【29話】翻弄されるオレと帰ってきた天敵
「和也ぁ!! 遅刻しちゃう〜♪」
「なんで語尾に『♪』をつける!!? もとはお前が…………? 」
自転車が壊れた事もありオレ等は走って学校に向かっているのだ、さすがに、自転車で5人のりしたオレが悪かった。
そんなことはどうでも良い。なんで全力疾走してるのかというと・・・。
レナが原因だ。
この馬鹿………。いや、愚痴るのは後だな・・・。『お客さん』がいるからな。
「あ! ちょっくら忘れ物したわ。先に行っててくりぇ☆」
「? 馬鹿ねぇ〜。もちろん先に行くわよ」
ふぅ、馬鹿で良かった。でも、セフィリアもラミアちゃんも気がついてるな………。
ラミアちゃん、学校に着いたら一応『気をつけて』ね。
「気を……うぐぅ!! 」
セフィリアがラミアちゃんの口を塞いでくれたので助かった。
さんきゅ。
しばらくして、4人共見えなくなった。
さてと・・・。
「・・・・・・5,6人か」
オレは路地裏の一角を睨みつける。そもそもおかしいよな・・・。朝なのに、一人も居ないなんてよ
「雷術・・落雷」
「!!? 」
か、雷だと!?とっさの奇襲にオレは少し反応が遅れる。
「禁術・・死霊召喚」
バックステップで避けた後、オレの周りからゾンビと思しき物体が現れる。
実に80以上、しかも、尚も上昇中☆
って! ざけるな!!
黒フードの男が6人、路地裏から出てくる。
どれも同じ体系の女性だ、オレの目は誤魔化せないぞ! どれも、Eカップ以上だ!!
ふふふ。女に餓えたせいで妙な能力が備わったじゃねーかよ!!
もとは、居候にビビッて『右手と遊べない』のが悪いんだよ!!
あ、分からない人は知らないままでいいです。親なんかに聞いちゃいけませんよ!
「さてと・・・何が目的なのかな? 」
「キサマは分かっているのだろ? 」
1人の黒フードが1歩前に出る。
「さぁ? なんのことやら」
オレは細く微笑む。そうか、こいつ等が『レナの力』を狙ってるヤツ等か・・・。
おもしろい! 魔術を使う相手にどれほどオレの力が通じるか・・・見極める!!
「やれ」
黒フードAがゾンビに命令する。オレを囲んで行ったゾンビが一斉にオレに襲いかかる。
ふぅ、先にこいつ等を始末したら相手になってやるってか?
「なめんなよぉ!! 」
跳びついてきたゾンビに回し蹴りで薙ぎ払う。後ろから来たヤツ等に裏拳を1発。
これだけの数だ! 手数だ、手数で攻める!!
ダメだ! こいつ等・・・倒すのより増えるのが速い!!
オレが10匹ぶっ殺すより敵が20匹増えるってかんじだ・・・。
仕方ない、ゾンビを操るあいつを先に・・・ぶっ倒す!!
「極魔槍裂破掌!! 」
刹那、直線状の敵は全て消え去った。出来たのは、黒フードAへの道。
そして、黒フードAの懐。
「な!?」
「影楼」
腹部に3発、後ろを一瞬で盗って首筋に1撃与える。
「風術・・」
「氷術・・」
黒フードBとCの目の前から意味不な紋章みたいなものが浮かび上がる。
「竜巻」
「粉雪」
竜巻と粉雪が接触した。
同士討ち?
一瞬そう考えるが、違う! 勢いが・・・増した?
「「氷乱竜巻!! 」」
「新郎新婦の初共同作業かぁ!! 」
否、合体魔術とでも言えばいいのだろうか?
かなり的ハズレだな・・・? ってか、ツッコミが無いとこんなにも寂しいんだ!?
違う違う!! 問題はこれをどう乗り切るかだ!!
ちくしょう・・・一人でボケとツッコミをヤルなんて………悲しい(涙)
「剣術・・」
「! 」
しまっ! 後ろのも居たか!!
左肘で黒フードDの腹部を突く。
一回、二回転がる。その際に刀もオレの目の前に落とす。すかさずオレは刀を盗る。
次は・・・竜巻の斜線上から出ることだ。
オレは全力で竜巻の斜線上から出ようとするが、上空から雷が無数に飛び交う。
そのせいで逃げ遅れる。
竜巻との距離僅か10m未満。
「くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」
自信満万にレナを守るって言った自分が憎かった。幾ら、相手が6人でもオレはレナを守ることすらできねーのか!!? なんの為の力だ!! そんな自分が憎い・・・オレの力じゃ………ヤツ等には勝てない!
