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1-20 魔法適性

 食堂でのんびりと御茶をしていると、アンリさんが通りかかったので声をかけて呼び止めた。


 彼女は、肩先まで伸ばした自慢の金髪をかきあげながら、背筋を伸ばしてカツカツとやってきた。

『あら、ここにいるなんて珍しいわね。今日は何の御用?』


「この間、魔法があるって言っていたよね。あと念話の訓練をどうかなと」

『ああ、そうだったわね』


 少し思案顔で、両手に持ったファイルのようなものをテーブルの上で立てながら、

『じゃあ、先に魔法の適性があるかどうか見ましょうか。ついてきてちょうだい』


 俺は彼女の後についていくと、職員達が仕事をしている机の横を通りすぎて、小さな部屋へといざなってくれた。


 作り付けの棚の中から、30cm四方くらいの道具を持ち出してきて、テーブルに置いた。

『座ってちょうだい。まずは魔力量を測ってみましょうか』


 そういって、道具を俺の方に向けて、両手を乗せるように言った。言うとおりにしたら、

『あら、結構あるのね。この道具で測れる最大の魔力はあるわ』


「魔力って増えるものなの?」


『ええ、魔物を倒したりすると、なんていうか、その分が積み足される感じはするわね。ただそれも、個人差があって一概には言えないのよね。あなたは魔力が増えやすいタイプなんじゃないかしら』


 それは、ありがたいな。俺は複製の能力があるから余計に助かる。まあ、ダンジョンの中なら魔力は補充し放題なんだけど。


『ダンジョンの中なんかだと、魔力はすぐ復活するからいいけど、最大魔力量の大きい方が強い魔法が使えるからいいわね。10しか魔力が無い人は、20の魔力が必要な魔法は使えないからね。適性の無い魔法も使えないわ』

 うーん、後は適性しだいか。


『じゃあ、測るわね。この水晶を、セットしてと。これでよし。じゃあ、この水晶に手を翳して、魔力を注いでみて。量は少なくてもいいわ』

 えー、魔力を注ぐ。うーん、できるかな。複製をする時に魔力を消費するような感じでいいのか?


 やがて、球形をした水晶の真ん中が光りだしたかと思うと、白い光と、そして薄緑色の光が混ざり合い、それに紫色の光が加わり3色がぐるぐると回った。


『う、うーん。微妙な適性が出ちゃったわね。これは回復治癒・支援……それと、聖魔法ね。へえ、珍しいものを持っているのね。残念ながら、どれも戦闘用の魔法適性じゃないわ』


 少し考えた。とりあえず、武器は間に合っている。回復治癒はありがたいな。負傷した時の事を考えて、いつも頭が痛かったとこだ。ここに衛生隊員とかはいてくれない。支援か。


「支援って、どんなのがあるんだい?」

 もし、俺が考えるようなものがあるならば。


『そうね。自分の攻撃を強化するようなものがいいかもしれないわね。例えば、アローブースト。弓矢の矢の威力を上げてくれるわ。これは潰しが利く魔法で、剣戟の力や切れ味を上げたりとかも可能よ。そっち専用の魔法もあるから』


 ビンゴ。銃撃の力を上げてくれるものが欲しかった。


「アローブースト、いいですね。治癒魔法も。どうやったら、覚えられますか?」


『それなら私が教えてあげられるわ。治癒魔法は無理ね、御免なさい。そっちは他の人にお願いするわ。昼から時間があるから、今日はアローブーストと念話の練習をしましょうか』


 やったぜ! 美人教師つきで、魔法の鍛錬とは。異世界も来てみるものだな。


 修練場へと場所を移し、アローブースト習得のための訓練が始まった。


『とりあえず、ちょっと弓から撃ってみてくれる?』

 まず弓の使い方を教わるところからだった。習得はかなり先かもしれない。


 手取り足取りで、おっぱいが当たったり、顔が近かったりとかのラッキースケベ的な展開を期待していたのだが、それは無かったようだ。


 無念だ。まだ感触が思い出せる。かろうじて、弓が前へ飛ぶようにはなった。さすがは、力自慢な元土木自衛官だぜ。


 重機は使うんだけど、訓練内容には大幅に人間重機的な内容も大幅に含まれていたりする。


『今日はここまでにしておきましょうか。あの子達のところへ行くんでしょう? 明日は朝から付き合ってあげるわ』


 そうだった。もういい時間だな。俺は礼を言って、ギルドを後にした。


 歩いて解体場につくと、知らない女の子がチビの世話を焼いていた。10~11歳くらいか?


 スカートとブラウスに女の子らしい鍔のついた帽子を被っている。こっちを見て何か言おうとしてやめたようだ。なんだ?


 とりあえず、6体要求されたので出してやった。いつものように、飴をやって解散する。女の子も飴を舐めていたが、ちらちらこっちを見て帰っていった。なんなんだ。


 いつものように親父の店で換金を終えたら、せっかくなんで5号通路を行ってみる事にした。明日は行けそうもないしな。


 ダンジョンへと進み、5号通路を進軍していると、なんだ? 

 右手にヘッドライトに反応して光るものがある。もしかして。


 やはり、迷宮産の宝石だ。青に赤に緑にオレンジに銀色と。壁にビッシリと1メートル四方くらいの面積で生えている。という事はだ。


 射線の確保のために、左側寄りに車を止めた。手早く降りて、宝石をピッケルで剥がし始める。ちらちら周りを見ながら。わざと暗い方向に背を向けて、宝石に夢中な振りをして後方に全神経を集中させた。来たな。


 振り向きざまに、アイテムボックスから取り出した軽機関銃の弾丸を抜き打ちで浴びせた。5~6体の魔物が崩れ落ちた。


 人型で、猫背で妙に手足が長い感じだ。忍び寄るタイプなのか? 醜悪な顔に、尖って伸びた耳が不気味だ。


 まるで、低級悪魔か、小鬼か。ゴブリンではなさそうだ。鋭く伸びた手足の鍵爪が、昔の集団で狩りをするタイプの恐竜を思い出させる。不気味な唸り声を上げてくるが、お構いなしに続けて弾丸を浴びせまくる。


 7.62ミリ弾の連撃は、容赦なく奴らを撃ち倒して屍の山を築き上げていった。お代わりの軽機関銃をぶっぱなしつつ、倒した魔物をどんどん収納していく。


 全部で20体だった。もう、ざっと念じただけで散乱した全ての空薬莢を回収できる技術が身についた。


 壁の宝石も収納しまくった。ちゃんと壁から直接アイテムボックスに収納できた。迷宮産宝石は、本当に罠なんだ。


 元々、今日は長く潜る予定でなかったので、これで引き上げる事にした。今度から迷宮産宝石を見つけたら、車内から収納してトンズラこけばOKだな。


 宝石はなかなかのものだった。これは、せっかくだから原石で日本に持って帰ろう。下手すると金貨1000枚くらいの価値はあるかもしれない。


 迷宮宝石を見つけた人は、それで探索者をやめてしまう人もいるほどらしいから。


 町に戻ってから夕方までは、お店で色々とチェックして回った。結構つまんないものとか買ってしまったが、日本でなら受けるかもしれない。


 ネットオークションとかどうかなあ。まあ、こっちの世界でも人気の無いものだし。


 次回は、22時に更新します。


 別作品ですが、初めて本になります。

「おっさんのリメイク冒険日記 ~オートキャンプから始まる異世界満喫ライフ~」

http://ncode.syosetu.com/n6339do/

7月10日 ツギクルブックス様より発売です。


 お目汚しですが、しばらく宣伝ページに使わせてください。


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