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3-27 蹴りまくり

 皆が自動小銃を手にした。俺は全員に支援魔法をかけていった。


 速度を上げるファスト、防御を上げるプロテクト、そして体を強化するストロング。更にイージスの魔法で包んでいく。


「あ、ハジメー!」

 ロミオが俺達を見つけて叫んだ。


 子供達の前には、例の男の子が立って両手を広げて立ちふさがっていた。男達が乱暴に突き飛ばしたので帽子が飛んだ。


 帽子の中に隠されていた豊かな金髪が零れ落ちる。キッと睨みつけるが男達は下卑た笑いを浮かべるだけで、どうにもならない。


 驚いた。あの女の子があいつだったのか。女だと舐められるから男の格好していたのか。子供なんだから、そう変わらないと思うがな。


 男達はくたびれた革の服に剣を吊るし、髭の手入れも禄にしていなさそうな連中だった。探索者はこんな事はない。


 結構みんな身だしなみには気をつかっているんだ。全身獣人さんなんか、ハサミや櫛で上手に毛繕いしたりしている。


 何だ、こいつら。俺にビビってたんじゃないのか? 山崎を中心に全員が子供達を守る体制に入った。俺はロミオに聞いた。


「これはなんの騒ぎだい」

「こいつらが来て、ここを出て行けって」


 いつもは強いリーダーシップを発揮するこの子を、泣きそうな顔が年相応に見せさせた。


「ここは、ギルドがお前達に提供してくれているんじゃなかったのか?」


「うん、そうなんだけど、この手の奴らには関係ないのさ。所詮、力のある者が弱い人間を踏み潰していくんだ」

 少し俯いてロミオが溢した。


「おい、お前なんかがちょっと暴れたくらいで、俺達がビビっていると本気で思っていたのか? お前らなんか……」


 鋭いような鈍いような大きな音が、男の下卑た台詞を途中で遮った。


 俺がそいつの足の甲に、リボルバーの強力な44マグナム弾を撃ち込んでやったからだ。対魔物用のフォローポイント弾、要するに狩猟用の弾だ。

 

 人間相手の被甲弾と違って、命中すると弾頭がひしゃげて酷い事になる。軍用では使用禁止な代物だ。


「グエエエー、痛てえ、クソ痛え、畜生」


 俺は蹲って泣き叫ぶそいつを片手で持ち上げて、傷口に指突っ込みながら頭の上でぐるんぐるんとぶん回した。そいつは口から泡吹いて白目を向いていたが、構わずぶんぶんと音を立てて振りまわした。


「で、探索者ギルド管轄の解体場で、俺達探索者に無断でなんだって? そら、仲間を返すぞ」

 俺は思いっきり、奴らに投げつけたので食らった連中が5mくらい吹っ飛んでいった。


 そして、俺は素早く駆け寄ってガンガン蹴りまくった。悲鳴と苦鳴があたりに鳴り響いたが許してやる気持ちはさらさらない。


 さらに人間ボールとして蹴りまくった。全員呻き声を浮かべて転がっていたが、その内の1人を引き摺りあげて締め上げる。


「誰の指図で来た?」

 答えないので、ギリギリと喉輪で宙に浮かせる。なかなか答えない。

 そいつを頭から地面に叩きつけると、みんなに言った。


「ちょっと、こいつら連れてギルドまで行ってくる。ここの守備を頼む」

「あいよ。お前、本当に乱暴者だな」


 山崎は笑いながら手を上げて請け負った。こいつこそ、素手でやりあったら思いっきり剣呑な奴なんだが。他の連中も笑って言いたい放題だ。


「まあ、重機だって銃架がついているんだし。装甲は厚いよな。ある意味高機動車なんかより凄いわけで」


「いや、重機は使い方次第で強力な近接武器になりうるぞ」


 子供達は目を丸くしてみており、ロミオの目には明らかな尊敬の念が見てとれた。ああ、教育上よくなかったかな。しかし、この世界ではそんなもの糞食らえだ。


 あの女の子も呆然としている。しかし、我に返ったのかこう言った。

「私も連れていって。お父さんに説明するから」


 そして、俺は奴らに手錠をかけて車に放り込んだ。収納アイテムボックスで身包み剥いだ上に、右手と左足、左手と右足を手錠につなぎ、その上から結束用のバンド2本で締め上げた。


 そして、高機動車の荷台に積み込んだ。荷物は7個だ。そして、女の子に向き直った。

「名前は?」


「マリエール」

 うん、女の子の名前だな。


「ロミオ、じゃ後でな」

「うん。ハジメって凄く強かったんだね」


 はは。もしレンジャー訓練をクリヤしたような俺が、あまりにも弱かったら自衛隊も泣くだろう。


 今みたいに強いのは、なんか変な事になっているせいなんだが。他の連中は俺みたいな事にはなっていないらしい。青山なんか、魔物相手にあれだけM2を撃ちまくっていたのにな。


 俺はマリエールを乗せると探索者ギルドへと向かった。よくよく見れば、女の子らしい可愛らしい顔をしている。


 出会いが最悪だったので、可愛いなんて思った事がなかった。顔もよく見た事はなかったし。


「いつかはごめんなさい。あのままだと、きっと酷い事されたと思ったから」

 おお、しおらしい所もあるじゃないか。


「まあ、いいさ。ご覧の通り、暴れん坊でな」


 マリエールはくすくす笑うと、

「そうね。でも、あの子達には優しいよね」


 特に俺達だけってわけじゃないさ。日本人なら大概はあの子達に優しくするよ。


別作品ですが、「おっさんのリメイク冒険日記 ~オートキャンプから始まる異世界満喫ライフ~」

http://ncode.syosetu.com/n6339do/

も書いております。

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