【80話】WHITE DEVIL
「瑞穂」
一人の青年がベットの上に横たわる少女に話しかける。
青年はフライパンを持ちながら、ドアの隙間から呼びかけるだけ、少女は少しだけ眉を引きつるが起きる気配は毛頭ない。青年は嘆息して部屋に入る。
「瑞穂! ご飯冷めるよ!」
耳元でそう叫ぶ。しかし少女は断固起きない。白い薄着で寝ている少女は青年の言葉に少しだけ反応するが、全く起きる気配はない。青年の眉間にシワがよるが、無理矢理に起そうとはしなかった。別に持っているフライパンで叩いても良かった。しかし、青年はわかっている。この少女にそんな事は出来ないと。
そもそも、この青年は卯月騎士と言うカメラマンだ。地道に紛争地域等の戦場カメラマンよ“やっていた”者だ。彼がココに居る理由は一つ、最も関ってはイケナイ“端”の存在までも嗅ぎつけてきたのだ。紛争は大抵は宗教派閥などの理由がある。ならば、その根元……“端”の者達が根回しをしたならば?
“端”は全世界に多数置かれている組織の総称だ。1部の地域とは異なる思想……思惑がある。“端”は別に全世界に置かれてるワケではない。そもそも“端”というは組織でもないのだ。
ただ、強力な力と思想を持った者達の集団でしかない(俗に言う、羽毛の衆)。だから、その思想によって入る組織は違うのである。“端”はウラの世界の最も深い層に居る連中の総称の事だ。だから組織なんて数百近くはある…と、思うのは違う。“端”は大きく分けて3つの組織で織り成しているのだ。まずは、頂点に君臨する組織【十二神】と【騎鋼師団】、【終焉】この3組織である、第一にSクラスの能力者はかなり少ない存在なタメにあってもすぐさま巨大な闇に飲まれるのがオチなだけで、他にも細かいのがあっては両指で足りる。
ソコに嗅ぎついてしまったのだ、卯月騎士は。そもそも、騎士と書いて騎士と読むのは強引すぎて彼は昔からイジメの対象になっていた。それに、ひょおんな事から不幸になるという産まれ持っての不幸体質なのだから仕方ない。
勿論、嗅ぎ憑かれた“端”の連中が黙ってるワケも無く、騎士を殺そうとする者が彼を襲うが、現状では彼は生きている。勿論、生霊、死霊などではなくて……だ。
それは、ベットで横たわる推定12歳の少女…神裂瑞穂によるモノだ。たまたま街を歩いていた少女である。騎士とは本当に無関係だ。そんな彼女に騎士は救われた。別に金を横流ししたワケでもなければ、“端”の者達が止めたワケではない。返り討ちにしただけである。
ウソみたいな事かも知れないが、14秒、彼の時計が間違えていなければ、正しい。
14秒で連中は死に絶えた。コンマ単位の動きをする者達からしたら少しは長いであろうが、彼から見ればまさに秒殺であった。
「起きてよ……」
そんな彼が何故に同姓(もとい同居)してるのかと、言うと。瑞穂が騎士がどうせ、コレからも命を狙われるのだから、どうせならウチに来れば良い……そのような言葉を言い、彼がお言葉に甘えただけである。ま、当然に端(外野)から見ると同性だ。しかし、彼女も12だと言うのに育つ所はかなり育っていてムラムラしない男は少なくないであろう。けれども……彼は別にそう言うのではない。別に彼は熟女趣味とか他の属性ではない(本人はノーマルと言い張る)が、自分でも気がつかない程度のロリコンである。
そんな、初っ端から変態視されているこの(少しは)ロリコンの彼が彼女にムラムラしない理由は一つだけ。
「…………いい加減にぃッ!! 【スパン!】 ………………」
1歩踏み出したと同時に頬に熱いなにかと音が聞えた。
そっと触ると指が真っ赤になっていた。機械的な動きで後ろを見ると……真っ白のナイフが壁に突き刺さっていた。
「…………蚊」
それが寝起きの少女が発した言葉であった。よくよく見たら刃先に蚊が一匹壁に刺さっていたのであった。
これでわかったように……彼女に手を出せない……と、いうか。彼女が恐いのであった。
第一、それは“端”の連中を相手にした時に気がつくべきであった、騎士であった。
「………………」
「………………」
前文で何処かのアホが失礼な事を言ってなかったでしょうか?
