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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

のこ短編集

殺戮探偵タヌキチちゃん

作者: のこ

タヌキチちゃんの名推理をお楽しみください。

 ここはいろんな動物が楽しく仲良く住む森、ハラハラズーだよ!


「キャー!!」


 森に響き渡る女性の悲鳴は媚媚のロリっ子みたいな可愛らしい声。この声は羊のしぃぷるちゃんだ。何が起きたんだろう。


 悲鳴を聞いた森の男どもが集まってきたぞ。鳥肉大好き虎のタイガくん。働かずに生きることが夢の熊のぷー太郎。最近調理師免許を取ったばかりのペンギンのペン太くん。やった! みんな大好き狼の狼牙さんもいるぞ! 狼牙さんがしぃぷるちゃんを食べれば一件落着だね!


 あ、男どもの中に一人女の子がいる! あれは本作の主人公にしてこの森で一番ヤベェヤツ! タヌキのキ○ガイ、タヌキチちゃんだ! 女の子なのに男の子みたいな名前で変だね。頭の葉っぱみたいな模様がチャームポイントだよ!


 タヌキチちゃんがなぜかみんな大好き狼牙さんに走りながらも執拗に足払いをかけている。何があったんだろう。


「可愛いからか!? 可愛いからか!? イケメンとて許せぬぞ!!」


 ただの嫉妬だね。狼牙さんはやさしいから、タヌキチちゃんを一飲みで食べてくれたよ。あーあ、主人公が死んじゃったね。もうこのお話も終わりかな。


 あ、でも、まだしぃぷるちゃんが悲鳴を上げた謎が残ったままだから続けよう。そうしよう。


 しぃぷるちゃんに何があったのかなぁ。そろそろみんながしぃぷるちゃんのもとにたどり着くころだ。


「「「「どうしたんだいしぃぷるちゃん」」」」


 みんなが一斉にしぃぷるちゃんに聞いたよ。


「さ、さ、殺人事件ですー!」


 ペタンと腰を抜かして涙を浮かべ、プルプルと震えているしぃぷるちゃんが指さしたほうを見ると、こんがり焼けたおいしそうなチキンがあった。あれは鶏の鷄郎さんの成れの果てだ! 「俺が死んだらみんなで分け合うんだぞ」が口癖の鷄郎さんだ! 誰がこんな惨いことを……。わざわざ今殺さなくても明日には加工場に行く予定だったのに。本当においしそうに焼きあがって……犯人は料理人かな?


「なんですってー!」


 ん? タヌキチちゃんの声がしたぞ? 狼牙さんのお腹からだ!


「ぐああああああああああああああ」


 狼牙さんがお腹を押さえて苦しみだしたぞ。大丈夫かな?


 徐々に狼牙さんのお腹が大きくなってるぞ? まさかと思ったら狼牙さんのお腹が破裂して中からタヌキチちゃんが出てきたよ。やったね! 主人公は生きてたんだ!


 目の周りが真っ黒なタヌキチちゃんが無事生還したね。タヌキチちゃんは最近睡眠不足に悩まされてて隈がひどいんだ。でも催眠薬を過剰摂取してどうにか眠れているからみんなも安心だね!


 でも、残念なことにみんな大好き狼牙さんは亡くなってしまったよ。やむを得ない犠牲だね。


「犯人は私が見つけて殺すわ!」


 血まみれのタヌキチちゃんに任せとけばどんな難事件もたちどころに解決だ! もう森の平和が取り戻されたも同然だね!


 あれ? 周りが静かだね。みんなどうしたんだろう。ペン太くんはこんがり焼けたチキンをタイガくんのために切り分けてくれている。さすが調理師免許を取っただけのことはあるね! タイガくんはこんがり焼けたチキンを食べるのに夢中だ! 鳥肉大好きだから仕方ないね。ぷー太郎としぃぷるちゃんはお漏らししちゃってる。もう子供じゃないんだから……。


 タヌキチちゃんがいきなりタイガくんを殴って風穴を開けちゃったよ。ものを言わぬ屍になったね。どうしてそんなことをしたんだろう。


「なに私のご飯を食べているのよ!」


 今日のタヌキチちゃんは朝ごはんを抜いてきたからお腹が空いてたんだね。太り気味を気にしてたのかもしれない。でも目の前においしそうなごはんがあるんだもの、やむを得ない犠牲だね!


 ペン太くんは目の前でタイガくんが殺されても全く気にしない。さすが調理師免許を取ったことはあるね!


 でもチキンを切り分ける手が震えているぞ? あ、タヌキチちゃんのお皿に運ぶ前に地面に落としちゃった。もったいない。


 タヌキチちゃんは無言でペン太くんの首を絞め上げてる。食べ物を粗末にする者には死を。自然の摂理だね!


 タヌキチちゃんはそのままこんがり焼けたチキンをむさぼり食べて、一瞬で完食しちゃった。朝ごはん抜きとはいえ自分と同じ質量のチキンを丸々食べるなんて食い意地はりすぎだよね。でも肉食系女子は流行りだし、流行に目ざといタヌキチちゃんは流石だね!


 食べ終わったタヌキチちゃんは獲物を狩る目でしぃぷるちゃんとぷー太郎を見たぞ。次の獲物はどっちかな?


「あ、あ、ああああああああああああああああ」


 しぃぷるちゃんが気が狂ったみたいに叫んだよ。怖いことでもあったのかなぁ。


「ぺ、ぺ、ペン太くんが鷄郎さんをちょ、調理しているところを見ました!」


 穴という穴からいろんな汁を垂れ流しているぷー太郎が犯人を教えてくれた! ……汚いね。


 あ、ペン太くんが犯人だったってことはタヌキチちゃんの有言実行は流石だね! 推理開始する前に犯人をやっちゃうなんて、すごい名推理だ!


 やっぱりタヌキチちゃんに任せとけば、どんな難事件もたちどころに解決だったね!


 タヌキチちゃんはぷー太郎の言葉を聞いて真っ暗な森の奥へと消えたよ。また会おうねタヌキチちゃん!


 残されたしぃぷるちゃんとぷー太郎はお互いに抱き合って涙を流しているよ。タヌキチちゃんの名推理が生で見れて感動しているのかな?


 ……やった! 今日は二人生き残ったぞ!


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[良い点] 冒頭からノックアウトされましたwwタヌキチのキチはまさか(自主規制)…しかも無謀な足払いが武器( ̄ー ̄)… 鶏の鷄郎さん殺人事件でツボりましたwwナイスなローストチキンが!本格ミステリなら…
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