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737/2403

Ω25

 大きな扉が開く。中はとても開放的で、そして光があふれてた。なんだろう……自然と背筋が伸びる感じがする。柱の一つ、壁に施された装飾全てが調和してそして豪華だ。けど煩わしさはない。全てが調和してこの場の雰囲気を作ってると思わせるもの。


 なんか歴史を感じそうだけど、ここって建てられて数年しかたってないんだよね。不思議だ……ここに玉座があるってだけで、長い歴史があるように感じてしまうんだから。実際は旧王都の城の方が断然に歴史を持ってる。でも一兵士だった私には城に愛着があるわけでもない。


 こんな所まで入った事もないし……だから私のこの圧倒される感じは完全なる勘違いなんだけど……そこにいる人たちのせいでもあるよね。玉座には二人の人物が座ってる。一人は私もよく知ってる人物だ。よく知ってるとかいうけど、そこまで深くはしらない。

 実際話すようになったのは第一機甲師団に配属されてからだし、その前はただ彼の事は人種の英雄として知ってるだけだった。第一機甲師団の中ではかなり気さくでベール様よりも話す機会は多かった。だからちょっとは打ち解けて来たかなっておもってたんだけど……今は私がここ数日で築いた物が全て実は虚構だったんじゃないかと思えるほどに静かな瞳でこちらをカタヤ様は見てる。


ごく……


 思わず唾を飲み込んでしまう。知らない仲じゃないのに、あそこに座ってるカタヤ様が全然知らない人の様に感じる。


(そっか、きっとカタヤ様は意図的にああいう一面を見せない様にしてたんだ)


 私はそう理解した。確かにあんなの見せられたら、私達は仲間というか同僚とかに成りえないと思う。だってあの人は英雄でそして王様だ。肩書が凄すぎる。


(あれが……カタヤ様の奥さんで女王のキララ様か)


 別に初めて見る訳じゃないけど、ここまで近くで見るのは初めてだ。確か私よりも年下? か同じ年くらいだったと思うが……どうしてだろう、なんか負けた気がする。キララ様はふわっとしたドレスに身を包んでそのお腹を隠すようにしてるようだけど……さすがにそろそろなのか、そのドレスからでもお腹の大きさがわかる。


 それになんかとても慈愛に満ちたような……幸せそうなオーラが漂ってる。あれか……あれが勝ち組とかいう奴か。でも私も英雄の仲間入りを果たしたわけだし、男なんて引く手あまたなはずだ。私だってこれからだ。そんな事を思ってると、「行きますよ」と少年が言ってきた。


 この少年凄いな、あの王と女王を前に待ったく動じた様子がない。


(ああ、子供だから偉いとかきっと分からないのね。それなら納得)


 そんな事を考えながら少年の後についていく。そしてある程度の距離まで近づくと、少年が膝を折って頭を下げる。そしてこういった。


「失礼します父上。母上。お客様に道中あったのでお連れしました」

(んん!? んーん!?)


 私も同じように膝を追って頭を下げようとしてた所でそんな言葉を聞いて中途半端な態勢で体が止まった。今……なんていってこの少年? 私は変な態勢のまま前にひざまずいてる少年を見ると、ちょっとだけこっちを振り返って悪戯が成功したみたいな顔をした。


 このクソガキいいいい! と私は思った。

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