BLUE BLOOD〜二つのブレスレット〜(6/11)PDFで表示縦書き表示RDF


 遅くなりました、第五話スタートです。
BLUE BLOOD〜二つのブレスレット〜
作:白鳥炎応



第五話:キス


 崩れるように倒れたシルヴィの身体を、ジルフォードがしっかりと抱きとめた。

「おい!大丈夫か!おい!」

 シルヴィはぐったりとしていた。
 身体が燃えるように熱い。
 彼女の色白の額からは朝露に似た汗が流れ、苦しさを露にするように呻いていた。
 息も荒く肩で呼吸しており、目は固く閉じられていた。

「とりあえず彼女の家へ……」

 ジルフォードはシルヴィを抱きかかえると、両の瞳を閉じて意識を集中させる。
 静寂がジルフォードとシルヴィを包みこんだ。

「……風の大精霊であるシルフェに仕える小妖精パックたちよ、今ここに集え。われが行くべき道を教えよ。」

 ジルフォードが静寂を破り、凛とした声で唱える。
 すると温かい風が、彼とシルヴィを守るように優しく包みこんだのだ。
 風はジルフォードの金色に輝く髪を、形の良い耳を撫でる。

「………そうか。わかった、ありがとう。」

 ジルフォードがそう言うと風はピタリと止んだ。
 彼は苦しそうに呻くシルヴィを抱きかかえ直すと、ユベールが消えた森とは反対方向へ歩き出した。







 小妖精パックに教えられたとおりの道を行くと、シルヴィの家に着いた。
 ジルフォードは早速シルヴィをそっとベッドへ寝かせた。
 シルヴィの容態は悪くなる一方で、顔は青白く唇は青みを帯びた紫色に変色していた。

「ユ・・・ベール・・・」

 うわ言でシルヴィは兄の名前を呼んでいた。
 おそらく兄の夢を見ているのだろう。

「このままだとマズイな・・・」

 洗面器に汲んできた水で濡らしたタオルを、優しくシルヴィの額に当てながらジルフォードは呟いた。
 一刻も早くなんらかの手当てをしなければ、命に危険が生じることになるだろう。
 ジルフォードはふうと息を吐いた。

 どうするか・・・・・・

 タオルがぬるくなったため、洗面器の水で再び濡らしながらジルフォードは思案した。
 ふとシルヴィの顔を見た。
 青みを帯びた紫色になってしまっている唇と、幾分かやつれてしまったかのような顔を見た。
 その姿は、今は亡きジルフォードの母の死ぬ間際と重なった。
 目の前で何もできず死ぬ姿を見るのはもうごめんだった。

「やむを得ないな。」

 ジルフォードは意を決し、ネクタイを緩め白いシャツを脱ぐと、上半身裸になった。

「……すまない。」

 ジルフォードはシルヴィに馬乗りになると彼女の衣服を脱がせ、自分と同じく上半身裸にする。
 ためらいがちに、シルヴィの汗ばんだ半身に自分の半身を重ねた。
 やましい気持ちも下心もあるわけではないが、申し訳ない気持ちにジルフォードはなっていた。

 他に方法はない……人肌で熱を吸うだけだ……

 シルヴィの形良い乳房の柔らかさと女性らしい匂いを感じ、ジルフォードの心拍数は高鳴っていく。
 どうでもよいが昨日きちんと体を洗っておいて良かった、と改めてジルフォードは思った。

「ううっ・・・・・・うあ・・・・・・ああ・・・・・・」

 シルヴィに異変が現れた。
 痙攣している。
 目は固く閉じられ涙を流し、シルヴィは訴えるように呻いた。
 異変に気づいたジルフォードは冷静だった。
 ジルフォードは目を閉じて早口で呪文を唱えると、シルヴィの紫色の唇に自分の唇を重ねた。
 魔法を、シルヴィの口を通して流し込んでいく。
 これは治癒を施す魔法である。
 幼い頃自分が高熱を出した際に父に同じことをしてもらったのだ。
 おそらくこれで治癒するだろう、とジルフォードは考えたのだ。
 がくがくと動いていたシルヴィの体がしだいに動かなくなり、呼吸をするだけの上下運動をするようになっていった。
 ジルフォードは重ねていた唇をそっと離し、シルヴィを見やる。
 シルヴィの顔から青白さが消えうせており、健康的な肌の色を取り戻しつつあった。
 呻かなくなったし、寝息も安らかになっていた。
 身体の熱も燃えるように熱かったのが、今はほんのり熱を帯びている程度になっていた。
 安心したジルフォードは、シルヴィに衣服を着せるとほっと胸を撫で下ろした。



   


 この続きは第六話で・・・・・・











ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう