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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記– 作者:星砂糖

第1章 –World Wide(ログイン4日目)-

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客室の鍵束

「「それでは、客室をご案内します」」
「よろしくお願いします」

階段の踊り場でゼロフォーさんとゼロファイブさんが声を合わせて言って来た。
僕の後ろにはゼロワンさん、ゼロスリーさんに加えて、いつの間にかゼロツーさんも居た。
ここはホールだからいてもおかしくないけど、気づかないうちに増えるのは勘弁してほしい。

「あの……客室に行かないんですか?」

客室に案内すると言われてから30秒は経過したと思うけど、ゼロフォーさんもゼロファイブさんも動かない。
いや、2人で顔を見合わせたまま固まったと言った方が正しい。
案内すると言ったときは僕を向いていたのに、その後顔を見合わせてから動かなくなったんだ。

「ファイの東棟に行きましょう」
「お姉ちゃんの西棟がいいと思います」
「東棟」
「西棟」

僕が声をかけると、互いの管轄に向かわせようと静かな言い争いが始まった。
それぞれが相手を尊重しようとしているように見えるんだけど、合ってるよね?
仲良いよね?

「西棟と東棟でどう違うんですか?」
「「作りの違いは左右対称になっているだけです」」
「それならどっちでもいいですよね?」
「ファイの頑張った結果が見れます」
「お姉ちゃんの凄さがわかります」
「えーっと……」

言い争いを止めようと質問をしたけど、更によく分からなくなった。
左右対称の部屋ならどっちでもいいと思うんだけど、頑張り屋凄さって何のことだろう。
それぞれの管理の手腕かもしれないけど、僕が決めるとややこしいことになりそうなので、ゼロワンさんに目を向ける。
するとコクリと頷いたゼロワンさんが前に出た。

「今回は西棟に行きます。いいですね?」
「「はい!わかりました!西棟にご案内いたします!」」
「オキナ様、参りましょう」
「あ、はい」

僕はメイド服に覆われたゼロワンさんの背中しか見えてなかったし声音もいつも通りだったけど、ゼロフォーさんとゼロファイブさんは即座に返事をした。
姉妹にしか分からない何かがあったんだと思う。
あるいは正面から見ないと分からない何かかもしれないけど。

「こちらです。東棟の客室は向かい側の扉です」
「分かりました」

ゼロフォーさんを先頭に階段を登り、奥側の扉の前に案内される。
2階には左右それぞれ2つの扉があるんだけど、その入り口側が客室へと続くようだ。

客室へと続く扉の先は長い廊下になっていて、手前側を10mほど開けて、奥に扉が5つあった。
扉のない方には窓があって、そこから庭が見える。
正面玄関の先に噴水があるかと思って覗いて見たんだけど、ただまっすぐに石畳の道が敷かれているだけだった。
大きな洋館の前庭には噴水があるイメージなんだけど、この洋館にはないみたいだ。

10mほど開けているのはもう1つの扉から入れる場所のはずだけど、今は詮索せずに客室を確認する。
聞いたら答えてくれるかもしれないけど、入れないなら聞いても何もできないし、場合によっては行きたくなってモヤモヤするかもしれないからね。
資料室だったら無理矢理入ろうとするかも。

「どのお部屋も同じ作りなので、こちらのお部屋をご覧いただこうと思います。どうぞお入りください」
「ありがとうございます」

ゼロフォーさんが1番ホール側に近い部屋を開けてくれたので中に入る。
中は奥に広いワンルームで中央が開けていて、壁際にベッドとサイドテーブルに机と椅子と工房にもあったアイテムボックス、中央に魔道具だと思われる小さなシャンデリアが吊るされていた。

奥には窓があって白いカーテンが左右に纏められていて、窓から見えるのは花畑と噴水とベンチで、更にその奥には城壁のような高い壁があった。
噴水はこっちにあったのか……。

「客室はこちらの鍵をお持ちのかたに限り転移で入ることができます。使用方法は目の前の空間に向けて鍵を差し込み、右に捻るだけです。扉が現れたりすることなく部屋に転移します」

言いながらゼロフォーさんが鍵束を渡してきた。
大きな輪っかに鍵が5本繋がれている。
鍵側のボタンを押せば留め具が開くようになってるので簡単に外せる。
鍵には『W1〜W5』が刻まれていて、1から順にホールに近い部屋になっているらしい。

「オキナ様。こちらが東棟の鍵です」
「ありがとうございます」

西棟の鍵束を見ていると、ゼロファイブさんからも鍵束を貰った。
『W』ではなく『E』と刻まれているぐらいの違いしかなかった。

「注意点とかありますか?」
「「特にありません。部屋には鍵を持っているか、持ち主の許可がない限り入れません。それはオキナ様といえどそれは同じです。ちなみに鍵の回収は」」
「西棟は私、ゼロフォーに」
「東棟は私、ゼロファイブに」
「「仰っていただければ即座に回収いたします。」」
「このように」
「簡単にできますので」
「「よろしくお願いします」」

