【52話】Six reverse coin's 幻対知
「やれやれ……まさか、君等が来るか……」
「……」
おやおや……だんまりか。
まぁ良い……倒すのみだね♪
「疾風よ!」
「……紅蓮」
ちぃ。相殺か……随分と魔力が高いこと♪
まぁ、5行で弱点を突かれたからねぇ……。
だけど……強行突破する!
手に持っていた傘に魔力を注いで剣を生成する。
走り間合いを詰めて突きを放つが横に避けられる。
同時に火炎弾を放つが将は防御魔法で防ぐ
「……うな重をお奨め……」
やれやれ……体力の衰えはやっぱり大きいか!
将はそう感じる。自分の身体が上手に動かないのは何百年も前にわかっていた
だが、若造に負けれる程、将の意地はあった。
能力的にも歩奈実が将を圧倒する……しかし、まだまだ将は本気ではない
「まだまだ……姿は高校生なんだ……もっと粘るよ♪」
実年齢はヒ・ミ・ツ♪
さぁて……野球場か……公園にしてはしっかりしてる……
※【ダイアモンド】野球場の形の事です
現在、将達は外野の方で戦っている。
両者1歩も引かない戦いだ
均等しているワケではない。歩奈実は実戦向きではないだけで、違う場面では歩奈実が圧倒する
それは、将もそうだが……桁と方法が違う。
『幻術』と『頭脳』……2人の決定的なバトルスタイルだ
歩奈実の『幻術』が優るか? 将が持ち前の『知識』が優るか?
それが、ワケる。
「迸る旋律。勇ましき戦慄。狂いの五経……」
この呪文は……。
持ち前の知識をフルに使う。
歩奈実のやろうとしている幻術を考える。
呪文の中にある意味を瞬時に訳する
距離を取って、歩奈実から遠ざかり呪文を唱える
「反響魔法・リバースサウンド」
「……!」
音系の魔法には反響魔法を……。
そして最も適用するのは……下級には中級の反響
それと同じように
中→(には)上
上→(には)下
これを……しっかりしたら……!
音系タイプの魔術は反射でいる。
「解」
よし……幻術を解いた。
「突」
腹部目掛けて傘もとい剣を刺す
「ちぃ」
刺された部分から霧状に掻き消える。
ミストゴース!? しまった!
「フレイムエッジ」
芝刈り機の刃みたいな円状の刃が将を目掛けて来る。
将はすかさず傘で防ぐ
くっ……! 押し負けてる!!
足で踏ん張るが土がぬかるんでいるタメ徐々に靴が滑る。
押し負けるのも時間の問題……ではなかった
「は!」
「しま!」
バックを盗った歩奈実が将を蹴り飛ばしたのだ。
傘は吹き飛ばされ刃は将の腕を深く抉る
「ぐがぁッ!」
血が凄い勢いで流れる。
危ない血管まで傷つけたかもしれない。
くそ……。
やっぱりこの状態では限界か……な?
回復魔法を腕に掛けながら相手を睨みつける。
歩奈実は鎌を召喚し構える。
武器は吹き飛んだ……ある場所はセカンド付近……。
憑依したとしても……スレイプニルみたいに肉弾戦は不向きだし全力で3分ぐらいしか戦えない。
3分ではやっと決定的なダメージを与えられる程度……勝てない。
半憑依でも互角か……。
30秒……30秒だけでも時間を稼げれば……。
勝機は見える!
このダイアモンドを活かしてできる事……。
この場を活かす……あの魔法ならば……!
将は駆け出す。
目的地点はピッチャーマウンド。
残り68m前後
公園といってもかなりの大きなものだ。
少年野球や中学校や高校での大会にも使われるグラウンドだ。
結構な距離がある。
「……? スキル開放 幻影の魔狼鎌/ファントムフェンリル」
<……出番>
「幻狼!」
鎌の刃先から白い霧状の狼が将目掛けて『駆ける』
実態が……ある?
そう思った瞬間、太腿を『噛みつかれた』
「なっ!?」
幻覚じゃ……ない!?
「幻覚……だけど物質」
……なるほど……。それが鎌の能力か……!
