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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記– 作者:星砂糖

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スキル選択ミス

まだ集合時間まで余裕があるし、橘さんもやることがないらしいので、落ち着いて話せるように少し移動して噴水広場にあるベンチに座った。

「はい。あげる」
「え?ありがとう」

座ってすぐに橘さんがアイテムバッグを操作して、肉の串焼きを渡してきたので受け取って食べる。
リアルで食事は取ったけど、こっちでは何も食べてなかったからお腹が空いてたんだよね。

「うーん、これも美味しいー!」
「本当だ。美味しい!」

何の肉か聞かずに食べたけど、たぶんブランラビットとかの肉だと思う。
僕が屋台に行った時は塩と胡椒のお店ばかりだったけど、今橘さんから受け取った串焼きはタレ使って焼かれていた。
と言っても醤油のようなしっかりとしたのじゃなくて、果物をベースに作られたものだと思う。
塩っけの中にフルーティな味わいがあるし。

「橘さんはどうしてこのゲームを?」
「友達に誘われたからだよ。爺はどうして?」
「僕は栄ちゃん……えっと、高嶺に招待コードをもらったからだよ」
「あー。高嶺君か……」

橘さんはナックルこと高嶺 栄次郎(たかみね えいじろう)が苦手なんだよね。
髪を金髪にしているから不良だと思われがちな橘さんだし、言動は少し自由奔放だけど、根は真面目だし成績もいい。
髪を染めたのも可愛くなるためという理由で、不良が嫌いな子だ。

栄ちゃんは不良じゃないんだけど、ボクシングをしているせいで顔が腫れた状態で登校してきたことがある。
橘さんはそれを見て苦手になったらしい。
絵のモデルをお願いした時に、頭ではわかってるんだけどどうしても受け付けないと言われたことがある。

ちなみに爺というアダ名を付けたのは橘さんなんだけど、他の人は呼ばないんだよね。
黒いアイツを想像してしまうらしい。
僕も黒いアイツとして呼ばれたら怒るかもしれないけど、橘さんはそんなことはしてこないから好きに呼んでもらってる。

「橘さんはどうしてこのゲームをやろうと思ったの?」
「セイン」
「え?」
「私のキャラクターネームはセイン。さっきまで爺って呼んでたアタシが言えたことじゃないかもしれないけど、ここではセインでよろしく。あ、呼び捨てね」
「わかった。セインだね。僕はオキナっていう名前でプレイしているよ」
「オキナ……爺でもいい?」
「まぁ、似たようなものだから好きに呼んでくれていいよ」

どうせ爺と呼んでくるのはセインだけだろうし、名前が長い人は省略されて呼ばれたり、あだ名で呼ばれることもあるはずだ。
変態と呼ばれないだけで十分だ。

「ありがとー!それで、プレイ理由だよね。えっとね、招待してもらったのもあるけど単純に興味があったからだねー。爺は絵のためでしょ?綺麗な景色が見たいっていつも言ってたし」
「正解」
「やったー!賞品はフレンド登録っしょー!」

正解と言われて両手を上げて喜んだセインは、慣れない手つきでフレンド申請をしてきた
ので、許可してフレンドになった。

「フレンド申請に慣れてないみたいだけど、あんまりプレイしてないの?」
「んー。初日からプレイしてるけど、フレンドは爺で2人目だねー。誘ってくれた友達と一緒に戦った後スキルを取りまくったら失敗しちゃってさー。1人では戦いづらくなったんだ。友達もβで知り合った人との付き合いもあるからずっと一緒にいれるわけじゃないし。だから、街のクエストをこなしてお金を稼いでたの」
「失敗?戦えないスキルで埋めたとか?」

戦いづらくなったから1人で街のクエストをやることにしたんだろうけど、誰かとパーティを組んで戦いに行かなかったんだね。
まぁ、自分は戦えないのにパーティに入れて欲しいって言えないよね。
それならクエストをクリアしてメルカトリア人と仲良くなる方が良さそうだ。
上手くいけばパーティに入ってくれるかもしれないし。

