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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記– 作者:星砂糖

第1章 –World Wide(ログイン3日目)-

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ゼロスリーとキッチン&食堂

「よろしければキッチンへご案内致しますが、如何なさいますか?」

工房のレベルを上げるとゼロツーさんが声をかけてきた。
その後ろにはゼロワンさんも控えているんだけど、ナックルを見ている。
これはナックルも連れて行くのかという確認かな。

「ん?どこかに行くのか?」
「ナックルのおかげで、この館の行ける場所が増えたんだ。それで今から行くか聞かれてるんだけど、ナックルも来る?ちなみに増えたのはキッチンと食堂」
「おー。気になるし行こうかな」
「わかった。それじゃあ、ゼロツーさんよろしくお願いします」
「畏まりました。こちらです」

ゼロツーさんを先頭に、ホールの正面から見て1階右側の扉の先へ進む。
最後尾はゼロワンさんだ。

扉の先は長い廊下になっていて、右側には窓があって整えられた木が見える。
これも自動人形(オートマタ)が整えてるのかな。

チラチラと窓の外を確認しながらしばらく進むと、左手に両開きの豪華な扉が見えた。
ここが食堂かな?

「こちらが食堂になります。食堂となっておりますが、パーティホールとしても扱えます。先代の人形使い(ドールマスター)であるビスク様は、定期的にダンスパーティーを開いておりました」
「ダンスパーティーですか……」

そういえばスキルにダンス系の物があった気がする。
舞とダンスだったかな。
よく見てないから他にもあるかもしれないけど。

でもまぁ、ダンスパーティーを開くことはないかな。
料理は今から会う自動人形(オートマタ)に頼めば作ってくれるかもしれないけど、音楽ををどうすればいいかわからない。
蓄音機みたいなものがあるのかな。

それに、そもそも僕はダンスを踊れないし、パーティーを開くためにスキルを取るつもりもない。
ダンスパーティーを開く意味も今の所思いつかないのもある。
開くことで何か起きるなら考えてもいいけど。

「はい。もっとも、ダンスパーティーと言ってもビスク様が操った人形で音楽を奏で、操った人形が踊るというものですが」
「そうなんですか」

操作練習かな?
音楽を奏でながらダンスを踊らせるなんてすごく難しいと思う。
少なくとも今の僕ではできない。
後ろで「先代はぼっちだったのか……」とナックルが言ってるけど、違うよね?

「それでは、キッチンへ参りましょう。食堂の中は後程ご案内致します」
「わかりました」

豪華な扉の前を通ってさらに進むと突き当たりになり、左手に扉があった。
突き当たりになってるけど工房を解放すると通れるようになる可能性もあるから、キッチンは食堂の隣にあると覚えておこう。
突き当たりにあると覚えると、後で困るかもしれないからね。

「それでは、どうぞお入りください」

ゼロワンさんが扉を開けてくれたので中に入った。
中はいきなり厨房じゃなくて、机や椅子に配膳用のカートや食器棚などが置かれていて、奥にあるカウンターから厨房が見えるようになっていた。
ここにある机でも食事ができそうなので、できれば広い場所じゃなくてここで取りたいな。

肝心の厨房は、コックが10人いても問題なく作業ができそうなほど広く、このエリアからはスイングドアで仕切られている。
ここから見える範囲には誰もおらず、調理台には何も置かれていないし、シンクに洗い物が溜まってるといこともなかった。

「ん?何これ」
「何だこれ」

キッチンを見回していると、カウンターの向こうからグラスを乗せた円盤のようなものが目の前に飛んできた。
グラスにはシュワシュワと泡をたてる薄っすらと黄色い液体が入っていた。

「それはウェルカムドリンクや……です。中身はレモモンスカッシュや……です」

厨房へと続くスイングドアを通って、小柄な女の子が出てきた。
身長は150cmないぐらいで、瞳の色と髪は茶色で髪は肩にかからないぐらいの長さだ。
服装はコックスーツでコック帽を被っていて、見た目にわかるほど色々な刺繍が入っている。
以前ならただの刺繍だと思ったかもしれないけど、うららさんから魔法陣を刺繍できると聞いた今だち、その刺繍に何らかの効果があるように見える。

この子もゼロワンさんやゼロツーさんと同じく、作り物のように整った顔をしてるんだけど、さっきから無理矢理語尾に「です」をつけているせいか、ゼロワンさん達より親しみやすい感じがする。
別にゼロワンさんやゼロツーさんが苦手ってわけじゃないんだけど、より人間らしい雰囲気って感じかな。

あと、ドリンクの内容より円盤の方が気になるんだけど、これについては後で聞こう。
ナックルも飲んでるし、せっかくのウェルカムドリンクなんだから飲まないとね。

「初めまして。このキッチンと隣の食堂を管理しているゼロスリーです。オキナ様、よろしくお願いします」
「あ、はい。こちらこそ、よろしくお願いします」

ゼロスリーさんが帽子を取って挨拶してきたので、僕も挨拶を返す。
急によそよそしい雰囲気になったんだけど、チラチラとゼロワンさん達を見てるのは何でだろう。
僕が見てもいつも通りに見えるんだけど、自動人形(オートマタ)同士でしかわからないことでもあるのかな。