そうですか、なら幸いです。ん? 眼が冷たいですよ? 読者様?
お疲れなんでしょうか? それなら一回、仕事の事も忘れて紅茶でも甘いものを食べれば良いのではないでしょうか? それなら、100均の板チョコでも食べると……
ん? 違うと……なら良いんです。
「………………」
「………………」
ま、あの後は大人しくご飯を食べてるんです。ま、大人しくと、言っても無言なんですけどね。
基本的に瑞穂は無口だ。ご飯中の会話は「おかわり」「了解」という簡易なものだ、おかわりをするのは瑞穂の方だ。でも、おかわりするのは美味しい証拠であって、料理をしている僕としては嬉しい限りだ。最初の頃は「え〜」と言ったら脇差(真っ白)で脅された。
真っ白な脇差というのも彼女が脇につけてる刀の事だ。
村正……有名な妖刀だ。銘は【白】っと、いうらしい。
らしいと、言うのはただ彼女が何も言ってくれないだけである。
銘である【白】とは、その純白のデザインからである。刃も柄も全て真っ白から来ている。毎日、手入れをしてるようで毎日見れば少し綺麗になってる日もある。
村正【白】の切れ味は凄まじい、簡単に巨石をチリも残さず消えた程だ。
もちろん、一振りで。
「おかわり」
「了解」
差し出されたご飯茶碗を差し出して僕が受けるって、ご飯ジャーまで歩いて向う。
別に駆け足にする意味はないし……。だけど―――不思議なんだ。毎回おかわりを頼まれて立ち上がるとすでにおかずの量が僅かながら減ってるんだよね……ま、どうでも良いんだけど……。
「まだ、ヤツの消息が掴めないのか?」
「は、はい! 只今、ぜ、全力で捜索を…」
「見つからないと意味がねぇだろ。ヤツが我武者羅になって撮影してたカメラに“アレ”が入ったんだぞ!? ええ? コレが他の“端”にばれたら2つ共襲ってくるだろぉが!」
「は! 心得てます!」
「それで、見つからねぇなら意味ねぇんだよ!」
「ッ! 2、3日までになんとかします……」
「頼んだぞ。魔装騎兵は我等が騎鋼師団の切り札なのだからな」
「はい。我等が理想のタメに!」
「蒼譜ぅ〜♪ 私は行かなくて良いのかなぁ?」
「ん? ニナ…大丈夫だよ。別に相手が雨宮和也じゃないんだから…」
「古都宮瑠依は“DT”なんだよね? 大丈夫なのかにゃぁ〜?」
「うん。ニナの出番は来ないよ」
「それはそれで寂しい……」
「それに、ニナが来たら古都宮の家なんてドーベルマン(犬)だらけだよ?」
「…………い、行かないよ! 私!!」
「ははは、大丈夫。僕だけで十分だしね」
「WHITE DEVILは?」
「あまり動いてないな」
「騎鋼師団は最近怪しいな…」
「なにやら、兵器を作ってるみたいですね」
「ふん。どうせ魔具組織も関ってるのだろう?」
「だろうね」
「では……最大限の脅威は……」
「神路蒼譜……ロキか」
「ヒャハハ♪ いいじゃん、楽しければさ♪」
「やれやれだな…お前は」
「どうします? ゼウス?」
「まだ……動いても意味がないだろう?」
白は見定め。
闇より深き深淵の光。白き光は潜み、時を待つ存在…
鋼は追い。
世界を越え繋がる物。騎鋼は秘密を追い、それは、抹消の兵器…
闇は狙う。
その闇は、2人の運命を動かす存在、復讐の鬼神は、ある死神を…
そして、神は見物す。
全てが集う闇、全ての始まりと終り。全ての高みに存在する最後の扉…
闇は揃いつつある。光は闇に埋もれたまま、さ迷いし浪人。全てが染まりし時、物語は終盤へと移行する。其は全てが深淵に満ちた一筋の光なり。
雨宮 和也 彼が…全ての中心なりける存在なり。
さぁ、進めようじゃないか、深淵より深きカオスなこの物語を。
役者が揃うまで、役者が舞台で舞う為に……進めようじゃないか。
少年と死神の物語を。 |