【75話】死神狂乱【後編】
「ひゃははは♪」
オレはひたすらに走っています。
そりゃあ、もう……死ぬ気で。いや、死にはしないよ?
ただね……あの激痛はかなりの物なんだよね♪
死にも気絶も死にゃしないんだけど……寸前で止まるってのは死ぬより苦痛だ。
だってよう……気絶したら痛みは感じないけど意識があれば別………だ。
依然と、ゆらり…ゆらりと動くレナはかなり恐い。
しかも、「ひゃははは♪」っと、跳ね上がる口調で笑いながら一定の間を維持しつつ延々と追い掛けて来るのだ……。B級ホラー並の恐さを体験してる。
貴重な体験だ。………体験したくないな。
「そういえば……」
昔にラミアちゃん達になんか言われてたな?
思い出せ……凄くどうでも良かったヤツだけど!
『あ、和也さん』
『ん?』
『レナについてなんですが…』
『どうしたの? ラミアちゃん?』
『いえ、たいした事ではないんですけど……言っておくべきだと…』
『なに?』
『大丈夫だと思うんですけど……30分以上猫の近くに居るか、もしくは
イライラが最高調に達しますと……レナの馬鹿……壊れます』
『は?』
『私達じゃ、手も足もだせないので…和也さんならと…』
『うん。わかった、覚えておこうか……(どーでもいいか)』
………昔の自分を殴っておきたいか。その意見は尊堂するぞ? 文一よ。
どーでもよくないよ。うん。勝てる気はあるんだけど……直視したくないです!!
チキンでゴメンナサイ! へタレです!!
おい! そこのへタレと思ったヤツ!! 出て来い! 殴ってやる!
なに? 言ったのはお前だって? 誰が“言ったの”と言った! “思ったヤツ”だよ!
いいか? 国語ができない奴と英語のできる奴は嫌いだ!!
「めが ぐらびじょん♪」
でたな、十八番!
重力には逆らえない……だが、効果範囲から出たのならば…!
自分の足から少し離れた部分が少し沈んでしまう……。
こ、古都宮の床は殆ど核シェルターなみの強度と震度7にも揺るがない造りですぜ?
それが、意図も容易く沈むだと?
ま、簡略に言うと……手加減してないな! クソォォ(泣)
「てら ぐらびてぃしょっとぉ〜」
黒の球体を手の平で作る。この動作には見覚えがある。
【弾系】の魔法だ。レナの重力の弾丸は音速の早さだ“いなし”をするにはかなりの実力が要る程だ。弾丸なタメにクセを掴めば簡単だが、レナの場合は違う。
「かい♪」
手の平で潰して平たくした後に飛ばすんだ。ブーメラン状になった弾丸は簡易に叩き落せるものの、問題はその回転数だ、腕を使い物にならないようにしたいならやればいい、簡単に腕と二の腕を分けてくれるだろう、擦り剥いて関節部分まですり身にできる。そりゃそうだ、重たく鋭い無数の刃があるんだ。直で食らえば…ミンチの完成だ。
「おらよっと!」
DCで沈める。衝撃波ならば大丈夫だとは思ったのが誤りだった。
沈んだ、重力の円状の刃は地を這いオレの足を目掛けて低い場所から攻めてくる。
これは、別に良かったと言うのは変だけど……。オレが1番注意すべきだったのは……レナの動きであった。レナは既に天井をクッションに鎌を構えていた。
跳躍(?)したレナは全身に重力をかけてオレを目掛けて迫る。
空中で防御の姿勢をとるが、完全防御までは不可能だ。
と、なるとやっぱり……。
完全防御不可→0.5倍
重力+空中からの奇襲→3.5倍
本気→2倍
5倍の攻撃+断末魔の処刑鎌=究極の1撃。
だが……見様見真似のこのワザで!!
危ないのは作者だし……一回限りだし!
「きめぇ♪」
レナ、オレが攻撃だけだとでも? ま、そうなんだがよ……。
でも、これぐらいはできるんだぜ?
「へ?」
「龍…鉄風・雨ってかぁ♪」
鎌はオレの身体を裂かずに左腕に皮膚や服にも傷1つたりとも着いていない。
そりゃあ、当然だ。あの人の防御系の技のアレンジなのだから。
アレンジと言っても簡単だ。オレの場合は型をつくれず物質や固体の状態では5秒程度しか持たない、だから、防御をした瞬間に相手のどてっぱらに右手を当てて……全身に掛けていた氣を解き、溜める!
