第0話 非日常は唐突に!?
突然ですが、俺こと仙崎和樹は今とんでもない危機に陥ってます。
だって目の前には犬歯剥き出しにして涎ダラッダラ、血走った眼でこっちを見てる頭が二つある犬がいるから。
大型犬の五倍はあるほど体格に、口を開けば俺の体なんてすっぽり入るんじゃないか?
大体の身体的特徴を挙げたところで………………何処の研究所から逃げ出してきたのかな?
これ、合成生物って言うんだっけ? 非道徳的だかなんだかで禁止されてなかったか。てか、そもそもこの辺に研究所なんかねぇよ!
目の前の怪物が吼えた。空気がビリビリと振動し、俺の身体は石になってしまったかのように固まった。
(やっぱふざけてる場合じゃなねぇよな! なんでこんなところにこんな化物が!? おかしい、絶対におかしいぞ!!)
早く逃げろ、本能がそう告げるのに俺は動こうとしない。いや、動けないのだ。
化物は大きく口を開け、俺に襲い掛かってきた。あの鋭い牙にR-18指定の想像が俺の頭で飛び交っている。
死にたくない。死にたくないけど、もうどうしようも無かった。
母さん、先立つ不幸を許してくれ。
俺は諦めて眼を瞑った。後には牙が肉に刺さって引きちぎられ、ぐちゃぐちゃのバリバリでガツガツごっくんてな運命が待ってるに違いない。
が、いつまで経っても噛まれない。恐る恐る眼を開けてみると、
黒衣を纏った少女が、身の丈を超える大剣で化物を押さえつけていた。
「んなっ!?」
俺は絶句した。だって俺より身長が少し低い女の子が片手で化物を押さえつけているのだから。化物も何度も地を蹴ってはいるが少女はまるっきり動く気配が無い。
「ふぅ、なんとか間に合ったね♪ 大丈夫、仙崎和樹君?」
「え? なんで俺の名前を……」
「説明は後。とりあえず、今はこの犬っコロを片付けないとね」
そう言うと、少女は大剣で化物を文字通り弾き飛ばした。
「誰の差し金かは知らないけど、和樹君には指一本触らせない!」
大剣を肩に乗せ、空高く跳躍した。降り立つ場所は、化物の真上。
「チェストォォォォォォーーーッ!!」
その叫びと共に、化物を一刀両断した。
二つに断たれた化物はしばらくすると、黒い煙となって消えていった。
「イェイ、初勝利♪」
こっちに向かってピースする少女。俺は次々に起こった初めての出来事に未だ呆然としていた。
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