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3-18 新しい面倒事

 俺達は、そのままブラックジャック、ダンジョン21の米軍司令部に立ち寄った。


 警備の兵隊に帰還を伝えると、最高責任者のジョンソン大佐がすぐに現れた。

『やあ、英雄諸君、お帰り』


 今のところ、俺だけが世界を行き来できるので彼らは俺達の部隊をこう呼んでくれる。


 殆どが専門のスペシャリストで構成されて半数はレンジャー資格持ちの、ある意味異世界行きのために編成された特殊部隊だからな。


『ただいま。御土産はバッチリですよ。キャッシュの準備はお済みですか?』

 俺は笑顔で挨拶した。


『割と早かったのだね』


『ええ、もう少し調査を続けるつもりなのでしたが、そうもいかない状況になりまして。一旦戻ってきたというわけです』


『というと?』

『その辺は、また中将も交えてお話しましょう』


『わかった。守山へ帰るのかね』

『ええ、帰還の報告をしないといけませんので』


 俺達は、高機動車に乗り換えて、帰還の途に着いた。

「ただいま戻りました」


 俺達は、雁首揃えて、師団長の前で敬礼した。

「全員、よく無事で戻った。成果はどうだ」


「はあ、一応、それなりに調査結果はあるのですが、色々と問題がありましたので一旦戻りました。再調査の必要はあります」


「問題か、何だ?」

「戦争」

 師団長は苦い顔をした。


「今すぐといった雰囲気はありませんが、われわれ自身がその兆候に出会いました。かなり、やっかいな内容です。我々の世界でいえば、全キリスト教徒対全イスラム教徒の、核兵器を含むスーパーガチンコバトルに全世界が巻き込まれるようなもんでしょうか」


「おまえ、それは最悪の事態っていわないか?」

 師団長は更に苦い顔になった。


「一応、正さんには伝えておきました。自分はなるべく向こうにいて、情勢を見極めたいと思います。こいつらは引き続き貸してください。こちらの世界のダンジョンにも、恐らく係わり合いがあるのではないかと」


「それは、どういう事か」

 師団長も俺の真剣な表情に、やや気色ばんだ声を出した。向こうで調べた事に関して、かいつまんで話したが頭が痛そうな顔をしている。


「色々問題がありそうだな。そいつらを貸すのはいいんだが、次回は他にも連れていってほしい人間がいる」


「え? 誰です! 変な人間は連れていけませんよ? あっちは半端じゃない世界ですから。ネイビーシールズでも連れていきたくないくらいです」

 むう、と司令は唸り、ボソっと言った。


「広報の女性隊員と視察の国会議員とその秘書、米軍関係者だ」 

 俺は頭を抱えた。また面倒な。政治の問題が出ちまったか。次はマスコミ連れて行けだな。


「100歩譲って、米軍現役兵士、しかも特殊部隊の人間まででしょう。ただし、絶対に連れていきたくないです。民間人である俺の生存確率が下がるから。奴らは俺の言う事など聞かず、現地の人間と必ずトラブルを起こす。俺達とは立場が違いますからね。俺達のようには行動できないはずです」


「駄目か?」

 半分わかっている声で聞いてきた。


「俺の治外法権特権を行使します。現地についたらその場で、そいつらは俺が全員始末しますから。魔物に食われたって言えば、それまでです」

「そこまで言うか」


 師団長は嘆息するとネクタイを緩め、

「わかった。その話は一旦無しにして、ゆっくり休め。明日、エバートソン中将が面談したいそうだ」

「はっ」


「やれやれ。帰ってくるなり、あれだ」


「ぼやくな、ぼやくな。明日は商談なんだろ。羨ましいぜ」

 青山が俺の背中を叩いた。


「お前らもせめて、ボーナスの査定くらいは上げてもらえよ。色々持ち帰ったんだからさ」

「まあ、難しいかもな。そのあたりはお前が一番よく知っているんだろうが」


 うん、公務員的な評価からすると、部隊を留守にして通常の仕事が出来ていないこいつらの評点は悪くなるおそれさえある。


 俺の顔も渋くなる。その辺は師団長と交渉かな。こいつら抜きで1人であっちに行くのは辛い。次回は特に魔物サンプルは充実させよう。


 一旦ここで別れて、俺は北名古屋市の自宅へと帰る事にした。前回の轍を踏まないようにと帰り道に大急ぎで電話したのに、お袋ときたら。

「あっそ」の一言だった。くっそ~。


 やや、お疲れモードで家に帰ったら、美希ちゃんが家に来ていた。


「あれ、お兄さん、御久しぶりです~。どこ行っていたんですか」

「異世界」


「えー、凄いー。なんか、疲れてないです?」

「あ、ま、まあちょっとね」


「あー、もしかしてー、異世界の可愛い子と~?」

「ふ、ふふ。と、当然だろ!」


 異世界の可愛い子(供)達なら、充分にもふもふしてきたがな。もっぱら耳とか尻尾とか。


「兄ちゃん、お帰りー。御土産は?」

「おう、ただいま。んーとな、こんなのどうだ?」


 俺が出したのは探索者の着る革の装備というか、割と軽装でその辺で着ていてもかっこいいで済むレベルのものだった。


 淳はガタイがいいから、こういうのを着てもいけるんじゃないかと思った。一応、何種類か買ってきたのだが。


「うおお、すげえ!」

 大興奮の弟。うん、割とこういうのは好きなタイプだよな。童顔で大人しい奴なのだけど。瞬く間に、戦士(格好だけ)が出来上がった。


「淳君、似合うよ~」

 といいつつ、爆笑な美希ちゃん。楽しんでもらえて何よりだ。


 色々持ち帰ったからな。また某国やロシアが欲しがって、どたばたしなければいいのだが。


「おや、まあ。コスプレかい?」

 お袋がコーヒーとお菓子を持ってきて呆れた声を出した。それから異世界での土産話に花が咲いた。


 別作品ですが、初めて本になります。

「おっさんのリメイク冒険日記 ~オートキャンプから始まる異世界満喫ライフ~」

http://ncode.syosetu.com/n6339do/

7月10日 ツギクルブックス様より発売です。

https://twitter.com/tugikuru

 口絵公開コーナーに試し読みページついております。



http://books.tugikuru.jp/detail_ossan.html

 こちらはツギクルブックス様の専用ページです。


 お目汚しですが、しばらく宣伝ページに使わせてください。


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