「似たようなものかなー。アタシの職業は☆4精霊使い(エレメンタルマスター)で精霊を使役して戦うんだけど、精霊が最初に使えるスキルは体当たりと属性付与なんだー。それで、友人に属性付与をして戦ってもらってたんだけど、いろんな属性が使えた方がいいと思って各属性の精霊スキルを取ったの」
「なるほど。それで攻撃手段が精霊の体当たりになったから戦いづらくなったといわけだね」
「せいかーい!」
「武器スキルは無いの?」
「火・水・風・土・氷・雷・木・光・闇の精霊スキルで埋まってるから無い!」
「そ、そうなんだ」

セインが胸を張って答える。
同級生の中ではプロポーションが整っているし、胸も大きいから目が吸い寄せられそうになる。
実際、近くを通った人がチラ見していた。

「そうなんだー。だから、爺が私を強くしてくれてもいいよ?」
「うーん。僕もパーティを組んでるからね。他の人達がいいって言ってくれたらかな」

精霊って言うぐらいだから強くなれば魔法を使えるようになりそうだし、属性付与で武器に属性が付いただけでも十分強くなると思う。
苦無だけだと火力不足のしのぶさんも、相手の弱点に合わせた属性で攻撃すればダメージが増えるはずだ。

問題はみんなが許可してくれるかだ。
精霊使い《エレメンタルマスター》は魔法使いじゃないけど大丈夫だよね?
ちょっと心配になってきた。

「よろしくー。そういえば爺の職業は何なの?」
「僕は☆5の人形使い(ドールマスター)だよ。人形に糸を繋いで操作するんだ」
「人形を使う……服を脱がす変態は爺だったの?」
「え?!あー、そうだね。でも、それは半分正解で半分外れだからね」
「うん、知ってるよ。情報修正されてたからね人形の能力を使うために服を脱がしただけだよね」

セインが知ってることに驚いたけど、1人で街のクエストをやってたということは空き時間も多そうだし、掲示板を見てたんだと思う。
だとしたら騒動から収束まで見られていたとしても納得できるけど……クラスメイトに変態だと書かれていたことが知られるのは恥ずかしい……。

「そっかー。爺が変態だったんだね〜。んふふっ」

セインがニヤニヤしながら僕を見てきた。
僕もナックルが変態だと書かれていたら同じようなことをするだろうから何も言えない。
といっても、既に戦闘狂の変態だと書かれているんだけど、変態のベクトルが違うから弄りづらい。
気軽に弄れるネタがあればいいんだけど。

「それじゃあ、アタシはそろそろ次のクエストに行くね!明日のクエストはまだ受けてないから、参加してもいいなら明日からなら行けるよ!」
「わかった。じゃあ、結果をメッセージで送るよ」
「よろしく〜。じゃあね。ばいば〜い」

セインは立ち上がると手を振りながら走っていった。
転けないか少し心配だったけど、問題なく人混みに紛れていった。
セインは運動神経もいい方だったからね。
僕だったら人にぶつかって転けると思う。

時間を確認すると集合時間までもう直ぐだったので、北門へと向かう。
パーティメンバーのログイン状況はしのぶさんだけ何だけど、ミヤビちゃんとうららさんも直ぐにログインしてくるんだろうね。

噴水広場にはまだまだ初心者装備の人が居るからか、ギルドの勧誘が多かった。
僕もギルドを作るか、どこかに入った方がいいのかな。
これは今直ぐ必要なことじゃないだろうし、追い追い考えよう。

北門に着くとしのぶさんが居たんだけど、なぜか建物と建物の間にひっそりと佇んでいた。
どうしたんだろう。

「しのぶさん、どうしたんですか?」
「え?!オキナさんには私が見えるんですか?」
「はい。普通に見えてますよ」
「そうなんですか。隠形(おんぎょう)スキルを取得したので試していたんですけど、パーティメンバーには効果がないようですね」
隠形(おんぎょう)というと隠れるスキルですか?」
「はい。相手の視界から消えるスキルなので探索や不意打ちに使えるかと思って取りました。通る人には気づかれてないみたいなんですけど、門番の騎士には気づかれました」
「レベルとかステータスの差でしょうか?」
「おそらくそうでしょう。スキルや私自身のレベルを上げて気づかれなくなるのが当面の目標ですね」
「頑張ってください」

見張りの騎士に気づかれなくなるのはマズイ気がするけど、大丈夫なんだろうか?
しのぶさんが不審者として扱われなければいいけど。

しばらくしのぶさんと他愛のない話をしていると集合時間になった。
だけど、ミヤビちゃんとうららさんはログインしていない。
何かあったのかな?
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