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幽霊惑星

作者:風富来人
 二〇一X年、アメリカ合衆国国防総省において、人類は二体の地球外生命体とのコンタクトに成功した。地球外生命体には名前があるが、人類には発音ができない名前なので、アダムとイブというニックネームが付けられた。アダムとイブは高度な知識を有しており、我々人類との会話は我々の言葉を使って話してくれた。
 アダムとイブの話によると、二体は「スター・ヒーラー」という、星の意識体を自らの身体に憑依させ、星の意思をその星に住む生命体に伝えることを仕事にしていた。
「君たちがこの地球に来た目的を教えてくれないか?」
 地球外生命体対策室室長のニック・ロバートソンがアダムとイブに尋ねた
「今この星に向かって高速で接近している惑星がある。地球の時間で計算すると二十七日後には衝突する」
「惑星と衝突する? 地球に向かって接近している惑星があるという報告は受けていないがどういうことだね?」
「惑星は惑星でも星の形をしていない。私たちは『幽霊惑星』と呼んでいる」
「『幽霊惑星』?」
「簡単に言えば星の幽霊ね。幽霊惑星は憑依できる星を探して宇宙をさまよっているの。自転や公転といった星特有の動きを無視して宇宙空間を自由に飛び回っているわ」
「私たちの住んでいた星も幽霊惑星に憑依されそうになった。しかし、私たちの星はある方法によって憑依を回避した」
「……にわかには信じられない話だが、幽霊惑星に憑依されない方法というのはどんな方法なんだ?」
「星に住む全ての知的生命体が幽霊惑星に対する祈りを捧げること。それにより幽霊惑星は消滅する」
「幽霊惑星が消滅したかはどうやったらわかるんだ?」
「私は星の放つ霊気を感じ取ることができます。幽霊惑星の霊気が消滅したら私がお知らせします」
 アダムとイブの話を聞いたニックは、すぐさま大統領に連絡した。その後大統領はホットラインを使って各国の首脳たちに連絡した。
 翌日には幽霊惑星の接近しているという情報は世界各国に知れ渡り、かくして、全世界が一丸となって幽霊惑星に祈りを捧げる「祈りプロジェクト」が開始された。
「祈りプロジェクト」の期間中は世界各地で繰り広げられる戦争や内戦は一時停戦し、毎日午後三時に西の空に向かって祈りを捧げるという行為を続けた。
 祈りを捧げ続けて二十五日後の午前零時、イブが幽霊惑星の消滅を確認した。
「アダム、イブ、ありがとう。君たちが教えてくれたおかげで地球は危機を逃れることができた。全人類を代表して礼を言う。本当にありがとう」
「ニック、喜んでいるところ申し訳ないが、幽霊惑星は一つではない。幽霊惑星は複数存在する。地球は生命力にあふれていて、なおかつ知的生命体同士の争いが絶えない。幽霊惑星は星の生命力と星に住んでいる者の争いを好む性質がある。第二、第三の幽霊惑星の衝突を回避するには世界平和と自分たちの住む星に対して感謝の祈りを捧げることだ。第二の幽霊惑星はすでに接近しつつある。今のところ衝突する日時は不明だ。今なすべきことは世界各地で継続中の戦争や内戦の恒久的な停戦、そして地球への感謝の祈りだ」
「わ、わかった。引き続き祈りを行う」
「それでは、ニック。今後も祈りを続けてくれ。私たちは他の星に幽霊惑星の存在を知らせる任務があるのでこれにて失礼する」
 こうしてアダムとイブは地球を後にした。
『こちら宇宙防衛軍○☆%&*中尉だ。地球に対する任務が無事終了したことを報告する。繰り返す。地球に対する任務が無事終了したことを報告する』
『○☆%&*中尉、×$~@!少尉、ご苦労。次の任務があるので帰還してくれ』
『了解』
「○☆%&*、地球の人類は見えないものに恐怖心を抱くというのは本当だったわね」
「そうだな」
「宇宙防衛軍のお偉いさんが幽霊惑星なんてものを思いつくとは思いもよらなかったわ」
「これで争いのない平和な世界になるといいんだがな」
「人類の今後の進化に期待しましょう」
「ところで、地球は何か言っていたかい?」
「人類にはほとほと手を焼いていて困っていた。手出しのできない私に変わってお灸をすえてくれてありがとう。だって」
 ○☆%&*中尉、×$~@!少尉が地球を去って以降、世界から争いは無くなり、人類は地球への感謝の祈りを捧げることが習慣となった。

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