VIT:14
DEF:38(24)
MDF:140
DEX:320
AGI:14
INT:285(5)
LUK:50
ステータスポイント:残り18

スキル
繰り糸(マリオネット)Lv:2〕〔人形の館(ドールハウス)Lv:2〕〔同期操作シンクロアクションLv:1〕〔工房Lv:2〕〔人形作成ドールクリエイトLv:1〕〔自動行動オートアクションLv:1〕〔能力入力スキルインプットLv:1〕〔自爆操作(爆発は主人のために)Lv:1〕〔〕
スキルスロット:空き1
スキルポイント:残り10

職業特性
通常生産系スキル成長度0.01倍
通常魔法使用不可
武器装備不可
重量級防具装備不可

装備
・武器1:装備できません
・武器2:装備できません
・頭:なし
・腕:アニマルグローブ
・体上:グリーンシャツ、ワイルドコート
・体下:ブラウンズボン
・足:ステップシューズ
・アクセサリー1:なし
・アクセサリー2:なし
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