あの攻撃は回避不可能……か
「ちぃ!」
傘を持ち直して、再度、マウンドへ向う。
20秒
「……アースエンド!」
「ウッドウォール」
全方向から迫り来る岩を周囲に木を張り歩奈実は防御する。
追撃に炎の槍が木の壁を燃やす。
だが、歩奈実の姿はその場に無かった。
上ッ!
「ライトニング!」
「アースフォース」
落雷が歩奈実目掛けて落ちるが土の守りを作り防ぐ
「幻狼!」
霧状の狼が将の腕を狙いに飛び掛ってくる。
冷気の槍を飛ばすが狼は擦り抜けて狼は空気中でもう1度形ができ、将に近づく
くっ……! 対象物に触れることで実体化する幻術か……。
幻術の命中率は100%
弾き返す事や術者が解かない限り……当たる……くそ!
「やれるだけ……やる! フレアランス」
炎の槍は霧を蒸発させる所か水分によって無力化される。
先程の氷は凍らせるどころかすり抜けた……他になにか……?
考えて考えて考え抜く。
攻略の方法を……。
「残された最後の手! 吹き飛べ! ウィンドストーム!」
狼は吹き飛ばされるが上空でまた形を作る。
5秒!
歩奈実は鎌を持って間合いを詰める。
定位置! 4秒……
傘で鎌を押える。
力量の差がある……! 押し負ける……!
「そもそも……傘と鎌なら……! 鎌が勝つかぁ……」
「……魔力にもよるけど……」
そりゃそうだよね……ま、魔力を「あちら」に集中してるから仕方ないか……!
3秒……耐え抜く……!
「……!」
「遅い!」
すかさず離れようとする歩奈実に対して将はローブのフードを放さない。
「……」
「へへ……♪」
Wノックダウン……で、いこうよ?
残り2秒……はは……食らいなよ
我の奥義……!
1秒……。
勝った……負けでもない……。
「銀狼の錬魂鎌/レクイエムフェンリル」
「!?」
なにをしようが……! 遅い!!
「プリズムエンド!!」
球場のそれぞれの角の部分から中心に向けて閃光が伸びる
中心……将達の真上でボール状のものが浮上する。
「……0!」
……えっ?
「私の勝ち……」
なにが……!? プリズムエンドは?
なにが……起こった?
「ローブを脱いだのか? でも……?」
「……私の放った攻撃……」
? なにを……?
そういえば……あの狼は?
「つくづく……狼に運がない……」
まさか……?
あの狼は……?
「私の幻術で見えただけ……」
「召喚……獣!?」
「……正解」
あれは……最初から召喚獣を……
幻影の狼に見せられてただけ……!?
あの……狼を?
なら……プリズムエンドを……飲み込んだのか?
「私の策略はどうでしたか?」
<私の指示だがな……>
「オーディン」
ははは……バレてたか?
外見ではおやっさんがオーディン役だったんだが……四二神はソコまで阿呆じゃないか……しまったなぁ……。
負けたや。
『グルルルル〜!!』
「お仕舞い」
後ろにはフェンリル……前には死神……か。
やれやれ……。
ゲームセットか……スレイプニルに怒られるな……
「……最後の……足掻きくらいしようか……」
3分間に……全力をかける!!
「憑依…!」
させまいと歩奈実は【変化】中の将へと。
鎌を突き刺した。
血が辺りの雨水と同じく。土が吸っていく。
静かに歩奈実は鎌を抜いた……。
「……くっ……神名……もぅ……魔力ない……」
歩奈実はその場に鎌を杖の代わりにして、朦朧とする意識の中。
ゆっくりと真琴の場所へと向った
それと同時に男性の叫び声が公園に響き渡った。
が、将の耳には届かなかった。
―Kazuya Amamiya―
「知るか!」
「……お前の存在は罪だ」
オレの存在が罪だぁ!?
はぁん! くだらねぇ!!
「死神にやる魂なんかこれっぽちもねぇよ!」
「……『作り者』が……ほざくな!!」
作り物!?
さっきからわかんねぇ野郎だ!
和也は自分の鎌を取り出し、真琴と対峙する。
今日は「この」和也の運命が大きく変わる日……
それを、知る筈がない。
しかし、それを勘付いた『もう1つのイレギュラー』は感じ取っていた。
レナ・フォード=ライズ・ハールドという存在が。 |