挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記– 作者:星砂糖

ログイン3日目

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

150/208

食堂と自動行動でできること

ゼロスリーさんの案内で食堂まで移動しているんだけど、僕とナックルにウェルカムドリンクを運んでくれた円盤がゼロスリーさんの後をふよふよと漂いながらついてきてる。
料理を食べるとステータスアップすることは驚いたけど、目の前に浮かんでる円盤の方が気になる。

これは何なんだろう。
機巧(ギミック)の一種かな。
だとしたら人形作成ドールクリエイトで作れるようになるかもしれないけど、そもそも人形ってなんだろう。

今は人型のパーツしか作れていないけど、動物も作れるようになるかもしれないし、ぬいぐるみも人形として扱われることがある。
それに、小さな人形のパーツも作れたから、果てには指人形を作って機巧(ギミック)やスキルで近接戦闘ができるようになるかもしれない。
人形なら武器を持てるからね。

作れる物について誰かに聞きたいけど、聞くとしたらゼロワンさんかな。
人形のレシピを探しに迷宮に行くのはまだ正面玄関が開いてないから無理だし、資料室も解放されてないからね。
ゼロワンさんはいろいろ教えてくれるから、とても頼りにしてる。

「ここが食堂やでー」
「おぉ……」
「すげぇな……」

食堂に着くと、ゼロスリーさんが扉を開けて入っていったので、続けて中に入る。
横長の部屋で、学校の教室3つ分ぐらいある。

中央にはテーブルクロスがかけられた机が横向きに設置されていて、椅子が手前と奥に10脚ずつの合計20脚用意されている。
奥の壁には窓があるのかカーテンが閉じられていて、天井にはシャンデリアがある。

1番気になるのは、入ってきた壁際と奥の壁際に立っている20体のメイド服を着た人形だ。
ゼロワンさん達と違って人工スキンは付けられていないので、メイド服から覗く手は球体関節が丸見えで、目を瞑ったまま微動だにしない。
椅子の数と同じということは給仕用の人形だと思うんnだけど、自動人形(オートマタ)じゃないのかな。

「それじゃあ手前側の右手奥の椅子に座ってください。ウチは軽食を取ってくるわー」
「あ、わかりました」

ゼロスリーさんが扉から出て行くと、僕達と一緒に移動してきていたゼロワンさんとゼロツーさんが苦笑していた。
ゼロスリーさんの態度が気になってるのかもしれないけど、やっぱり今の方が親しみやすくて好きだ。

「とりあえず座ろうぜ」
「そうだね。え?」

僕とナックルが右手奥の椅子に向かって進むと、壁際に立っていた2体の人形が動き出して椅子を引いてくれた。
急に動き出したので少しびっくりしたけど、人形は椅子を引いたまま動かなくなったので、とりあえず座ることにした。

「おぉ……」
「ありがとう」

腰を下ろす瞬間メイド人形が椅子を押してくれた。
丁度いい位置に押してくれたので、位置調整しなくて済んだんだけど、お礼には反応せず元の位置に戻っていった。
やっぱり自動人形(オートマタ)ではないよね。
でも、糸は繋がってないから繰り糸(マリオネット)で操っているわけではないと思う。
どうやってるんだろう。

「お待たせー。ん?どうしたんオキナ様。給仕人形をジッと見て。メイドさんが好きなん?」
「え?!いや違いますよ!」
「別にそんな否定せんでええやん。好きなものは人それぞれやし」
「確かにメイドさんは嫌いじゃないですし、ロングスカートなところはとても良いですけど、それを見てたんじゃないんですよ。あの人形が糸もないのに動いてたので不思議に思っただけです。自動人形(オートマタ)でもないですよね?」

メイド服はロングスカートの方が好きだ。
別にミニがダメってわけじゃないんだけど、ミニにするならメイド服じゃなくて良いと思う。
ロングだからこその仕えてる感がるんだよ。

「椅子を引いたのはオキナ様も使える自動行動(オートアクション)やでー。それぞれ担当する椅子に座ろうとする人がおったら引くように決められてるねん。他にもいろいろあるけど、何も条件に該当していない場合は壁際で待機するようになってるんや」
「これが自動行動(オートアクション)……。他には何があるんですか?」

自動行動(オートアクション)は、作成した人形条件をつけて、それが満たされた場合決められた行動を取らせるまだ一度も使ってないスキルだ。
僕はまだパーツしか作れないから、条件付けをして動かす人形がないんだよね。
ハピネス達に使使えるか分からないし、使えたとしてもどういう行動をとらせればいいかも分からない。

それに、自動行動(オートアクション)Lv1でできるのは、2つの命令じゃなくて2体まで設定可能なんだよね。
つまり、1体に対して1つの命令じゃなくて、複数命令ができるんだと思ってる。
じゃないと、ただ単に剣を振り下ろすだけの行動しか取らせることができないからね。
1体に対してたくさんの条件と行動を設定することで、糸を使わずに戦闘させたり、生産させたりする能力だということになる。
さっきの給仕人形の動きを見てると、たぶん合ってると思う。

「他の動きかー。それじゃあ、これを地面に落としてみてくれへん?」
「わかりました」

ゼロスリーさんからフォークを渡された。
そのフォークを地面に放り投げると、絨毯の上に音を立てることなく落ちた。

それに反応したのか、僕の後ろの壁際に立っていた給仕人形が動きだし、落ちたフォークを拾うとエプロンドレスの下から長方形の箱を取り出した。
その箱の中にはフォークが入っていて、それを僕に渡すと箱を元の場所に収納しながら壁際に戻っていった。
対象が食器を落とすと変えの食器を渡すように設定されているのかな。