拳を知らない間に強く指に血が滲むほど強く握り締めた。
悔しい・・・。
約束を守れないオレが。
悔しい・・・。
言い訳にならないけど、たかが6人相手にして倒せないオレが。
悔しい・・・。
力がない自分が!!
『・・・邪魔だよ』
頭の中に『ヤツ』の言葉が響いた。そして、『オレの』意識は消えた。
「おいおい。この程度の竜巻……効かねぇよ」
盗った刀の一振りだった。その、一振りで目の前の竜巻は旋風すらも残さず『消滅』した。それと、同時に3人の黒フードが倒れた。和也の位置は変わってはいない。
「けっ! この程度かよ? 」
剣を片手で遊び投げ捨てる。
そして、右手を突き出す。
「もっと遊ぼうぜぇ? 『久々の身体』だからな」
そして、右手には『ありえない物』があった。
それは、『人間が持てるはずの無い物』・・・。
それを、地面に突き刺す。
残り、2人の黒フードからは顔こそ見えないものの。「ありえない」「そんな馬鹿な?」などの心境が分かる。なぜなら、『人間の筈の雨宮和也』が『持てるはずの無い物を持っていた』からだ。
「なぜ・・・」
一人の黒フードが口を開いた。
それは、絶望の前に震えている弱虫みたいな声で。
「キサマが___『鎌』を」
「馬鹿か?」
もう一人が口を開いた。こいつは極めて落ち着いていた。
和也は平然としている。『鎌が自分にあるのが当たり前みたいに』。だから、ヤツを小馬鹿にしたのだ。まるで、王が身分の低い者を見下すように。
「オレが『死神の端くれ』だからだよ」
その、瞬間。2人の黒フードの意識は別の世界に行った。
それと同時に6人は『砂に帰った』
「てめぇは餓鬼か? その歳でお砂遊びですかな? 」
和也は何も無い路地裏の一角を睨む。それと同時に一人の老人が姿を表した。白い顎鬚を腹のヘソ辺りまで伸ばした老騎士がいた。何故か、栄養ドリンクを両手に持った。
「ワシのカワイイ娘達を、乱暴な男よの〜? 」
「うぜんだよ。今は取巻きのボスみたいだな? 『北欧神話の最高神・オーディン』」
左手の栄養ドリンクを流しこんでポイ捨てする。ビンなので当然割れてしまう。
その音すら、和也は聞く暇すらなかった。
気を抜けば殺られる。それしか、頭の中にしかなかった。
「ふぉふぉふぉ。攻撃する気などありゃせん」
「・・・・なら、答えろ」
鎌を自分の中に戻して。オーディンと向かい合う。
「お前等がレナを狙うのは『アイツの力』だけが原因じゃねぇだろ? 」
「気づいておったか。よかろう、話しておこうか」
クソ! クソ! クソ! クソ!!
今は昼休みの途中。それぞれが昼飯や談話など思い思い好きなようにすごす時間だ。
そんな中オレはイライラ爆発の状態だ。地区最強の不良と言われたオレに遅刻したオレを注意することも出来ずにダレもが近寄りがたい空気を全身から発していた。
理由は、『欠けた記憶』だ。気がついたらアイツ等は消えていた。もちろん追い返した記憶もない。ラミアちゃんにメールしてもレナは学校に居た。なにより、1番気持ち悪かったのがオレが無傷だったということだった。
「ワケわかんねーよ…………」
知らずの内にオレは、そう呟いていた。
昼。私は学校を早退して空港で義姉の迎えに来ていた。
旧姓、三原香澄。私の父の連れ子だ、歳は(自称)永遠の20歳。
実はすでに三十路を越えている。義姉の前でそんなことを言ったら終わりである……人生の。
和也が良い例だ、義姉の30歳の誕生日(?)に和也が「30歳おめでとー♪ 香澄姉さんじゃなくて、オバさんかな?」と言った瞬間に全治24ヶ月の全身複雑骨折・・・なんで、生きてたんだろ?
しかも。2ヶ月で直ったし。和也曰く「某野球ゲームに出て来るダイジョーブなのに、危険なダイジョーブじゃない博士の『改造』手術を受けたんだ」。改造が気になる。
そんな事を考えていると空港に1台のジェット機が停まった、そこからはぞろぞろお客が出て来る事も無く、1人の女性と黒いスーツの男達が数人出て来た。
女性はクソ長い青より蒼が似合うようなヘアカラー。腰まである長い髪の毛の1本1本が丹念に手入れされてて、華奢な身体をしている女性だった。
あの人が私の姉の、柴原香澄……私の義理の姉、本人だった。
ついに、帰って来てしまった。なんで、帰ってくるんだ?
この、悪魔は……。
また、弄られる・・・クソ義姉に……。
「久しぶりね? 魅夜ちゃん」
来やがったか。天敵め。
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