「破ッ!」
放出状態になる前に、鎌が皮膚を裂く前に吹き飛ばすッ!!
ディフェンス&カウンター。それが、龍鉄風・雨だ。まぁ、実用化は出来るんだが……流石になぁ…。
ま、始末書で済むかな?
オレはただただ、レナが吹き飛んだ時に空いた大穴を見詰めながら後ろ髪をボリボリ掻いてるだけだったっと、さ。
「もう、40万減給で」
「……死んで良いか?」
無論、減給処分だった。ま、核シェルターなんだから安く済んだぜ?
壁まで弁償ときたら破滅する。絶対にね。
以降も尚、カイリに懐かれたレナは夜な夜な布団の中で襲われて、オレの部屋に逃げて来たのは秘密だ。お嬢や魅夜、綾芽に知られたら殺されるからだがな。
そして、男子諸君! なんだね? その目は?
血気盛んですなぁ……しかぁし!! どこぞのラノベだ!! 煩悩はあるがエロい展開になるか!
ハハハ、血気盛んさらば、某撲殺天使でも読みたまえ!!
「ぅぅぅ〜〜っ」
「レナ、威嚇しなくても入ってこないから」
この阿呆の目の先にはオレの部屋のドアである。猫の入るのは設置されていにので入って来れないんだが、微妙なところで疑り深いコイツはずっと見詰めてるだけである。
猫嫌いなのに本当に猫っぽい奴だ。
涙目なのがより一層面白い、猫になんのトラウマが? 毛が逆立ってるし……
お前が猫じゃないのか? つくづくそう感じる。
「かずや?」
「ん? どうした」
一瞬、オレが何を考えてるのかわかってオレに声を掛けたのかと思って振り返ると、レナは涙目のままでオレをしっかりと捉える。猫みたいにパッチリ開いた目は涙を溜めていて、トロ〜ンと、眠たそうな眼をしているレナの目にオレは迂闊にも心臓が高鳴りする。
「魅夜は知らないけど……みんな知ってるよ」
「……………そうか」
オレは短くそう答えるだけだった。
そうなんだ……知ってるんだ。でも……なんで、オレを和也と…雨宮和也って言うんだ?
オレはたしかに雨宮和也だ。雨宮和也の心臓で生きてるだけで……身体は雨宮和也レプリカなんだ。オレには……その名の資格は無いのに。なんで? オレを苦しめたいのか?
「………和也、よく言うよね『自分で自分だって言えない限り自分はじゃない! でも、自分で自分だと言えるなら自分だ』って」
「そうだな」
状況が違うんだ。オレは、本当に語る名はなくて……その言葉の前者だ。
「ねぇ? 和也?」
「どうした?」
適当に答えてる事にレナは気がついてる。
なんとなく……目がそうだ。
「もし、和也が……自分を_『ん? どうしたの? カイリ?』むぐぅ!」
「…………………」
『和也の部屋がどうしたの?』
全身にイヤな汗が通る。レナも状況が把握できたらしい。
まずは、外の状況だ。
声の持ち主は魅夜だな…。そして、腕の中にはカイリが居る(っぽい)。
次に考えるのは中! ココの状況だ。
夜+男女+深夜+口を押えるタメに押し倒してる+ベット+完全防音(外の状況は聞える)+血気盛んな高校生の二乗=
…………………土下座の準備は良いかい?
無理だけど言い訳はOKかな?
撲殺で済めば良いんだけど……いいかな?
さぁて、逃げるか。
む? 意気地なしと言ったのは誰だ!!? 相手になってやるぞゴラァ!!
三千人殺しのかっちゃんだぜ? 事故で死んじゃうんだぜ…って、違う和也だな。
【コンコン】
控えめなノック音が静まり返った部屋に響く。
『和也…? 起きてる?』
レナの阿呆はベッドの上に布団の中で丸くなる。猫か貴様? 流石にバレるので、いろんなモノでカモフラージュする。どうやら、魅夜と話せと言いたいらしいな……この猫嫌い猫女は……。
「あ、ああ…」
(多分)完成したので、先程の言葉に反応する。
ううぅぅ……頼んだぜ? レナ……!
『ちょっと、入って良いかな』
「どうぞ」
レナがバレませんように……。
神頼みって、こういう事だよね?
この夜…久しぶりに、魅夜と面と向って話せた。
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