他にも色々な動作を見せてもらった。
軽食としてサンドウィッチが出されたんだけど、食べ終わったらお皿を下げられたし、飲み物がなくなったら注いでくれた。
食前と食後でナプキンを交換されたり、立ち上がろうとしたら椅子を引かれたりもした。
どれだけ条件をつけてるのかはゼロスリーさんも分からないとのことだ。

ゼロスリーさんの後ろに浮いてる円盤も自動行動(オートアクション)で動いてるらしく、後ろでふよふよしているのは待機中だからだそうだ。
円盤が人形っていうところに違和感があるんだけど、動物なんかも作れるから結構自由が効くらしい。
円盤の場合内部に腕や足を入れて、装甲として円盤型の盾をつけている。
浮いているのは機巧(ギミック)とのことだ。

ちなみに、ここにいる給仕人形以外にも自動行動(オートアクション)が設定された人形はいるらしく、その全てが戦闘時の行動も設定されているらしい。
この館が襲われた時はゼロワンさん筆頭に戦うらしいけど、給仕人形や他の人形も戦いに参加するそうだ。
もちろん、ゼロワンさんは育てたモンスターを引き連れて戦うとのことだ。
先代は攻められることを想定してたんだね。
何かしでかしていたのかな?

「それで、ウチからの依頼はこれや」

ゼロスリーさんが言うと僕の目の前にウィンドウが現れた。

『職業クエスト:糸を使わず人形を操れ!
依頼者:自動人形(オートマタ)ゼロスリー
内容:糸を使った方が動かしやすいのはわかるけど、それだけやったら消費も激しいから長時間戦われへん。
決められた行動しかできへんけど、剣士や守備兵を作れば接近戦が、弓兵や魔導兵を作れば遠距離戦に対応できるようになるんやで。
他にも生産を任せることもできるし、自動行動(オートアクション)は便利なんやで。

というわけで、自動行動オートアクションを使ってモンスターを50体倒してみよか!
戦闘用の人形を1体プレゼントするから、それで練習やで!
報酬:【工房】Lv:4,スキルスロットオーブ
状況:0/50』

もちろん『受ける』ボタンを押した。
報酬もさることながら、人形が貰えるのも嬉しい。
人形が増えれば僕の戦闘力が増えるからね。

「それじゃあ、プレゼントの人形を持ってきてもらうな。イチ姉、お願い」
「こちらになります」
「え?」
「これが人形……なのか?」

ゼロスリーさんに言われてゼロワンさんが持ってきたのは、剣と盾を持った僕と同じぐらい大きさをした全身甲冑だった。
ヘルムのバイザーを上げると、中には木で作られた大型デッサン人形が入っていた。
見た目の装飾はほとんどなく、鉄の剣と盾を持った全身甲冑の騎士だ。

「これに自動行動(オートアクション)を使って動かしてモンスターを倒させればいいんですね?」
「そうやでー。でも、イチ姉から受け取ったハピネス達でもええよー」
「ハピネス達でもいいんですか」

だったら、騎士より機巧(ギミック)のあるハピネス達の方がクリアしやすいと思う。
アザレアに魔法を使わせれば複数を相手にできるからね。
機巧(ギミック)が使えるかは分からないけど。

「こちらの人形は名を刻んでいません。なので、オキナ様が名を刻むまでは人形の館(ドールハウス)に入れることはできませんし、今のオキナ様では名を刻むことができません。ですが、アイテムバッグに入れることが可能ですので、持ち運ぶ際にはアイテムバッグを使用してください」
「えっと、はい。わかりました」

アイテムバッグを開き、なんとか持ち上げようとしたんだけど上がらなかった。
これをどうやってアイテムバッグに入れようかな。

「糸を付けて自分で入らせればええんとちゃう?ビスク様はそうしてたで」
「それでできるんですか?繰り糸(マリオネット)

ゼロスリーさんに言われた通りにやってみたところ、問題なくアイテムバッグに収納することができた。
自分からアイテムバッグに入っていく全身甲冑はとてもシュールだった。
ナックルが鼻で笑うぐらいには。

「これでウチからの要件は以上や!もしも何か料理して欲しいものがあったら、いつでも来てな!」
「わかりました。何か作ってもらいに行きます」
「待ってるで!あ!でも、厨房には入れへんからな!ウチの料理をつまみ食いするのは命がけやで!」
「気をつけます」

食堂を後にしてゼロスリーさんと別れた。
ここまで連れてきたのは給仕人形を見せて自動行動(オートアクション)を紹介するためだったのかもしれない。
あれを見たあとだから、すんなりと理解できたし。

「それじゃあ、ヌシ釣りの森に帰ろうか」
「おう!オキナのおかげで腹も膨れたし、ステータスアップする料理もしれたから助かったぜ!また今度戦おうぜ」
「ナックルのおかげで職業クエストがクリアできたことには感謝してるけど、対戦はしないからね」
「そういうと思ったよ」

ゼロワンさんに案内されて工房エリアに転移し、どこの生産設備も見せることなく転移室まできた。
一応ナックルに生産設備を見るか聞いたんだけど「興味ない」と言われたからね。

「それでは、行ってらっしゃいませ、オキナ様」
「はい。行ってきます」

ゼロワンさんに見送られて転移室に入り、ナックルと一緒に魔法陣の上に乗った。
いつもの転移が始まり、視界が白くなった。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