スケルトン達
俺の仕事は一応、世間的には奴隷商という分類になる。
ただし商っているのは生きた人ではない。
アンデッド。
それもスケルトンを専門に商っている。
アンデッドは世間的にはあまり好感を持たれていない。
しかし実は労働力としては根強い需要があったりもする。
何しろ水も食べ物も要らないのだ。
必要なのは魔力だけ。
ある程度の魔力があれば農民でも使役出来る。
まあ、農民に買える程、安い代物では無いが。
以前は作物が呪われるなどと吹聴されていたが、現状としてはその悪い噂も払拭されつつある。
最近では国の中央から離れれば離れる程に需要が高まりつつあった。
隊長が俺のすぐ近くに来た。
それに合わせたかのように散開していた部下達も集まってくる。
どうやら何かモンスターが入り込んでいるらしい。
隊長以下全員がスケルトンだった。
隊長は冒険者として幾千ものモンスターと戦ってきた歴戦の勇士だ。
とある高難易度ダンジョンでお亡くなりになっていた所を引き抜いてきた。
金属鎧をまとっているのは隊長だけ。
部下達は全員、革鎧を装備している。
両手剣を持ち、鈍い鋼色のヘルムと、同色のひと揃いの鎧をまとった隊長。
大振りのナイフを持ち、頭にバンダナを巻いたゴキゲン。
ラウンドシールドと片手剣で武装したカタブツ。
パーティー内の紅一点。弓使いのドジッ子。
たまに妙に動きが遅くなる槍使いのトータス。
ラウンドシールドと片手斧で武装したガサツ。
我ながらふざけた名前だと思う。
勿論、全員(仮)だった。
元の名前を知っている者もいるが、それを使う気は無い。
生前の彼らを知っている人達に万が一にでも会ったら、何を言われるか分かったものではないだろう。
それにその名前は生前の肉体の名前であって、今ここにいるスケルトンは全くの別人だと俺は考えていた。
だからこの名前で良いのだと思っている。
それと、この名前には別の理由もあった。
護衛として、とにかく腕の立つスケルトンだったので、かなり長い事一緒に行動している。
それでも買いたいと言われれば売るのが奴隷商、というか俺の方針だ。
変な愛着を持たないようにと思ってつけた名前だった。
もう十分に愛着が出来ている気もしているが。
長い間、売れずにいる理由は明らかだった。
隊長だけハイスケルトン、つまり上位のスケルトンだ。
決して二束三文では売れない。
他は全員スケルトンソルジャーなのでひとつ格が落ちる。
ただ、全員元冒険者の骨であるせいなのか、この骨達はやたらと連携が良いのである。
元々同じパーティーだった骨達では無いけれども、彼ら自身の意志で俺が指示しなくても最善の行動をとってくれる事が多々あった。
どうせならパーティーとしてまとめて売りたいと思っている内に長い付き合いになってしまったのだ。
「モンスターを見つけたのは誰だ?」
ガサツがかくかくと顎をならした。
「勝てそうか?」
かくかくと顎をならす。
どうやら大丈夫そうだ。
「良し。それじゃあゴキゲンが引っ張ってきて、ここで待ち伏せして迎撃。隊長、たのむ」
俺の指示を受けて、新顔スケルトン以外が全員武器を振り上げた。
やる気満々だな。