君の名はマリア

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参考評価 ★★★☆☆137pt
文章評価:★★★☆☆
作品評価:★★★★☆
300pt満点/平均点方式
四半期得点 16pt
対象期間:2008年7月〜2008年9月
加点方式/ランキング用の得点です
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名前:りきてっくす  2008-08-10 21:20 
水色ペンキさん、こんばんわ。
ひさびさのホラーですね。(夏ですもんね……)
むかし見たスティーブン・キングの『ペットセメタリー』がとっても恐かった事を思い出しました。
子供の持つ残酷さって、純粋な分だけもの凄く恐怖を感じます。
しかも、このお話の主人公は、どうやら多重人格だったようですね。(違うのかな……?)
ところで、この句読点を無視した書き方にはどういう仕掛けがあるのですか?
水色ペンキさんの事だから、きっと何か企んで(笑)このような書き方をしていると思うのですが、がんばって推理しようとしたけど結局分かりませんでした。ギブアップです。もしよかったら教えてほしいです。

追伸、いまだに梅酒が気味悪くて飲めません。去年の夏は、よくロックにして飲んだんだけどなあ……。




文章評価:★★★☆☆ 作品評価: ★★★★★ 出版:わからない
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▼コメント
 こんばんは。これは即バック多いだろうな……と思いながら書いた一本です。スティーブン・キングは意識の隅っこにありました。アメリカの田舎が舞台、サイコな主人公、救いのない話……ってところですね。

 句読点を省いたのは、語り手が通常の喋り方をしていないことを表現するためでした。この語り部(キャシー)はいわゆるサイコなんですが、脅迫的に、過呼吸気味に言葉を吐き出している状態にあります。同時にこの主人公の中の多重人格性を際だたせるために、人格によって語り口を変えるためでもあります。あとは後で少し述べますが、この小説内の語りは全てマリアの心の中でなされる多重人格間の会話であるため、物理的に唇を動かさないことによる異常な滑舌のよさを表したいというのもありました。『意識の流れ』なんかで出てくる描写で、こういった点を盛り込んでいるものを見かけますよね。
 ただ、つらつら書いた文章から機械的に句読点を省くと、当然激しく読みにくい文体になってしまいます。そこで、頭から音を追っていくときにフシになる箇所と、本来句読点のあるべき場所が一致するように調整して、いったん読みはじめればそれほど困難なく読み進められるように調整を試みています。とりあえずぱっと見の印象ほどには読みにくくない……ようにしたつもりです。それでもある程度の読みにくさは残ってしまいますが、これはひとえに私の腕不足です。
 この『句読点を省く』というアイデアは、谷崎潤一郎なんかの極端に読点の少ない文章が何であんなに読みやすいのかという前々からの疑問、あとは丸谷才一の言葉『符号といふのはあくまでも補助的なものだから、究極的に重大なのは、たとへ句読点をすべて取払ってもなほかつ一人立ちしてゐる頑丈な文章を書くことなのである。そしてこのことは、難事ではあるけれども不可能事ではない』に触発されたものです。むろん私のような浅学に真似できるものではありませんが、とくに読点に関して、果たしてそのような約物のない文章の読みやすさ・読みにくさとはどこからくるのかということを実地に検証してみたかったという感じですね。読点はどのような意図で打とうとも、不断に音と意味の区切りという二つの効果を持ちます。こっちに打つとあっちに打ち直したくなる、逆もまたしかりという千日手が何故起こるのか、それを対症療法的でなく回避するにはどうしたらいいか、そういったことに対する自分なりの研究結果がこれ、という感じでしょうか。拙いですが。

 内容自体も分かりにくかったかと思います。一応じっくり読めば分かるかな、というレベルにはしたつもりですが、もともと立て板に水を流すように分かるような構成を狙ってはいないので、悶々と読んでいただければ幸いです。ネタばらしをしてしまうと、主人公は仰るとおり多重人格者で、マリア、イコール読者です。語り部は入れ替わり立ち替わり出てきますが、全員マリアの多重人格ということになります。主な語り手はキャシーですが、この人格は精神異常です。サブがガーリャ(ロシア娘、ガリナの愛称)でこっちはちょっとマトモ(句読点あり)。あとはほんのちょっとだけ出てくるラット・ラビィ(Rat Rabie=鼠の狂犬病、インディアン)という形になっています。マリアの人格のうち、マリア本人は自閉症のような状態になっていて、他の人格はマリアを消滅させようと躍起になっています。作品全体を俯瞰すると、その辺の事情がもやもやとした不穏な感触で伝わるかなな? という書き方で、最後にタイトルをキーとして『彼女らが罵倒し排除しようとしているマリアとは、小説の前で端然と話を聞いているあなたのことですよ』とばらすことで、読者を安全地帯から引っ張り出そうという実質的な二人称ホラーということになります。
この『視点主が(この場合、聞き手のマリア)が小説の中に現れないブラックホールのような位置になっている』という仕掛けは、アンリ・ロブ=グリエの『嫉妬』をちょっと参考にしました。
ネット小説向きではないですよね。
名前:水色ペンキ[2008-08-10 23:04]
ID:1



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