【プロローグ ルートA】オレと死神の始まり
うっ……? 朝か?
太陽の光がカーテンの隙間から注がれる。眩しい……だが、よい朝なのだろう。さぁて、今日は“大切な日”なんだ、さっさと起きるとしますか。
朦朧とする意識の中でそっと、窓に繋ってる制服に、目をやる。藍色を基調とした、オレが今日から通う高校。<聖涼高等学校>の制服である。胸ポケには校章である天秤と下にSEIRYOと刺繍されている。
重たい身体を半分起して外を見据えると、小鳥が2匹、窓辺の木に止まっていた。平和な朝ですこと。そんな事を考えながらオレは静かに立ち上がる。
オレは……これから起きる災厄も知らずに、和やかなムードに浸っていた。
「ああっ。今日から高校生か……。オレ……」
実感ねぇ〜なぁ。中坊の頃はアレだったからなぁ……。
ちゃんと、規則正しい生活をしたからだろうか? 久しぶりの快適な目覚めだった……感じがする、やはり規則正しく寝ると大分、疲れも取れるもんだ。身体が随分と楽だ。
「んんっ!!」
ベッドから起き上がり、眠気を覚まそうと背伸びをする。
今日は大事な入学式があるからなぁ〜首洗ったんだから、ちゃんと行かねぇ〜とな。それに、あの人とも約束した事だ、なにより来なかったら“アイツ”が五月蝿いだろうな。
そんな如何でもいいことを考えながら枕元に置いてある目覚ましに目をやると、オレはその場に立ち尽くした。
さぁて、問題です。オレはなにを見たんでしょうか?
「………げっ」
目を擦る。
そして、また、目覚ましを確認する。
当然、壊れもしないかぎりこんな時間になる筈がない。時計の秒針も動いてる……壊れてなどいない。第一に、一週間程前に買ったばっかだ。
「や……ッ! やっべぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええええええッ!!!!!!!」
わかって、いたさ!! オチはわかってたんだ!! ただ今の時刻は9時24分……完璧な遅刻だ! そう、答えは簡単、今の時間だ。なんと入学式から遅れる事、約1時間弱。
「お、落ち着け。今なら入学式の時刻だろう」
なら、教室は空いてるはずだ!
なら、何食わぬ顔で……!!!
なんとか……ならないよなぁ……イキナリ挫折かよ。
オレ。雨宮和也は。制服に着替えながら、言い訳を考えてる。もう、一生分の頭を使って。こんなに頭を使うのは入試ぶりだぞ? (殆ど、勘だったが)
着替え終わり、急いで下に向かいパンを取り出し家を出る。
相棒に乗り即座に、学校へと向かう。全力で漕げば早い。シュー○ッハもビックリだぞ! 多分、スペースシャトルも目でもないからな……ただ、道が複雑だからそんなスピードで走ったら家を壊してまう。
***
今日から、オレの日常は狂い出した。
それを、今のオレは知るはずが、なかった……。1人の少女との出会いが。
***
「早く行かねぇと、『アイツ』がなぁ……はぁ〜」
必ず出るって言っちまったからな……。あ〜ぁ。もう、サボるかな? 自転車で走るのもかったるいし、それに遅刻は遅刻なんだから遅いか早いかの違いだけだ。
<イキナリ挫折?>
な、なんだ!? これは!!? 違うよ! そんな馬鹿な! こんな早く挫折なんか……するもんかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!!!
全力でペダルを漕ぐ。
急がなければ!!
ペダルから、イヤな音がしたけど無視! 信号が赤だけど無視!!
子供がイキナリでて来たけど無視!<ドンッ!> 轢いたけど、無視!
止まったら警察に捕まっから無視!
真上から、<バチバチ>音がしたから、迂闊にも上を見る。
「?」
これが、オレと死神の出会いの始まりだった。
***
今、思えば……ある意味、結ばれてたのかもしれない。
だって、オレと彼女は同じような存在……っとまではイカナイかな?
同じ生き方なんだ。必然的にオレは彼女を自分と重ねていたのかもしれない…
けれど……コレだけは言える。
オレと死神は出会うべく出会ったんだ。運命っていうふざけた肩書きの元に。
***
「きゃあああ!! マー君がぁぁ」
母親、キタ――――――――――――――!!!
クソ! 頭上の怪奇現象は後だッ! このまま轢き逃げでGO!GO!
そう、思い。ペダルに脚を掛けた時だった。怪奇現象(?)も治まった……。
ちょうど自転車も動き出していたところだ、それに“何か”重たいものが降って来た。
「!?」
ば、バランスが……ッ!
そのまま勢い良く横転。そうして、オレはとても意外な“者”を見る羽目になった。 |