1-19 探索の日々
翌朝、子供達をハンヴィーで連れて帰り、例の解体場で朝御飯を食っていた。
米軍へ納入する缶飯なのだけど、何故か自衛隊出身の俺には御馴染みのメニューばかりだった。
ネットで米軍缶飯と検索すると、何故か自衛隊糧食しか出てこない。ダンジョンにいる米軍部隊は色々我侭が利くんで、こういう事もあるようだ。
俺には、ありがたいけれど。まずいって言う人も多いが、俺には食いなれた味だ。子供達も文句を言わずにパクパク食っている。こればっかり食うと保存料とか多く入っているんで、肌荒れするけどな。
保存料まで複製できてしまっている。自衛隊員だって、普段は業者の人が作ってくれるご飯を食堂で食べているのだ。
昨日のウルボスは、いい金になった。都合、金貨200枚だからな。そうわらわらと群れを作っていることはないらしい。ビビって損したぜ。
今日は、午前中は餓鬼共と遊んでしまうことにした。言葉は通じないけど、そう困る事はなかった。
色々と日本の遊びを仕込んで、楽しく時を過ごした。今のところギルドの連中を除けば、こいつらが異世界で唯一のお友達だ。あ、マサさんもいたわ。
お昼に探索者ギルドの解体場に行き、子供達が一生懸命上手な解体を習っていた。
俺も参考までに習っておいた。あまりにもへたくそで、素材を駄目にしそうなんで、子供達から駄目出しが出てしまった。ま、まあ、覚えておいて損は無いさ。
どうでもいいけれど、ちっとも探索が進んでいないな。ギルドで5体解体したので、子供達も今日は早めに商売に出かけた。俺もダンジョンに行ってみるか。今日は3号通路の探索に行ってみた。
大広間の片側にダンジョン行きの通路が固まっているのに、よくこんな広い空間が1本1本にあるもんだなと思うのだが、何か特殊な空間になっているらしい。
収納空間を手に入れたりできるのは、そのせいらしいが。向こうから来る人間は、確実に世界を越えてしまうので、全員アイテムボックス持ちのはずだ。
こっちから越えた連中はどうなのかな。完全に向こうに出たわけじゃないと思うんだけど。
お? ヘッドライトの光に何かが映った。これは、「いつもの」だった。結構な数がいるようだ。
倒した時の損傷が激しいので、手榴弾は止めようと思っていたが、油断大敵だな。接近されたら終わりだ。やっぱり遠慮なく手榴弾を放り込み、軽機関銃を撃ち込んでおく。
残り20体まで減っていたんで補充出来て幸いだ。こいつは人気の素材で、そこそこいい金になる。今の手持ちは金貨295枚か。また宝石でも買いに行くかな。
今日は50体手に入った。在庫が70体になったな。意外と他の冒険者と会わないもんだ。まあ、それなりに進軍しているわけだが。徒歩の連中とは速度が違うからな。
ダンジョンの外へ出てから、気になる事があったのでギルドに顔出しをした。アンリさんを探したがいない。アニーさんがいたので訊いてみる。
「あの解体場の子供のところに1人大きい子がいるよね。あの子って、どういう子か知っている? たまにしか、見ないんだけど」
『ああ、あの子。あれはギルドの人の子なの。よく、あの子達の面倒を見にいっているわ。あなたが連中と揉めたときがあったでしょ。あのごろつき共の下っ端が、子供達の上前を撥ねているから多分文句を言いに行っていたのよ。許してあげてね』
また無茶をやる奴だな。そうだったのか。まあ勘弁してやろう。
『あれから、あの連中もあなたにビビって、あそこへは顔を出してないらしいし』
と付け加えて笑った。まあチンピラがいきなり重機関銃で銃撃されればな。
それから宝石屋に行って、琥珀色にギラギラ輝く大きな宝石と燃えるような真っ赤な宝石を、それぞれ金貨50枚ずつで買った。地球には無い不思議な輝きを放っている。大きいのでいい金になるかもしれない。
残りの金貨は195枚か。やっぱり、資金には少し余裕を持たせておいてもいいかもな。すぐには帰れそうもない。本当に帰れるのかいな。
今日もマサさんのところで楽しく過ごした。マサさんの故郷から来た人間という事で、他の探索者の連中も俺に気安くしてくれた。肉の美味い魔物のうんちくなんかも聞かせてもらって狩りの参考にした。
今日は午前中に4号通路へ向かった。なんと、早々にウルボスを発見した。しかも2体だ。俺は早速ロケット砲を2発取り出して、筒を引き伸ばし手早く発射準備を整えた。
落ち着いて発射する。凄まじい後方噴射を残し荒ぶる飛翔体が飛んでいった。あまり動かない奴なんで、今回もあっさりと頭に命中した。
もう1匹が下がろうとしたところを、続けて更に1発お見舞いした。ほぼ止まっている的なので、そうそうはずさない。
扱いは慣れてきた感じだ。的はでかい。前面に当てれば、ほぼ倒せそうだ。狭い空間でロケット砲を2発もぶっ放したんで、かなり周囲の気温が上がってしまった。
よく動く、でかい魔物が突っ込んでくる時は、どうしたらいいんだろうな。
そういえば、魔法の話を忘れていた。帰ってからギルドに顔を出したが、アンリさんは昼からしかいないという。ギルドの酒場で飯が食えるようなので試してみる事にした。
焼肉定食みたいなのがあったので、それにした。銀貨1枚だったのに、凄いボリュームだ。まるでアメ食だな。
だが、味は結構いけた。つい、全部平らげてしまった。日頃力仕事が多いからな。若い探索者向けのセットらしかった。パンが固いのが難点だ。
次回は、21時に更新します。
別作品ですが、初めて本になります。
「おっさんのリメイク冒険日記 ~オートキャンプから始まる異世界満喫ライフ~」
http://ncode.syosetu.com/n6339do/
7月10日 ツギクルブックス様より発売です。
お目汚しですが、しばらく宣伝ページに使わせてください。