ゼロフォーさんとゼロファイブさんが手を振ると僕の手から鍵束が消えて、2人の手の中に現れた。
所有権とかどうなっているのか不思議だけど、そういう変わったアイテムなんだろうね。
レンタルアイテムとかそういう感じだと思う。

招かないと入れないなら男女で分ける必要はないだろうから、渡す人に希望を聞けばいいかな。
うららさんとミヤビちゃんは隣同士。
しのぶさんは……鍵を欲しがるかな?
源さんだけ逆側っていうのも寂しいだろうから、同じ棟にしたほうがいいと思う。

2人からもう一度鍵束を渡して貰ってアイテムバッグに入れた。
ちなみに、さっきの鍵を回収する技はアイテムバッグに入っていてもできるらしい。
その場合はウィンドウが表示されるらしい。
いきなりアイテムが消えたら驚くから、その機能があればまだマシかな。

「1つの鍵で複数人転移できるんですか?」
「不可能です」
「鍵を捻るという行為が転移の動作です」
「所有者のみが使えます」
「渡すことができるのは10人です」
「分かりました。ありがとうございます」

交互に話されるのは同時に話されるのと同じぐらい慣れない。
それでも、同時よりはマシだと思う。

ゼロフォーさん達の話を聞くと、工房を使う人だけに鍵を渡せばいい気がしてきた。
うららさんと源さんは工房を使うだろうけど、ミヤビちゃんとしのぶさんは使わないから鍵を渡しても休憩室として使うぐらいしかないと思う。

今の所食堂しか2人が利用しそうな場所はないし、それなら僕がパーティ組んで連れて行ってもいい。
とりあえず渡しておいて、他に工房の設備を使ってほしい人がいたら返してもらうのもありだけどね。
渡す相手はしっかりと考えよう。

僕が質問しなくなったからか、ゼロフォーさんとゼロファイブさんが話しかけてきた。

「「それでは私達からの依頼です」」

『職業クエスト:人形を使って物作り!
依頼者:自動人形(オートマタ)ゼロフォー、ゼロファイブ
内容:自動行動(オートアクション)は戦闘だけではなく生産にも使えます。
1つの物をひたすら作らせることもできますし、作成のお手伝いをさせることもできます。

工房の設備と人形を使って色々なものを作ってみてください。
自動行動(オートアクション)が設定された人形が何かしらの工程を行なっていれば成功とみなしてカウントします。
薬草を煮込んだ鍋を一定の速度でかき回す等、単純作業がオススメです。

報酬:【工房】Lv:5,初心者用農具セット
状況:0/50』

もちろん受ける。
報酬から考えると次に解放されるのは畑かな?
そうなると外に出れるようになるんだと思うけど、そこから街まで迎えるかな?

それにしても自動行動(オートアクション)で物作りか……。
マニュアルで設定する必要があるんだろうなぁ……。
プリセットパターンでクリアできるクエストの後にマニュアルでクリアするクエストを用意されてるとは思ってなかった。
マニュアルは面倒そうだけど、クエストならやるしかない。
頑張ろう……。

でも、使える人形が少ないから結構後回しになると思う。
生産スキルもないからね。
できるとしたら簡単な、本当に簡単な家庭科で習うような料理ぐらいだけど、厨房はゼロスリーさんが入れないって言ってたから無理だ。
何か簡単な物を探そうかな。

「「オキナ様。私達はここで失礼させていただきます」」
「わかりました。ゼロフォーさん、ゼロファイブさんありがとうございます」
「「またお越しください」」

部屋を確認できたので町に戻ろうと移送したら、階段の踊り場で双子に見送られた。
この2人は担当エリアからはあまり離れないらしい。

そしてゼロツーさんとゼロスリーさんに見送られて工房エリアへと転移、そのまま転移室へ向かう。
途中でゼロワンさんにクエストに困ったら他の人に頼ることをオススメされた。

助言なんだろうけど、どういうことだろう。
今この話をするということは、ゼロフォーさんとゼロファイブさんクエストだと思う。
でも、人形の館(ドールハウス)のクエストも家具を作って貰うという点では他の人を頼ることになる。
この事なのかな。

「それでは、行ってらっしゃいませ」
「あ、行ってきます」

考えている間に転移室に着いたので、ゼロワンさんに見送られて転移した。
とりあえず客室が解放されたことをうららさんと源さんに伝えないと。
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