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3-1 自衛隊、異世界をパトロールする

 俺達は町をパトロールに出かけた。なあに、町を案内したというか、みんなでぶらついただけだ。


 みんな、無事にアイテムボックスは身についていたので、銃や装備はそっちに入れておいた。現地通貨もそれなりに渡してある。俺が呼んだので、こっちでかかる費用は俺持ちだ。


 驚いた事に彼らのアイテムボックスには、複製も再生できる機能もついていなかった。正さんだけじゃなかったのだ。


 俺の場合は自分の力で必死に世界を越えたが、奴らは単に俺についてきただけなので最低限の能力しかないのかもしれない。それでも、アイテムボックスは世界を越えれば身につく能力のようだ。


 米軍が欲しがるだろうなあ。内緒にしとくか? こいつらの浮かれ具合を見るにつけ、それはちょっと無理かもな。


 それに、こいつらには報告義務がある。奴らは公務員であり、今は勤務時間内であって任務で来ているのだ。


 だがみんな、浮かれる、浮かれる。特におたくな合田や池田とかは、はしゃぎっぷりが半端ではなかった。あれこれ出したり仕舞ったりと忙しい。そのままにしておくとキリが無いので引導を渡した。


「おい、お前らいい加減にしておけ。町へ可愛い子ちゃんの見物に行くぞ。それから正さんの店だ」


「おおっ、いかいでか」

 なんでもありの佐藤。


「ついにケモミミ美少女ちゃんとの邂逅か!」

 池田はケモナーか。


「いやエルフの君だろう」

 青山は普通にファンタジー好きだ。


「だからお前ら、ここは魔法少女だろうと何度言えば」

 そういや合田はそっち系だったな。


「早く飲みてえな」

 山崎もぶれない。


「全身毛むくじゃらの獣人美女もいるが、需要あるか?」

 俺の情報に全員ちょっと微妙な表情だ。


「肇、お前的にはどうなんだ?」

 すかさず、ケモナーの池田が突っ込む。


「うーん、あるような、無いような。でも、いい人だよ」

「ますます微妙だわ!」


「情報収集業務的には興味あるかな」

 合田のおたく魂は探求を求めているようだった。


 そういうわけで俺達は町へ繰り出した。まあ繰り出したといっても、元々迷宮入り口に何もかもが、ごっそりと集まっているんで、主要なものは全て徒歩の範囲だ。


 通りに人が多いので車は出したくない。何しろ全員が屈強の自衛隊員だ。歩くのはそう苦にならない。


 それどころか、日頃の課業がない分歩かないと体が鈍る。みんな帰ってからが大変になっちまう。毎日訓練はやるつもりだ。俺も参加しよう。


 全員、見事に迷彩服だ。さすがにフル装備ではない。あれは戦闘装備抜きで10キロくらいはある。規則で着ていなければならないので当然だ。


 俺も付き合った。2年ちょっと前までは、これが当たり前だったのだ。通りすがりに人々が珍しそうに振り返る。


 とにかく、町の女の子を見物して回る。探索者は案外と女の子も多かったりする。探索者ばかりではないし。


 自衛隊の男女比は、9:1だが、探索者は6:4くらいか。自衛隊の女性隊員では結婚相手は、ほぼ自衛隊員となるが、ここはどうだろうな。


 探索者もハードな職業のせいか、殆どは若い女の子だ。普通の人間は魔法使いの格好の子も多い。ケモミミ娘にエルフもかなりの割合を占めている。


 おっさんドワーフが完全にスルーされているのが笑える。かろうじて合田が記録を取っていたくらいか。


 町のパトロール任務を終えて、俺達は作戦目標地点へと到達した。


「ちわっす!」

「御久しぶりです」

「お元気そうで何より」

「変わりませんねー」

「どうもっすー」

「正さん、今日戻りました」


 俺達は店に入るなり、客の相手をしていた正さんの前で、でかい声で挨拶した。また、ご丁寧な事に整列して手を後ろに組み、休めの姿勢で。


「また、むさくるしい奴らが雁首並べたもんだな。というか、仕事着で飲みにくるんじゃない。店に来たんだから課業は終わりの時間だな。服はどうせ持っているんだろう。奥を貸してやるから着替えてこい」


 正さんも笑って、首を振って促した。


「じゃ、奥を借ります。あ、これ、うちの師団長から」

 俺は配達物を手渡した。


「おお、こりゃあ嬉しいね」

 正さんの好きそうな、日本酒の高い大吟醸だった。


「あと、まだ渡すものがありますから」

 そう言って俺達は奥へと消えた。


 異世界風味だが、コンビニのロッカーと倉庫を合わせたような感じの部屋で、さっと着替えを終えた。


 脱いで長椅子の上に置かれた迷彩服、鍛え抜かれた肉体。男臭さが部屋いっぱいに充満している。懐かし過ぎる雰囲気だ。


 俺達は、いつもの飲みに行くような格好で、店の方へと戻ってきた。

「これ、正さんの店から運んできました」


 そう言って出してきたのは、ビールジョッキの入ったガラス棚、とっくりやお猪口に、日本食用の食器。ウイスキー用のグラスもある。


「それと、これ。プロパンガスボンベを燃料にして動くコージェネシステムです。故障した時がやっかいなんですが。水の供給はタンクでやるしかないですかね。


 水道みたいなのもあったように思いますが、配管部品が合うかなあ。というか日本と水質が違うから、そこのところはどうなんでしょうね。非常用のガソリン発電機もあります。


 太陽電池パネルと蓄電池も持って来てありますので併用できます。俺達でも設置できますから。それと業務用の冷蔵庫です。正さんの店にあったランプなんかも持ってきましたよ。壊れても再生や複製はできますから。明日設置しましょう」


 俺は、店の真ん中に、設備用の物などをドンと出してみせた。他の客共も、目を白黒して見ていた。

 

 次回は、22時に更新します。本日から明日まで2時間おきの更新です。


 他作品ですが、初めて本になります。

「おっさんのリメイク冒険日記 ~オートキャンプから始まる異世界満喫ライフ~」

http://ncode.syosetu.com/n6339do/

7月10日 ツギクルブックス様より発売です。

http://books.tugikuru.jp/detail_ossan.html

 こちらはツギクルブックス様の専用ページです。


 お目汚しですが、しばらく宣伝ページに使わせてください。

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