29-魔法お勉強(3)
どうやら時刻はもう朝の6時の様子
夢の中へと旅立っていた私は昨日と同じメイドさんに起こされる
おはようございます、彼女はそう言うと私に朝食を食べる準備を済ませて来てと言う
「アリス様、お昼時間にはお部屋にいるようにしていてくださいね?」
そう言って食べ終えた朝食を持って出て行ったメイドさん
私は朝は弱い人間なので寝ぼけた頭をすっきりさせるべくコーヒーを淹れ始めた
「ふわああ・・・」
大きな欠伸を1つしてキッチンから見える部屋の様子を眺めていた
昨日ヴィオレがこの部屋にいたことが夢だったようなそんな気さえする
その考えを打ち壊したのはテーブルに光る物
私は慌ててテーブルへと近寄った
(これって・・・)
「水晶・・・?」
昨日は確実に無かったはずのものがそこにはあった
それは透明な球体の水晶なのだが中央が角度によって色んな色へと変化する不思議な水晶だった
眠気は一瞬で飛んでいき
私は慌てて着替えたり髪を整えたりと支度を終えた
そのまま急いで図書館へと向う
――――
「グリフォン!」
図書館の扉を開けるのと同時にグリフォンの名前を呼ぶ
勢いをつけたまま図書館に入ろうとする体がその場で止まった
「アリス、図書館では静かにしろと言ったはずじゃが?」
動けない体の目の前にいるのは
怒りオーラ全開のようなグリフォン
「あ・・・すいませんでした・・・」
私はグリフォンの怒りにたじろいながらも謝る
「次からは気をつけるんじゃぞ?」
「うん、本当にごめんね」
「それで?どうした慌てて」
「そうだった!これなんだけど!」
私はエプロンドレスのポケットから水晶を取り出してグリフォンに見せる
「ほう、もう水晶を手にいれたのか」
(やっぱり!!)
私はヴィオレが置いていってくれたことに感謝した
もしかしたらいい人間・・・猫なのかもしれない
いや、でも人のキスを奪ったっていう前科もあるしな〜・・・
私は混乱する頭を整理させているつもりで
更に混乱させていた
「アリス、水晶も手に入ったのじゃから練習再開するぞ」
グリフォンの言葉で現実世界へと戻された私は大きく返事をして
魔法練習場へと移動した
――――
「さて、それじゃあ魔法書の続きを読むんじゃアリス」
「あ!慌てて忘れちゃった!」
「・・・・・」
「・・・ごめんなさい」
(グリフォン、また怒ったかな〜)
私は恐る恐るグリフォンを見た
「まぁ仕方ない」
そう言ってため息をつくとグリフォンは何かを唱えた
するとさっきまでは無かったはずの魔法書がグリフォンの手に握られていたのだ
「!?」
私は吃驚して魔法書をまじまじと見た
「これも魔法じゃよアリス」
「あぁ!」
そういえば魔法っていう非常識が存在していたのよね・・・
少しでも忘れていた私が馬鹿だったわ
そう思いながらも手渡された魔法書の続きのページを開き文字を指で辿る
「えーと、特性を知るためには秤の水晶を握り『カラー』と唱えてください?」
「秤の水晶とはこれのことじゃよ、まずはわしが手本を見せる」
そう言ってグリフォンは水晶を握って『カラー』と唱えた
水晶はグリフォンの手の中で光ったと思うとすぐに光が消えた
その瞬間グリフォンの手からは水が流れでた
「!!」
私はその様子を吃驚したまま見ていると
水は止まり、次にグリフォンの手は氷の塊に覆われた
「グリフォン!大丈夫!?」
私は居ても経っても居れずにグリフォンの安否を問う
「大丈夫じゃよ、痛くも冷たくもなんともない」
グリフォンがそう答えると氷の塊は消えていった
そしてグリフォンは手を開き水晶を地面に置いた
「今アリスが目にしたのはわしが使える特性じゃよ、幻で出来ているから痛み等はない」
「そうなんだ・・・つまりグリフォンが魔法の属性の中で強く使えるのが水と氷ってこと?」
「うむ、そうゆうことじゃよ」
何となく理解して私は地面にある水晶を拾い上げて握った
『カラー』
私がそう唱えると先ほど同様
手の中で光ったと思うとすぐに光は消えた
「・・・・」
「・・・・」
あれ?
「・・・・」
「・・・・」
なんで?
「・・・あれ?」
「おかしいのう?」
私達が困惑していると水晶から小さく光が現れた
その光は徐々に大きくなりついには人の形になった
「・・・綺麗」
「これは・・・」
その人の形になった光を言葉で表現するなら
まさに“女神”そのもの、辺り一面を暖かで優しい光が照らし出し
“女神”自身も光を放ち、見るもの全ての心を浄化していくよう
“女神”は徐々に薄く消えていき私は手の中の水晶を眺めた
「綺麗、だったね」
「うむそうじゃな」
私はぼーっと水晶を眺めていると
グリフォンは私の頭を撫で始めた
「え!?」
私はグリフォンの行動に驚いて慌ててグリフォンに目をやると
そこには私を愛おしそうに見るグリフォンがいた
「なっなに!?」
「アリス、お前はやっぱりアリスじゃな」
「どういうこと?」
「今のはな、アリスは聖魔法が特性だということを教えておる」
私はグリフォンの説明がいまいち分からないまま話を聞いていた
「童話に出ていたアリスもな、今のお前と全く同じなんじゃよ」
その言葉に私は体がビクッと反応した
(そういえばグリフォンは不老不死・・・
もしかしてアリスのことも知っているんじゃ!?)
「グリフォンは・・・童話のアリスも知っているんだよね?」
自分でもいまいち分からない質問をしたことに後悔しつつも
私はグリフォンを見据えた
「・・・お前になら話してもいいかもしれんの・・・」
グリフォンは私の頭を撫でていた手を休め立ち上がると何かを唱えた
するとグリフォンの目の前に質素な扉が現れる
「ここではなんじゃし、わしの家でお茶でも飲みながら話をしようじゃないかアリス?」
私はその言葉に返事をして
差し出されていたグリフォンの手をとった |