「それでは、こちらにお掛けになってください。キッチンと食堂の説明の後、ウチ……んんっ。私からのクエストをご説明させていただきます」
「わかりました」

ゼロスリーさんが引いてくれた椅子に座る。
ナックルの椅子はゼロワンさんが引いてくれたんだけど、その瞬間に「俺、メイドさんにお世話されてる。これがメイドさんだ」と変なことを口走ってたけど、無視した。

「それでは、キッチンと食堂の説明をさせても……いただきます」
「あの、無理せず話しやすい口調でいいですよ」

その方が言葉を訂正しない分説明もしやすいだろうし、今の頑張ってる雰囲気もいいけど、さっきの雰囲気の方が好きだ。

「えっと……」
「オキナ様がそれを望まれています。問題ありません」
「オキナ様ありがとう!さっきまでの口調は慣れてへんから助かるわー!」

ゼロスリーさんがチラッとゼロワンさんを見ると許可が出た。
さっきからゼロワンさんを見てたのは、口調や仕草を気にしてのことだったんだね。
もしかしたら、後ろに控えているゼロワンさんが見えないように指摘してたのかもしれないけど。

「それじゃあキッチンの説明をさせてもらうでー。と言ってもオキナ様から受け取った食材を使ってウチが調理をするだけやねんけどな。オキナ様から注文を受けたら言われたものを作るし、何も言われへんかったらウチにお任せってことになるよ」
「注文は食べたい料理を伝えればいいんですか?」
「せやね。あとは強化内容もやな。例えば攻撃力を上げたいとか、水耐性がほしいとかそういうの」
「強化内容?食事で強化できるんですか?」
「あれ?オキナ様は知らんの?」
「はい。ナックルは知ってた?」

食事は空腹にならないために取るものだと思ってたけど、どうやら強化もできるらしい。
確かにそういうことができれば料理をするメリットができるけど、そういった話は聞いてない。

「あぁ。街にある高級料理店で出てる料理はステータスアップするぞ。ただ、屋台で出てる料理だとアップしないな」
「僕も屋台で料理を食べたけどステータスアップはしてなかったよ」

いや、もしかしたら気づいてないだけで上がってたのかもしれないけど。
バッドステータスでアイコンが出るんだから、強化されても出るよね。
じゃないとラナンキュラスの機巧(ギミック)を使うタイミングがわからないんだけど。

「あー。それは食材と調理法が原因やなー。オキナ様がアイテムボックスに入れてる食材やと、強化できる料理は作りづらいねん。たぶん、他の人達も同じ食材を使ってるやろ?」

アイテムボックスにはブラウンラビットの肉とか、ステップボアの肉が入ってる。
あとは以前やってたポコポコファームの食材かな。
ブラウンラビットの肉とかは、ほとんどの冒険者が手に入れてるはずだから、屋台でも多く出てると思う。

「たぶんそのはずです。ということはいい食材と、食材に合った調理法で料理を作ればいいってことですか?」
「そういうことやなー。お肉にしても焼いた方がいいものと煮込んだ方がいいものがあるし、焼く前に叩いた方いい場合もあるし。そのためのレシピやでー」
「なるほど」

レシピがなくても料理はできるし、食べれば空腹じゃなくなる。
だけど、適した調理をすればステータスアップになるし、その調理法を記したものがレシピってことだね。
だとしたらレシピをどこで手に入れるかだけど、職業クエストとかでもらえるのかな。
レシピ自体がアイテムとしてあるかもしれないし、他にはメルカトリア人に教えてもらえそうだよね。

「とまあ、料理はそんな感じで次は食堂やね。食堂は食事をする場所やけど、会食か大人数で食べるときに使う場所で、人数が少ないならここで食べてもらってもええよ。もちろん1人で食堂を使うこともできるけど」
「僕は広い場所で1人寂しく食べるのは嫌ですね」
「じゃあ、オキナ様は基本的にここで食べるってことやな。食堂を使うときは事前に教えてもらえたらウチの方で準備するんで、よろしくお願いします」
「わかりました」

ここで食事を取れることになったので、1人寂しい思いをすることはなくなった。
食堂を使うことがあるのかはわからないけど、使うときはゼロスリーさんに伝えればいいみたいだ。
たぶん、ゼロワンさん経由でもいいんだろうね。

「説明は以上!それじゃあ、食堂を見に行くでー」

ゼロスリーさんに促されて立ち上がり、ゼロツーさんが開けてくれた扉から出る。
職業クエストは食堂で受けるのかな。
食事によるステータスアップは正式版からの実装です。
なので、βプレイヤーも色々情報を集めている最中です。
その中で高級料理店の食事でステータスアップすることが判明しましたが、序盤の資金で何度も食べるのは厳しい値段になっています。(1000G以上)
効果も1時間ほどで切れます。

レシピの情報はメルカトリア人が教えてくれているのですが、レシピを入手しても食材が足りていなかったり、スキルレベルが不足していて失敗しています。
また、一部料理スキル持ちは作成に成功していますが、表立って売るほどには至っていません。
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